女性・暴力・人権

渡辺和子編著/学陽書房/1994年11月/2200円


   
 

目 次

序論 女性に対する暴力と人権運動 1 新たな人権論へ向けて 2 アジアから、世界から
3 日本における暴力の現状と闘い 4 戦略に向けて 5 女性の人権と国連の役割

序論

女性に対する暴力と人権運動   渡辺和子
1 女性に対する暴力
2 人権の概念化―女性に対する暴力は人権侵害
3 女性の人権運動

1 新たな人権論へ向けて

「女性の人権論」の新たな展開   中島通子
1 いま、なぜ「女性の人権」なのか
2 女性の人権を妨げてきたもの
3 女性差別撤廃条約の意義と不十分さ
4 女性に対する暴力撤廃宣言が明らかにしたもの
@女性に対する暴力とは
A侵害される女性の人権
B差別の社会的措置
5女性に対する暴力撤廃のための国の義務
6日本における「女性の人権」の課題
@何が人権か
A日本的企業中心社会と人権論の再構築
フェミニズム人権論に向けて   大越愛子 
1はじめに
2日本的人権概念の問題
3近代的理念の日本への導入
4女性の人権はどう理解されたか
5今後の展望

2 アジアから、世界から

世界に拡がる女性の人権ネットワーク  渡辺和子
1はじめに
2国際学際女性会議から
3ウィーン人権世界会議
@女性の人権法廷
A戦争と女性に対する暴力
Bウィーン人権宣言
4女性の人権アジア法廷
@現代の人身売買
A基地買春
B「従軍慰安婦」制度
女性「政治犯」への性暴力   山下明子
1政治犯の意味と範囲
2拘禁中の性暴力、性拷問
3世界中に広まる性暴力とそれとの闘い
4なぜ起きるのか
5どうすれば防止できるか
アジア女性の人身売買をなくすために   松井やより
1セックス・ツアーから人身売買へ
2性暴力の背景―「開発」の犠牲者として
3人身売買との闘い
@アジア女性の人身売買の原因や実態をとらえる多面的な視点
A日本での人身売買問題への取り組み
B人身売買被害者救援と防止のための今後の行動計画への提言

3 日本における暴力の現状と闘い

慰安婦問題と女性の人権   皇甫康子
1はじめに―「在日」女性と慰安婦問題
2慰安婦問題の歴史と実態
@慰安所形成史
A慰安婦制度の役割と実態
B朝鮮人慰安婦たちの戦中・戦後
3慰安婦問題の現状
4慰安婦問題とは何か
5おわりに―慰安婦問題の解決とは
五年間の活動を通して見る性暴力の実態   青木もも子
1性暴力を許さない女の会
2相談電話から見る強姦神話のウソ
3行政や企業への抗議行動
4ストップ痴漢キャンペーンへ
働く権利とセクシュアル・ハラスメント   長井チエ子
1セクシュアル・ハラスメントの発見
2アンケートが示す日本の実態
@すべての年齢・職種で、あらゆる雇用形態の女性が被害に
A宴席はセクシュアル・ハラスメントの無法地帯
B露骨になった女らしく≠ネいことへの憎悪
C十人に一人が退職
D沼津、福岡の画期的な判決
Eセクシュアル・ハラスメントはコミュニケーション・ギャップの問題か
働く権利とセクシュアル・ハラスメント   長井チエ子
1みずら″の活動
2アジアからの出稼ぎ労働者
タイ女性Sさんの救出作戦
人身売買の四段階
性≠フ大量消費国日本
外国人登録法違反
リトルバンコク
ミスコン・ポルノ・性暴力   山口典子
ミス・コンテストの実態調査から
「女性美」という名の強迫文化
政治戦略としてのミスコン
第三世界とミス・コンテスト
つくられた女の「意識」
米軍基地−女性への暴力   高里鈴代
1強姦犯に軍追放の判決だけ……
2女性の体は戦場のように踏み荒らされた
3容認された暴力 − 基地買春
4米軍の保健政策、実は性病対策
5女性の性は罰金の対象となる
6本土から一六年遅れの売春防止法
7男らしさの儀式
8女たちのネットワーク

4 戦略に向け

夫(恋人)からの暴力   角田由紀子
1家庭内暴力
2夫からの暴力をめぐる実態
@家裁の離婚理由
A離婚判決にあらわれた例
3D・V調査研究会の中間報告
4「家庭」の中で暴力が許されているのはなぜか
@性差別社会の権力構造
A司法の加担
B暴力被害を隠す構造
5いま、何が必要か
6ドメスティック・バイオレンスと女性の人権
強姦罪の問題点   段林和江子
1はじめに
2強姦罪の法定刑について
3強姦罪の構成要件について
4夫婦間の強姦は成立するか
5強姦罪の告訴期間について
6近親姦処罰規定の不備
女たちのコミュニケーション論をめざして   加藤春恵子
はじめに − 人権とコミュニケーション ―
1女たちのコミュニケーション ― 日米女性解放運動比較 −
2女たちの自他関係認識 − 分離・同一・交流 −
おわりに − 「フェミニズム」から「女の人権運動」 へ

5 女性の人権と国連の役割

女性の権利の国際的保障について   丸山珠里
1はじめに
 @国際的保障
A国際法
B国際連合
2国連における女性の権利の国際的保障 ― 実体規則 −
@包括的な人権の国際的保障
A個別的な分野における女性の権利の国際的保障
B包括的な分野における性差別の撤廃による女性の権利の国際的保障
3国連における女性の権利の国際的保障―手続規則―
@国家報告制度
A国家通報制度
B個人通報制度
4おわリに
女性に対する暴力撤廃宣言の意義と課題   米田眞澄
はじめに
1人権としての女性の権利の確保
2女子差別撤廃条約の限界を越えて
3女性に対する暴力撤廃宣言の課題―条約化に向けて
おわリに

あとがき―「女性の人権」の潮流を受けて 

〔資料〕
 女性の地位向上のためのナイロビ将来戦略(抄)
 ウィーン宣言及び行動計画(抄)
 女性に対する暴力の撤廃に関する宣言