2002年9月4日
ロザールさん冤罪事件、高裁判決
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9泊10日の聴取「違法」 東京高裁、実刑判決は維持

 同居中の男性会社員(当時30歳)を刺殺したとして、殺人罪に問われたフィリピ ン国籍の無職女性マナリリ・ビリヤヌエバ・ロザール被告(30)の控訴審判決が4日、東京高裁であった。裁判では、同被告を逮捕前、警察官宿舎などに宿泊させ、10日間監視付きで事情聴取した捜査手法が問題となり、中西武夫裁判長は「取り調べはあきらかに違法」と述べ、1審・千葉地裁が認定した自白の証拠能力を認めなかっ。ただ、「状況証拠などから犯人と断定できる」として、同被告に1審判決と同じ、懲役8年の実刑判決を言い渡した。

 判決によると、ロザール被告は1997年11月、千葉県松戸市のマンションで、同居していた会社員男性を包丁で刺し殺した。1審は逮捕前の同被告の自白について「捜査方法に違法性はあるものの、任意性は認められる」として、証拠採用したが、2審は「事実上の身柄拘束といえる9泊10日間の取り調べは任意捜査の限界を超えており、違法捜査を抑制する観点からも、自白の証拠能力は否定されるべきだ」と当時の捜査を厳しく批判した。 [読売新聞]2002年9月4日 

松戸の同居男性殺害事件で東京高裁判決 自白調書証拠採用は誤り /千葉、一審破棄、被告に懲役8年

 松戸市で97年11月、同居男性を刺殺したとして殺人罪に問われたフィリピン人の無職、マナリリ・ビリヤヌエバ・ロザール被告(30)に対し、東京高裁は4日、1審の千葉地裁判決を「自白調書を証拠採用したのは誤りだ」として破棄し、改めて状況証拠を検討して1審と同じ懲役8年を言い渡した。中西武夫裁判長は「取り調べに重大な違法があったが、殺害したのは被告と断定できる」と述べた。

 ロザール被告は任意捜査段階で「娘のもとに行こうとしたことを制止され逆上した」と、自室で高橋秀幸さん(当時30歳)を包丁で刺殺したことを認めたが、その後一貫して否認を続けた。

 判決は「警察官宿舎などに宿泊させての連続10日間の取り調べは、任意捜査の許容範囲を超えている」として、自白調書を証拠から排除した。そのうえで、被告の服に血痕が付いていることや、被告の持つ合い鍵が使われたとみられることなど、状況 証拠から被告が高橋さんを殺害したと認定した。【小林直】(毎日新聞)2002年9月5日

2003年4月、ロザールさんは上告を断念。