アメリカ文学史 殖民地文学からポストモダンまで

別府恵子・ 渡辺和子編著/ミネルヴァ書房/1989年5月/2500円


   
 

目 次

T 1620−1820 U1820−1865 V 1865−1914
W 1914−1945 X 1945−現代 巻末

T 1620−1820

〈時代思潮〉 植民地の創設 殖民地における分離主義と非分離主義  マサチューセッツ湾植民地における非分離主義     ピューリタニズムの衰退  拡大する新大陸と啓蒙思想  大覚醒  アメリカ革命  合衆国憲法と領土の発展

 

第1章  散  文

〈概説〉 先住民の口承文学  探険者による記述  記録文学 ピューリタンの文学  独立期の文学

1 17世紀前半―新大陸探険とピューリタニズムの時代 
(1)スミスとバード  スミスと紀行文   バードと新大陸像
(2)ブラッドフォードとウィンスロップ   『プリマス植民地』   「丘の上の町」   日記文学  
2 17世紀後半―ピューリタニズムの衰退
(1)インクリース・マザー,ローランドスン,シューアル 「エレミアの嘆き」   ローランドスンとピューリタン信仰  シューアルの『日記』
(2)コットン・マザー   『不可視の世界の驚異』  『アメリカにおけるキリストの大いなる御業』
3 18世紀前半―理性の時代 
(1) エドワーズ  「怒れる神の手のなかの罪人たち」  エドワーズの評価
(2)フランクリン   ヤンキーの父  『自叙伝』その他
(3)ウールマンとバートラム   『ウールマンの日記』 『バートラムの旅行』
4 18世紀後半―アメリカ独立の時代 
(1)トマス・ペイン 『コモン・センス』と『人間の権利』 『理性の時代』
(2)ジェファスンと連邦主義者たち  独立宣言 『ヴァージニア覚え書』   ジェファスンの理神論  連邦主義者たち
  「アメリカ人とは何か」  アメリカ小説の父

第2章 詩

〈概説〉ピューリタン的想像力 新天地の歌

1 17世紀―植民地時代
(1)ブラッドストり一卜   詩作する女性  女性としての視点
(2)テイラー   瞑想詩と形而上詩の伝統  「洪水に寄せて」 
2 18世紀―共和国形成時代 
(1)フリノー  アメリカ独立革命の詩人  ロマン主義詩人の先達
(2)バーロウ  偉大なアメリカの叙事詩  冗長な詩の雄大な構想

U1820−1865

〈時代思潮〉  国民意識の高揚  民主主義の確立  新しい思想   超越主義思想  マニフェスト・デスティニィ  南北対立の表面化

 

第1章  散  文

〈概説〉国民文学を求める声  コンコードの超越主義グループ

1 超越主義の時代(T)
(1)エマスン   『自然論』  「アメリカの学者」   「神学部講演」    「自己信頼」  自然の位置と役割  「対応」の原理
(2)ソロー    全体像  自然観  野性  『ウォールデン』の構成とテーマ   「市民としての抵抗」  
2 超越主義の時代(U) 
(1)エマスンの周辺作家―チャニング  人間尊重の先駆者   奴隷制反対論  
(2)エマスンの周辺作家たち−オルコットとフラー   実践的超越主義者オルコット  フェミニズムの先駆者フラー

第2章 小  説

〈概説〉 アメリカ小説の誕生に向けて    アメリカ小説の誕生―同時代へのアンチテーゼ  象徴主義と小説における新たな試み 女性作家と家庭小説

1 ロマン主義時代(T)
(1)アーヴィング   イギリスヘの郷愁と現実からの逃避 人生の傍観者
(2)クーパー   クーバーの現状認識  『革脚絆物語』  アメリカ神話の批判
2 ロマン主義時代(U) 
(1)ポー  閉ざされた空間  葛藤を欠いた一人芝居  「穿と振子」    感性と知性の共存  短編小説    ポーの再評価  
(2)ホーソン   ピューリタンの過去  ロマンスと人間の心の真実  「僕の親戚,モリノー少佐」  『緋文字』  『七破風の屋敷』
(3)メルヴィル    水夫体験  「人間は天使か犬か」  時代批判と孤立  実験小説  『白鯨』 

 第3章 詩

〈概説〉「伝統派」と「実験派」 南北戦争の詩

1 ロマン主義時代(T)
(1)ポーとエマスン    ポーの「詩の原理」 詩人としてのエマスン
(2)ブライアント,ロングフェロー,ホイッティア  「アメリカ詩の父」  「水鳥に寄せて」  「アメリカ国民詩人」  ロングフェローの功績  “Schoolroom Poet”
2 ロマン主義時代(U) 
(1)ホイットマン ホイットマンの現代性  リンカーン追悼詩  アメリカの叙事詩
(2)ディキンスン   ディキンスンの現代性 ディキンスンの自然詩  愛と死のテーマ     

V 1865−1914

〈時代思潮〉 南北戦争後の近代化  産業化と都市化  金メッキ時代   労働運動の激化  革新時代  近代資本主義  

 

第1章 小  説

〈概説〉 南北戦争後のアメリカ文学  リアリズム文学の形成    ジャーナリズム,大衆文学の形成   地方色文学の形成     女性作家の活躍  自然主義文学の形成

1 リアリズム文学の時代(T)
(1)トウェイン    新しい文学の誕生    『ハックルべリー・フィンの冒険』    金メッキ時代の文明批判  風刺作家から悲観主義者へ
(2)ジェイムズ    ジェイムズ文学の誕生  ヨーロッパ対アメリカ    心理的リアリズム文学  金銭の世界  アメリカ女性像
(3)ハウエルズ     批評家ハウエルズの小説  『卑近な事例』    『サイラス・ラパムの向上』  社会風俗的リアリズム
(4)アダムズ      歴史家アダムズ  『へンリー・アダムズの教育』 金メッキ時代批判の小説
2 リアリズム文学の時代(U) 
(1)ハートと地方色文学   ハート  地方色作家たち
(2)ニューイングランドの地方色作家たち   ストーと地方色文学  ジュエット  フリーマン
(3)ショパン,ギルマン,ウォートン  ショパンと『めざめ』  ギルマン  ウォートン  『歓楽の館』   『無垢の時代』
3 自然主義文学の時代 
(1)クレインとノリス  自然主義文学の台頭  クレイン  ノリス
(2)ドライサーとロンドン   ロンドン  ドライサー    キャリーの「欲望」  『アメリカの悲劇』

第2章 劇

〈概説〉 植民地時代の演劇  革命時代とそれ以降の作家

1南北戦争後―アメリカ演劇の先駆者たち 
ヨーロッパ劇の模倣   ブーシコールト   デイリー    ハワード   ベラスコ
2南北戦争後―マッケイとムーディ  マッケイ  ムーディ

 W 1914−1945

〈時代思潮〉 両大戦のはざま  狂乱の20年代    1920年代の影     ジャズエイジ    崩壊    苦難の時代  

第1章 小  説

〈概説〉 アメリカ文学の国際化・普遍化  アメリカ文学の深化   文学をめぐる状況  20年代と30年代の文学

1 モダニズムの時代  (T)
(1)キヤザーとスタイン  キャザー    スタイン
(2)ルイスとアンダスン     ルイス   アソダスン
2 1920年代   
(1)フイッツジェラルド ジャズ時代の物語  『偉大なるギャッビー』
(2)ヘミングウェイ   個と全体  『ニック・アダムズ物語』
(3)フォークナー   ヨクナパトーファの内と外  「熊」
(4)ドス・パソスと「ハーレム・ルネサンス」  ドス・パソス    『USA』三部作  「ハーレム・ルネサンス」
3 1930年代   
(1)ウルフとコールドウェル―南部の作家たち  ウルフ  コールドウェル
(2)ファレルとオルグレン―中西部の作家たち  『スタッズ・ロニガン』三部作  オルグレン

(3)スタインベックとサロイアン―西部の作家たち   スタインべックの主要作品  サロイアン
(4)ミラーとウェスト ミラー  ウェスト  その他

第2章 詩

〈概説〉アメリカ詩のルネサンス 「シカゴ・ルネサンス」   モダニスト 「ハーレム・ルネサンス」と「サザン・ルネサンス」

1 アメリカ詩確立の時代 (T)
(1)シカゴ・ルネッサンスの詩人たち  シカゴ・ルネッサンス    マスターズ  『シカゴ詩集』  リンジー
(2)モダニズムの先駆者たち   伝統と新しい声  フロスト    『ボストンの北』  ジェファーズ
2 モダニズムの時代  
(1)パウンド パウンドのモダニズム  『キャントーズ』
(2)エリオット   『荒地』   『四つの四重奏』   スタイン
(3)瞑想と凝視の詩人たち    スティーヴンズ  ウィリアムズ   『パタスン』
3 モダニズム展開の時代   
(1)ムア,カミングズ,クレイン  アメリカ現代詩   ムア   ワイリー,ミレー,パーカー  カミングズ     クレイン   ハーレム・ルネサンス
(2)新批評の詩人たち   サザン・ルネサンス  ランサム   テイト  ウォレン

第3章 劇

〈概説〉 ヨーロッパの新劇運動の影響  アメリカにおける小劇場   大学付属劇場  1920−30年代の劇作家

1 1920年代  
(1)オニール   初期の作風  『橡の木陰の欲望』  斬新な舞台装置   第三期の作品の特徴  『地平線の彼方』   『皇帝ジョーンズ』と『毛猿』 晩年のオニール
(2)ライス    新しい作劇の試み  『計算機』
2 1930年代  
(1)アンダスン,キングスレー,シャーウッド   経済大恐慌の影響   『ウィンターセット』  キングスレー 『デッド・エンド』    シャーウッド
(2)グリーンとワイルダー    南部出身の作家グリーン  ワイルダー
(3) オデッツ   オデッツ   『レフティを待ちつつ』
(4)へルマン   『子どもの時間』     『子狐たち』

 X 1945−現代

〈時代思潮〉 戦後世界の二極構造化  アメリカの世紀    大衆社会の出現     開かれた60年代   若者革命  不確かさの時代    ミーイズムの時代  保守主義の台頭     

第1章 小  説

〈概説〉 1945年から1960年頃まで  1960年頃から1970年代半ば頃まで    1970年代半ば頃から現在まで 

1 1945年から1960年頃まで
(1)メイラーとジョーンズ―戦争小説   メイラー  ジョーンズ
(2)南部の作家たち   ウェルティ  マッカラーズ  オコーナー    カポーティ  その他
(3)黒人作家たち   ライト  エリスン  ボールドウィンと60年代以降
(4)戦後世代の作家たち  メイラー  サリンジャー
(5)不条理小説の作家たち   不条理小説の類型  スタイロン   パーシー  ビート世代の小説
2 1960年頃から1970年代半ば頃まで   
(1)ユダヤ系作家たち  ユダヤ系作家とは べロー  マラマッド ロス
(2)リアリストたち    アップダイク  オーツ  ガードナー
(3)ブラックユーモアの作家たち ブラックユーモア  へラー  バース   ピンチョン  ヴォネガット  その他
(4)ニュージャーナリズムの旗手たち    メイラーとウルフ  トンプスンその他
(5)ニューフィクションの書き手たち    バーセラムとブローティガン  バース,クーヴァ,ギャス
3 1970年代半ば頃から現代まで  
(1)ネイティヴ・アメリカンの作家たち モマディ  シルコー   アードリックとウェルチ  他の少数民族の作家たち
(2)女性作家たち   ピアシーとフレンチ  その他
(3)その他の動向   自伝(伝記)体小説と歴史小説  実験小説   リアリズム復活の動き  ミニマリズム  

第2章 詩

〈概説〉戦後アメリカ詩の展開    戦後アメリカ詩の多様性   “Poetry Reading”  『吠える』と『人生研究』   現代アメリカ詩人と社会

1 1945年から1960年頃まで 
(1)ローウェル  『懈怠卿の城』  『人生研究』  「病んだ季節」
(2)べリマン   『ブラッドストリート夫人への賛辞』  連作『夢の歌』
(3)セクストン  「告白詩」    狂気と詩作
(4)プラス   フェミニズムとプラス  詩人としてのアイデンティティ
2 1960年から現代まで  
(1)ブライ   反戦詩  「内面的イマジズム」
(2)レヴァトフ     レヴァトフとアメリカ  “Cancion”
(3)ギンズバーグ 『吠える』  「アメリカの夢」と現代アメリカ詩人
(4)リッチ 己探求と詩作  リッチとフェミニズム  黒人女性詩人
(5)スナイダー  スナイダーのライフスタイル  「パイウート・クリーク」   エコロジーとスナイダー  レックスロスとマーウィン

第3章 劇

〈概説〉大戦後のアメリカ演劇の動向  オフ・ブロードウェイ,オフ・オフ・ブロードウェイ  黒人演劇  ミュージカル 個人的な演劇体験の必要性

1 1950年代 
(1)オニール 1950年代のオニール  『夜への長い旅路』
(2)ウィリアムズとミラー  オニールの後継者  『ガラスの動物園』    ウィリアムズの心理描写  社会派のミラー  大衆演劇  黒人演劇
2 1960年代  
(1)オルビーとコピット   前衛演劇とオフ・ブロードウェイ    『動物園物語』  コピット
(2)ウィリアムズ,ミラー,サイモン 『イグアナの夜』   ミラー   ブロードウェイの寵児−サイモン
(3)黒人劇作家  ハンズべリー  ボールドウィン  バラカ
3 1970年代 
(1)シェパード   オフ・オフ・ブロードウェイ  演劇界のニューウェイブ―ーシェパード
(2)マメット  シカゴの演劇   『アメリカン・バッファロー』
(3)1960−70年代の劇作家たちのその後 オルビー,サイモン    ウィリアムズ,ミラー
4 最近のアメリカ演劇  
(1)ノーマン  新進劇作家  『脱出』
(2)シェパード,マメット,サイモン   『真実の西部』    シカゴ演劇   
(3)アメリカ演劇の今後 

第4章 批  評

〈概説〉構造主義以前  構造主義とその後

1 構造主義以前
(1)ニュー・クリティシズム  アカデミズム批判と批評の独立  「意図を読む誤謬」と「感情移入の誤謬   有機的統一をなすテキスト
(2)シカゴ学派  多元論の提唱  アリストテレス的方法論
(3)神話批評  文学体系の確立  神話と原型
2 構造主義とその後
(1)構造主義と記号論  アメリカにおける構造主義の流れ  ソシュール言語学  構造主義と文学批評
(2)読者反応批評  文学批評と読者  フィシュの理論   経験分析と学識ある読者  解釈の戦略と解釈共同体
(3)解体批評  デリダの解体批評 イェール学派の四人
(4)フェミニスト批評  女,あるいは「抵抗する読者」 ガイノクリティクス     文学史の修正  

 

巻末
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