2000.4 例会

シリーズ『離婚』 第4章 『離婚』と“癒し”

―「回復」から「自立」へ― 〜“フェミ・力(パワー)”を信じて〜

◆お話し  今西 康子さん

<ウィメンズカウンセリング京都・フェミニストカウンセラー>
今西さんは、現在、民間や行政機関で女性問題カウンセラーとして、ドメスティック バイオレンスや離婚、セクシュアルハラスメントに関する相談を担当したり、自己尊重・自己主張トレーニングなどのトレーナーを行っておられます。その経験をもとに、フェミニストカウンセリングの実際と“癒し”〜回復の援助〜から次のステップヘの考え方についてお話しいただきます。

◆お話しの後は、自由な語り合いの時間を持ちます。

◎日 時/4月29日(土・休日) PM1:30 〜 5:00
◎会 場/ドーンセンター  4階 大会議室 
◎参加費/会 員 500円、 非会員 700円


4月例会報告

参 加 者 :15人(会員5人)
話題提供者:今西康子(ウイメンズカウンセリンク京都)

「『離婚』 と"癒し”フェミパワーを信じて 」   川端 里奈

女性は、育てられる過程において、「結婚しなければいけない」と刷り込まれていく。 「結婚して子どもを持って一人前」という刷り込まれた成熟イメージを忠実に遂行するな かで、女性はいつのまにか「自分自身はどうしたいのか」を考える機会がどんどん減って いく。そして「いつも他者のために行動する事」を強いられる生活の中で、ますます「自 分の本当の気持ちやしたいこと」がわからなくなっていくのである。

 フェミニストカウンセリングは、相談者カウンセラーが共に女性という立場に基づいて傾聴・ 共感・受容を通して、フェミニズムという新しい視点を獲得させ、相談者が深く物事を 考えられるように導き、「自分のことをわかってくれる人がいるんだ」という意識を育てていく。 そして、相談者が今まで持っていながら上手く使えなかったり抑圧されていたりしていた 潜在的な能力やパワーを見いだして使えるように導いている。

     現在の男女関係では、女性は世話をする側に立たねばならない機会が男性に較べて圧倒 的に多く、その時には「世話をされる側」である男性からの評価が下される。その時の女 性の思いやりや心遣いといった情緒的な行為は金銭的に評価されないばかりか、しばしば 男性からは当然とみなされ、仮に一生懸命やっても、男性側が何かしら不満を感じれば、 女性として失格という烙印が押されてしまうのである。

 ドメスティックバイオレンスはこのような「支配(世話をさせる側)」「被支配(世話を させられる側)」の延長上に生じる。夫からの暴力を受けている女性は自分の決めた結婚 相手だから結婚生活を継続していかなくてはならない、夫を怒らせないようにしなくては いけないと結婚相手を選択し損ねた自分を責めたり夫を怒らせる原因を作る自分を責めた りしがちである。

また、夫は変わってくれるかもしれないという一縷の願いに希望を託す 事も多い。また、離婚を決心するという「自己決定」にためらいの気持ちや罪悪感を持つ。 母子家庭の経済的な基盤のもろさや住宅問題がそのためらいの気持ちをより促進させてし まう。また、生活を根こそぎ変えることの不安や難しさもそのことに拍車をかける原因と なっている。

 しかし、自分の生き方を再び考え、自分はどういう人間でどういう関係性を生きたいの かをじっくり見つめたとき、現実の関係性に潜む問題が整理され浮かび上がってくる。こ の過程のなかで妻は変わってくる。夫はそれにどう対応できるかによって、互いがこの相 手とやっていけるのかいけないのかという結論がでるのである。

 セルフコントロールと自己決定を大切にし、怒りの感情を素直に認めていくことで、ア サーティブな発言や行動ができるようになる。怒りの感情を押さえ込むことは「鬱」や 「自責」といったマイナスにしか働かない。

しかし、離婚することは多大なエネルギーを必要とする。サポートグループに積極的に関わり、 精神的に互いに支え合うことは大切なことであり、同時に必要なことである。離婚は 自分らしく生きるための一つである。私たちは、心身共に健康で安全に自信を持って生きる権利があるのだ。