「内部被ばく」影響大きく

松井英介 岐阜環境医研究長に聞く

『岐阜新聞』11年3月16日朝刊

東日本大震災による福島原発群の放射能漏れという重大局面をどう考えベきか。放射線医学専門の松井英介岐阜環境医学研究所長に聞いた。            ◇
 最も重要なのは、国内全原発の総点検と正確な情報だ。今回、どの原発のどの炉で何が起き、放射性物質のどの核種がどの程度、どの範囲で散らばっているのかの情報がなかなか出ていない。発表される放射線量も、どういう種類の放射線かによって人体への影響はかなり異なってくる。国と各地方自治体が緊急に、住民に対して的確で必要な情報を伝えるぺきだ。
 炉心溶融した福島第l原発3号機はMOX燃料で、ウラン燃料に混合しているプルトニウムが怖い。放射性ヨウ素やセシウムと同様、プルトニウムも微粒子で大気中を数百`でも広範囲に拡散する。これを吸い込んだり口にすると体内でアルファ線という強い放射線を至近距離で浴び続けることになり、外部被ばくに比べて78桁も大きな被ばく量になる。岐阜県の場合、特にこの内部被ばくを極力避けることが重要。風下に行かないなど、念には念を入れたい。