日本女性学研究会3月例会のお知らせ

『女性学年報』28号 合評会

○日 時2008年3月15日(土)13:30〜
 懇親会 18時〜
○場 所ドーンセンター4階 大会議室3(大阪市中央区大手前1-3-49)
ドーンセンターへの行き方
○会 費一般:800円(日本女性学研究会会員は無料・第一部参加者は第二部無料)


◆ 田中亜以子さん

ウーマン・リブの「性解放」再考  ―ベッドの中の対等性獲得に向けて―

 70年代に盛り上がった女性解放運動であるウーマン・リブでは、「女の解放は本質的に性の解放としてある」と、「性の解放」が求められた。リブの言う「性の解放」とは、どのようなものだったのだろうか。先行研究においては、一方で「ロマンチックラブイデオロギーの完全な実現を目指したもの」とされながら、他方では「女の性欲を自己主張した」とロマンチックラブイデオロギーを打ち壊すような主張であったとされている。本稿では、リブの「性解放」の主張がこのような一見した矛盾、もしくは両義性をはらむことになったのはなぜなのかという疑問に迫りたい。さらに、リブの主張を「女の性的快楽」を軸に再考することによって、残された課題を明らかにしたい。


◆ 山田晃子さん

「お姫様」が好き!
―近現代日本の翻訳作品における白雪姫像の変遷と作られていった「お姫様」イメージ―

 グリム童話やディズニー映画でよく知られる「白雪姫」が初めて日本人の目に触れたのは、明治時代にまで遡る。それから現在までの約120年間で、そのストーリーは大きな変化を遂げた。その変遷を、女性像としての白雪姫に注目して追ってみようというのが本稿での試みである。現在、フェミニズム的観点からは、ジェンダーステレオタイプな女性像として批判を受けることの多い白雪姫であるが、「お姫様」というものが大好きな少女・元少女からは絶大な支持を集めていることもまた事実である。

 この白雪姫像を受容当初から詳しく見ていくと、二度の大きな転換点を経て、アイデンティティーや主体性を獲得していき、ジェンダーステレオタイプ以前とも言える非常に消極的な初期の表象からは、大きく変化していることがわかる。そしてそれはいつも女性達を意識して、後には女性達自身の手によってなされてきた。この変化を追う中で、現在に至るまで「お姫様」というものが一部の女性達をとりこにしてきた歴史についても考えたい。