国会における民法改正法案の動き

2003年7月18日(金)衆議院法務委員会での参考人質疑タイムスケジュール 

法制審議会答申から2002年まで

96年に法制審議会が答申を出したにもかかわらず、当時の与党3党(自社さ)では、自民党一部の強硬な反対にあってまとまらず、閣法として提出できませんでした。(通常、法制審議会で答申が出されたものは、閣法で国会に提出されます)

この後、97年に民主党案が衆議院に、社・さ案、平成会の有志案がそれぞれ参議院に提出されましたが3本とも国会閉会に伴い廃案になりました。ただし、民主党案だけは、趣旨説明、参考人質疑に至っています。

98年の通常国会会期末に今度は自民、自由を除く各党の有志が超党派の議員立法として衆議院に提出した。この超党派案も盗聴法審議で荒れていた法務委員会で継続の手続きが取られなかったため、99年の通常国会で廃案に。

その後、99年秋の臨時国会末、12月10日に衆参両院で、それぞれ野党超党派で提出。衆議院では継続、参議院では法務委員会に付託され、趣旨説明まで行ったもののまたまた廃案。

しかし参議院では2000年通常国会冒頭に前回と同じ法案を再提出。初めて参議院で質疑を行いました。通常国会末で両院案とも廃案になりました。

2000年10月31日、秋の臨時国会に再び参議院に超党派の議員立法が提出されました。内容は、前回廃案になったものと全く同じ。衆議院でも準備中でしたが、臨時国会では間に合わず提出に至りませんでした。参議院案は12月1日の臨時国会閉会にともない、廃案になりました。

21世紀になりましたが、新たな進展が期待できるかと思われました。与党の中に設置された女性議員政策提言協議会(女提協、森山真弓会長)で選択的夫婦別姓に関する話し合いが始まり、いくつかヒアリングが実施されたこと、内閣府のとった世論調査で、初めて賛成派が反対派を上回り、いままで国会答弁で逃げの口上に使われてきた世論がまだ熟していないという言い訳を使えなくなったことなどです。

2001年通常国会には、野党のみならず、ついに公明党からも民法改正案が提出されました。2001年秋にはついに自民党の法務委員会で議論がはじまりました。反対派も攻勢を強めており、新聞各紙への当初の他、夫婦別姓支持者はマルクス主義者、家族解体論者などと書いてあるチラシをまいたり、雑誌(主に「正論」)で座談会(それも女性議員ばかりで)をしたりというところ。反対派を抱き込むため、今「例外案」を出そうとする動きもありますが、中身は変わらないのでこれで通したい賛成派と、社会の例外という意識が植え付けられるのはいやだとする反対派がいて、「例外案」でも両派から支持を得るのは難しそうな内容です。実際はそれでもまとまらず「家裁案」が出てきましたが、それすら自分党内はまとまりそうにありません。

衆議院では、2001年に出した2つの議員立法が現在(2003年通常国会)まで継続審査に。参議院でも再び提出しました。会期末迫った7月18日、突如として衆議院に出されていた民法改正案の参考人質疑が衆議院法務委員会で行われることになりました。与党から議員立法で出ていた商法改正案が審議されるにあたって野党や公明党が出している議員立法である民法改正も審議をさせろと野党が与党に迫り、法案審議でなく、一般審査に関する件での参考人質疑の中で民法改正を取り扱うというかなり変則的な方法での審議となります。


● 法案提出年表 ●

1996年 法制審議会答申発表。

1997年 民主案が参議院に、社民・さきがけ案、平成会有志案が参議院に提出。
それぞれ廃案に。
民主案のみ審議入り。法案審議と参考人質疑が一回ずつ行われたが、廃案に。

1998年 通常国会に、自民、自由を除く各党有志の超党派議員立法が衆議院に提出。
継続審議に。

1999年 通常国会で衆議院案廃案に。
        臨時国会末、衆参両院に野党超党派議員立法を提出。衆案のみ継続に。

2000年 通常国会冒頭に参議院に改めて提出。
参議院では、趣旨説明後、初めて質疑が行われる。
衆議院解散で、両院案とも廃案に。
臨時国会に、参議院で超党派の議員立法を提出。閉会に伴い廃案に。

2001年 5月8日 衆議院で野党超党派の議員立法を提出。(現在まで継続)
        5月10日 参議院で提出。福田官房長官に申入れ。
        5月11日 森山真弓法務大臣に申入れ。
        6月20日 衆議院で公明党が議員立法を提出。(現在まで継続)
 通常国会会期末で、参議院案が廃案に。(参議院選挙のため)

2001年8月 内閣府・夫婦別性に関する世論調査で初めて賛成が反対を上回る

2001年11月13日 参議院で野党超党派の議員立法を提出。

2001年11月  自民党法務部会で議論始まる。1、2案が提示されたが、まとまらず。
         1、別姓案→例外案→家裁許可案(賛成派)
         2、通称使用案(反対派)

2002年 通常国会会期末で参議院案が廃案に。(人権擁護法案継続に反対したため)

2003年5月27日 参議院で野党超党派の議員立法を提出。(前回と同じ法案)

2003年7月18日 衆議院法務委員会の一般質疑で民法改正についての参考人質疑。

現在に至る (2003年7月18日)



2003年7月18日(金)衆議院法務委員会での参考人質疑タイムスケジュール 

10:00 開会
参考人の意見陳述(40分)
大森政輔(早稲田大学法学部客員教授) 10:00〜10:10
森 隆夫(お茶の水女子大学名誉教授) 10:10〜10:20
榊原富士子(弁護士)            10:20〜10:30
民部佳代(埼玉県大井町議会議員)   10:30〜10:40

参考人に対する質疑
野田聖子(自民) 
森岡正宏(自民) ふたりで15分 10:40〜10:55
山花郁夫(民主)  15分      10:55〜11:10
漆原良夫(公明)  15分      11:10〜11:25
石原健太郎(自由) 15分      11:25〜11:40
瀬古由起子(共産) 15分      11;40〜11:55
保坂展人(社民)  15分      11:55〜12:10

衆議院議員に頼めば傍聴もできます。ぜひ、応援に行きましょう。


自民党内の動き

(与党女性議員政策提言協議会「選択的夫婦別姓に関するプロジェクトチーム」主催 「民法の一部改正(夫婦別姓制度の取り扱い)をめぐる議論に関する報告会」(2002年4月23日開催)配布資料より抜粋・一部を編集

2001年11月5日
選択的夫婦別氏制度導入に向けた議論を進めるよう、自民党の推進派議員有志が党三役に申入れ(署名者45名)

11月15日  自民党法務部会・司法制度調査会合同会議で別氏関係について初めての話し合い
11月15日  法務部会で2回目の話し合い 法務省から骨子案について、神社本庁から基本的見解について、高市早苗議員から戸籍法改正案(戸籍に「旧姓使用を認める」旨を明記し、旧姓と戸籍上の姓を公的書類に併記できるというもの)についてそれぞれ説明。
11月19日 法部部会第3回。部会長案発表。意見交換。(日弁連、全国司法書士女性会、全国女性税理士連盟、林道義教授、旧姓の通称使用を実現する会、神道政治連盟)
11月29日 法務部会第4回。法務省試案発表。慎重派議員80名の署名を部会長に提出。
11月30日 法務部会第5回。試案、高市案について話し合い
12月4日   慎重派、要望書を党三役に提出。
12月7日   法務部会第6回。今後の取り扱いについて協議。引き続き部会において審議を続けることを確認。
2002年3月14日  法務部会第7回。前内閣法制局長官、大森政輔弁護士(推進派)からヒアリング
3月27日  法務部会第8回。長谷川三千子埼玉大教授(超反対派)、八木秀次高崎経済大助教授から(反対派?)からヒアリング。
4月10日  法務部会第9回。法務省試案について協議。
4月12日  法務部会及び高市案について協議。

この時点で自民党内で検討されていた案は、次のようなものである。

「例外的夫婦別氏制度試案骨子」

1、夫婦の氏
(1) 夫婦の氏は、同氏を原則とし、別氏を例外とすることを本文とただし書という形式で明らかにする。
(2) 夫婦同氏が原則であることから、別氏夫婦から同氏夫婦への転換は認めるか、その逆は認めない。

2、別氏夫婦の子の氏
(1)別氏夫婦は、婚姻時に「子どもが称すべき氏」を定めなければならない。
(2)別氏夫婦は、最初の子の出生時に届け出ることによって、婚姻時に定めた「子が称すべき氏」とは異なる氏を「子が称すべき氏」とすることができる。出生時に届け出がされなかったときは、子は、婚姻時に定めた「子が称すべき氏」を称する。
(3) 別氏夫婦の複数の子は、すべて同じ「子が称すべき氏」を称する。

3、子の氏の変更
別氏夫婦の未成年の子は、父母の婚姻中は、特別の事情が存在する場合に限り、家庭裁判所の許可を得て氏を異にする父又は母の氏を称することができる。
成年に達した後は、特別の事情の有無を問わず、家庭裁判所の許可を得て氏を異にする父又は母の氏を称することができる。

4、経過措置
夫婦別氏制度の導入前に同氏夫婦として婚姻した者は、導入後相当期間内に届け出ることによって、別氏夫婦になることができる。同氏夫婦が別氏夫婦になった場合においても、当該夫婦の子の氏は、これにより当然には変更されない。
 

・・・しかし、この案でも自民党内はまとまらず、結局、5月16日、政府は今国会提出を見送ることを決めました。これを受けて、自民党内で、推進派の野田聖子議員らが議員立法案での提出を模索。6月末、新たに別姓を家裁の許可制にするという案を発表。党内のとりまとめに尽力をしている模様。しかし、これで自民党がまとまり、議員立法で出てくるかはまだ不明です。

具体的に、「家裁許可案」は、民法750条に「ただし書き」を加えるというものです。

(野田聖子案) 民法750条

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
ただし、職業生活上の事情、祖先の祭祀の主宰その他の理由により婚姻後も各自の婚姻前の氏を称する必要がある場合において、家庭裁判所の許可を得て、婚姻の際に各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをしたときは、この限りではない。
 

今後の焦点は、1)果たして自民党がまとまり議員立法として提出されるのか、2)野党がこの案で賛成してくるのか、3)採決となった時本当に成立する見込みはあるのか(自民、保守のみならず、民主からも相当数の反対が出てくるのではないかと言われています)という3点でしょう。

(2002年7月6日)


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