WSCF GENDER TRAINING WORKSHOP in philippines

1997.12.8 〜17

REPORT


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目 次(項目をクリックすると飛んで行きます(^。^))


プログラムの趣旨・目的

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プログラムの構成と内容報告

Part.1:フィリピン体験(2日間);12,9−10
 フィリピンの女性の状況:問題と(変革への)挑戦
 エクスポージュアと女性グループやNGOとのディスカッション
 マニラの赤線地帯へのエクスポージュア
 経験の振り返りと分析
 人権の日のお祝い

 →真希さんお願いします!!!

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Part.2:ジェンダーに対する意識覚醒(4日間);11−13
 アジア太平洋の国々における女性の状況
 私たちの状況の分析:ジェンダーの分析方法、フェミニズムの概念、理論
 SEXUAL HARASSMENT POLICY

<女性の抑圧の状況>
 Lonaという謎の女性(?!)が、インプットしてくれました。最初に’女性への抑圧とは何か’を分団に別れて考え、みんなで一つの’像’になって表現・発表しました。その後、第三世界(南の国)の女性の状況を説明しながら、国内だけでなく世界的に女性の抑圧が拡大されていること、またgenderとともに階級(class)・人種(民族,race)差別が結びつき、さらに複雑な’抑圧’の構造を生み出していることを話し、日本のODA(政府開発援助)による女性とlow classの民衆への影響・抑圧の例も挙がっていました。
 また世界の女性の教育や保健・生活状況に関する、国連の統計資料を見ることによって、この3つの結びつきがはっきりと現れていることを示すと同時に、不当な状況にある女性たちがパーセンテージを上昇させる対象のみになりがちで、その生の声がなかなか伝わりにくいという統計の限界についても触れました。
 その後、各地域ごとに分かれ、それぞれの国の女性の抑圧状況や階級・人種差別との関連性を話し合いました。韓国では農家の女性の状況、また日本では、第三世界へのODAと同じ構造が、中央政府から地方自治体へそして民衆にあることを’ふるさと創成金’を例に話されました。そして北アジア全体では、やはり外国人女性労働者の問題がどこの国でも共通してでてきました。性産業、また香港・台湾では家庭内労働に雇用が集中しており、公の場に多くの女性が働きにでるようになったけど、今まで担われてきた家庭(裏)の仕事を結局、より低い階級の女性に押しつけているという矛盾について話しました。

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<フェミニズムの概論や分析>
 リベラル・マルクス主義・社会主義・ラディカル・精神分析・ポスト構造主義フェミニズムの理論的背景や特徴(どの視点を重視しているのか)、メリット・デメリットなどを説明され、分団で自分にとって/女性グループの活動にとって有効な理論を話したり、どうやって活用できるかを考えました。が、私たちの分団では、自分とフェミニズムの出会いというか、どこで性差別問題に目覚めたかという話になり、自分の家庭のことやセクシュアリティなど、かなり個人的な話に到りました。

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<SEXUAL HARASSMENT POLICY>
 また夜にはセクシュアル・ハラスメント・ポリシー(WSCFが定めた、セク・ハラの定義・事例と防止策・罰則などについての行動指針)がどうやってできたかを女性コーディネーターのNectaが説明しました。95年の地域委員会で持たれた女性のコーカスで、セク・ハラ行為が問題にされ話し合われたことが原案をつくる発端となりました。これ以前からWSCF A-Pでは、積極的に女性のリーダーシップ育成や性差別問題に取り組み、意思決定機関や各プログラムといった活動全般において’女性と男性が平等に関与する’環境づくりを進めてきました。しかし同時に以前は見え難かったセク・ハラの問題も表面化し、女性のリーダーシップを阻むものとして認識されました。また特に、オーストラリアSCMでは男性と女性のジョイントワークショップを開いた後、ある男性メンバーがプログラムで知り合った女性メンバーをつけまわし、性的嫌がらせをするというとんでもないトラブルが起こったため、この事態を深刻に受けとめ、独自のセク・ハラ・ポリシーをつくっています。
 こういったセク・ハラ・ポリシーは、男性の行動だけでなく、女性がリーダーになることによって生じる力関係上の、セク・ハラ行為も警鐘しています。女性と男性、そして誰もが主体的に活動でき、相互成長していくためには、性差別またその他の社会的差別によって及ぼされるリーダーシップや参加への微妙な力関係にもっと敏感にならなければいけないし、何よりも自らがそれから解放され、相手を阻害しないことが大切だと思います。
 2年前に、日本の学Yでセク・ハラに関するアンケートをした際、様々なパターンで結構セク・ハラ行為が生じていることが分かりました。私たちの身の回りやメディアでは、半意識下でこういったセク・ハラは横行し、当たり前になっています。そしてホモセクシュアリティに対する過剰なまでの反応と偏見。また特にギャグをいうことで笑いを持たせ、場の雰囲気を和ませたり、人間関係の緊張を緩和させたりする際、気をつけてみるとセク・ハラ的発言は非常に多く交わされ、言う側は無自覚、受ける側も甘んずるというケースが多いのではないでしょうか。”セク・ハラしているんじゃないかと敏感になったら、かえって人間関係がぎくしゃくする”といった不安なのか居直りなのかは分からないけど、そういった論調もありがちです。でも、人を踏みつけにした笑いで、場を和ますことが慣行となってるなんて、やっぱり情けないし、おかしい。しかも本当に和んでいるんだろうか?とにかく笑いの質を変えるべきでしょう。
 セク・ハラ防止を進めるオーストラリアでは「みんな別のギャグをいうようになった」というし、「あんまりひどいんなら、ギャグ・トレーニング・ワークショップを開いたらいいんじゃないか?」とアドバイスしてくれ、(これもギャグでしょうが)本気でやった方がいいかも知れないし、今まで怠慢で英訳しなかったけど、これからきっちり日本でもこのセク・ハラ・ポリシーを広め、議論していく必要を実感しました。(好ご期待!)

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Part.3:ジェンダーワーク:活動の評価と発展(3日間);14−16
 SCMの女性の活動のシェアと発表
 WSCF A-PとSCMにおける女性の活動の評価と総括
 ストラタジーや今後の計画

14日・・・午前中は教会の礼拝に出席〜午後は観光

 夕方から<ジェンダーによる社会分析>
 ジェンダーの国際比較や分析法を研究しているGigiという女性からのインプット。彼女の子どもとNectaの子どもが側で遊び、和やかな雰囲気の中、1970〜90年代にわたるジェンダーの視点による社会分析法がいかに変遷し、様々な文脈から捉えられ重層的になったかというような話があったと思う。が、新林の英語力のなさ(観光に行ってしまったのもまずかった)と機関銃のような彼女のスピーチに、脳味噌は壊れてしまいついていけませんでした。真希さん・みなさん本当にごめん。もうすぐこのプログラムの記録が送られてくるはずなので、その時にシェアします。

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<各SCMの女性の活動状況のシェア>
 総じて言うと、4つのレベルに分かれるようだ。

*女性による活動ができにくい国;性差別問題に最近取り組み始めている。
    インドネシア       女性グループがない。
    シンガポール      性別(sex)とジェンダーの区別ができていない。
    タイ            SCM活動自体を盛り上げているところ。

*女性の意識化は少しずつできている国;女性グループはないが、リーダーやスタッフは育っている。
    バングラディシュ        プログラムも単発で行っている。
    パキスタン
    台湾
    フィリピン

*女性の活動が盛り上がってきた国;女性グループ/リーダー・スタッフもいる。SCMの意思決定機関に女性が入っていたり、定期的なプログラムを行っているところもある。
   スリランカ
   ビルマ インド
   韓国・香港・日本

*女性の活動は安定し、その他の活動も挑戦している国;女性グループ/リーダー・スタッフがいる。
   オーストラリア           女性のみ・男性とのジョイントプログラムも定期的に行われている。
   アオテロア(ニュージーランド)  男性のジェンダー意識覚醒に関するファシリテーターがいる。
                      セクシュアルマイノリティのグループがある。
                       フィジーなど太平洋地区の他のSCMとの協働プロジェクトを企画している。

 こうしてみると、女性の活動の度合いもSCMによっては様々である。特に気になるのは、あまり発展していないのが、いわゆる第三世界にあるSCMであることだ。女性に対する文化・社会通念や差別が強固で、夜や泊まり掛けのプログラムに女性が参加できない国もあって驚いた。リソースやプログラムを企画する女性リーダーやスタッフの不足も課題だったりする。何とか支え合っていきたいし、まずは私たちのSCMで女性グループがより活発に活動し、いろんな分野に挑戦していくことが、十分お互いを元気づけることになると思った。

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<今後2年間のプランニング>
 この方法が素晴らしかった。(絶対国内でも使えそう。)またGigiが本当によくつき合ってくれた。彼女のファシリテーションとまとめ方は、本当に勉強になったし、こんなでかい地域の方向性をまとめる柔軟性と鋭さは、実際すごかった。そしてギャグの連発もすごかった。みんなよく笑った。そのタイミングとあほらしさに、思い出し笑いが止まらなかった。

 それはいいとして、方法をシェアすると、
 方法;1、目標設定・・・「どんなことを言われたら、上手く行ったと思える
      だろう?」という問いに、一人3枚づつかいて分団でシェア。
    2、目標を内容によって分類・・・分団発表によってGigiと分類。
    3、分類した目標に対する障害を想定・・・得意分野や関心事で分団、議論。
    4、目標と障害を見て、一つづつ何が現実的にできるか全体で議論。
    5、2年間の計画・・・何を誰がいつするか、分かりやすい表をつくる。

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<今回決まったこと>
  目標と計画;
     SCMの女性の活動に関するもの
    1、基盤づくり・・・女性のリーダーシップとグループの確立
     →とくにグループがまだできていないSCMはその確立を目指そう
    2、社会分析・・・WSCF/SCM全体で取り組んでいる社会問題とジェンダーの視点をどう統合させていくか
     →リソース・方法論をシェア・開発しよう。
    3、連帯・情報交換・・・各SCMの女性の活動をどう支え合うか
     →"Regional Update on Women's Committees"を発行しよう。また国内の女性グループとのネットワークをつくろう。

     WSCFやSCM組織全体に関わるもの
    A. 地域レベルでのコーディネート・・・・2年間の地域レベルのプログラムを具体的に企画すること
     →各国の女性リーダーやスタッフと、女性コーディネーター・地域女性委員でもっと活発に意見交換しよう。また4月に行われる地域女性委員会で、具体的なプランニングをしよう。それまでにニーズが把握されていること。
    B. 男性のサポート・・・男性の意識覚醒と協働プログラム
     →男性とのジョイントプログラム(に行かないまでもおしゃべり会でもいいから)を少なくとも一回は開こう
    C. 資金・・・活動資金をどうするか
     →次回の地域委員会までは、それぞれが責任もって探そう。WSCF A-PのMAPなどの基金も活用していこう。

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<最後の礼拝>
 みんなでやり終え、Gigiがお祈りをしようと提案。電気を消し、ロウソクを立て歌を歌う。そして一人づつ自由にお祈りをしていく。これからも頑張っていこう、差別を乗り越えるために女性の活動が本当に豊かになるように、ストレスが溜まって不平ばかりを言ってしまったことを許して下さい、私たちに力を与えて下さい、いろんなお祈りがあった。この人たちと信じてやっていこうと強く思った。これってsisterhoodだよなと嬉しかった。

<ミリアムの活動と非常に関連すること>
*"Regional Update on Women's Committees"は今後二年間の内98年7月・99年1月の二回の締切で、次の月に発行されることになった。
*1999年7月に、もう一度アジア太平洋地区の女性が集まるRegionalMeetingを開くことになった!!!
*地域女性委員会は4月16〜22日、タイで行われる。MIRIAMの活動の評価と96年夏のWSCF National Women Leadership Trainingに関する評価と報告をすることになっている。
*北アジア地域でやったらいいなということで、韓国と「日本軍性的奴隷(従軍慰安婦)問題に関するワークショップ」ができたらいいなと、2人で提案してきた。が、韓国の参加者2人は、これからKSCFに関わって行くかどうかは分からないと言っていて、でも具体的なプランを出してもらえたら、少なくともスタッフに意向を伝え、協力すると言うことだった。

 ということで、3月末か4月の初めに一度ビック・ミリアムを開きたいですね。そしてきっちり今後の自分たちの方向性を確認して、今までの評価と反省をしたいですね。また英語の問題をマジで考えんといけんですね。

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 さて新林個人の反省;最初から本当に多くのみなさんに支えられて出発しました。正直に言うと、自分がこけて(パスポートで出発が延びて)初めてその大きさに気づきました。遅すぎるやら、情けないやら。真希さんにも本当にしんどい思いをさせたし、プログラムの内容はちゃんと通訳できてないし「ここからが始まり」と言ってくれたのがすごく救いでした。私は本当に自分の力量をオーバーしたところでいろんなことをやってて、それが何とかなっているのは、私も全力投球のつもりなんだけど、そうじゃなくって、それができるだけの土台を与えてもらっているんですね。気づかせてくれてありがとう。私も少しは、土台を作っていく方になりたいけど、本当になれてない。実際どうやってなったらいいのか・・・。マジで分からない。与えてもらうことが当たり前になってる。
 このプログラムを本当に何らかの形で、じっくり還元したいです。単なる方法論のシェアではなくて。
 地域女性委員について;プログラムに参加する中で、自分がこんな重大な仕事を引き受けてしまったことを自覚していった。本当に女性リーダーでもいろんな人がいるし、アジア太平洋地区の多様さに今後一緒にいかなる方向性をもってやっていけるだろうかと、実際、途方に暮れてしまった。そして日本という自分の背景を引き受けていかねばと改めて迫られることも多かった。毎晩のコミッティでは「そうだったのか」の連続だった。ネクタや他の女性委員のラシェルやシンシアが自分なりの思いを抱えてプログラムを’創って’いるのを見て、そして正直にいろんな気持ちを(涙がでたり、口論になったり)シェアしてくれることに驚き、でも嬉しくて感動した。自分も意見の出しっぱなしじゃなくて、何か貢献したいと思うんだけど、そしていろんな機会を与えてもらったんだけど、活かし切れなかった。もうやりすぎくらいなのが、歌と踊り・・・そして裏コミッティ。
 でも今度は、もう一歩踏み出します。ラシェルやシンシアと口論するぞ〜(敢えてするわけじゃないですよ。それぐらい深いコミットができたらいいなという意気込みの表現から。注;シンシアとは、香港SCMの切れ者で猫好きのめちゃやさしい人・ラシェルとは、オーストラリアSCMのこれまた切れ者でめちゃいい筋肉を持ってる人、真希さん曰く私と何かがよく似ている?!そうです。)

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