Subject: [reg-easttimor 3] 東ティモール:命を守るための徹底した措置を!
From: Makoto TERANAKA <teramako@jca.apc.org>
Date: Tue, 14 Sep 1999 19:47:21 +0900
Seq: 3

てらなか です。

アムネスティ日本支部からの発表です。

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アムネスティ・インターナショナル日本支部発表

1999年9月14日

東ティモール:いま、命を守るための徹底した措置を!
〜アムネスティ・インターナショナルから国際社会へ10ポイントの要請〜

 9月12日、インドネシア政府が国連平和維持軍の受け入れを表明したが、アムネ
スティ・インターナショナル日本支部(アムネスティ)は、東ティモールの治安が依
然として危機的状況にあることから、国連平和維持軍の展開にはいささかの遅れも許
されないと考える。国連がその責任、特に東ティモールの人びとの人権を守る責任を
果たすのが遅れれば遅れるだけ、より多くの生命が失われていくことは明白である。

 もしも国連平和維持軍が東ティモールに治安を回復し、東ティモールの人々の信頼
を得ようとするのならば、その任務は広範なものであるべきであり、かつインドネシ
ア軍(TNI)の任務は制限されるべきである。8月30日に実施された住民投票の前
後の期間を含め、インドネシア軍(TNI)は、東ティモールでもう20年以上も、恣
意的殺害、恣意的拘禁、拷問、「失踪」といった広範な人権侵害を起こしてきた。し
かしながら、これまでその責任を問われることなく、放任され続けている。

 アムネスティは、そうした経緯から考えて、インドネシア軍(TNI)が東ティモー
ルの人々の人権を守るために役割を果たすのは不可能であると確信している。あらゆ
る証拠が、インドネシア軍(TNI)が、東ティモールでの人道に反する犯罪の実行に
関わったことを示している。

 インドネシア軍(TNI)と親インドネシアの武装民兵は未だに現地を制圧している
。そして民間人に対してさらなる大規模な人権侵害を引き起こしている。何千人もの
域内避難民が人道的な援助を必要としているし、現在西ティモールにいる11万人を
越える難民たちはそこに拠点を置くインドネシア軍(TNI)や武装民兵らによるさら
なる人権侵害の危険にさらされている。

 今こそ、国際社会にはその責任を果たすべき義務がある、ということをすべての人
の心の中に、一点の疑いもなく、しっかりと刻みつけるべきである。東ティモールの
人びとにこのような惨状と苦痛をもたらした者に、責任回避の余地を与えてはならな
い。5月5日の合意に基づけば、国連は、脅迫や嫌がらせにもかかわらず、勇敢にも自
決権を行使するために8月30日の住民投票に参加した、東ティモールのすべての人び
との命と人権を守る義務をおっている。

 上記に鑑み、アムネスティは、国連安全保障理事会をはじめとする国際社会に対し
、下記を要請する。

1)一刻も早く東ティモールに国連のプレゼンスを確保すること。
 国連が、一刻も早く、非自治領土としての東ティモールに対して、5月5日の合意
に基づいた暫定統治機構としての責任を果たすべく、東ティモールの人びとの人権の
保護、ならびに援助の供給を保障するためのプレゼンスを確保すること。

2)人権侵害に責任のあるインドネシア軍関係者を、平和維持軍に関連する任務から
外すこと。
 5月5日に署名が交わされた東ティモールの将来に関する合意締結以降に東ティモー
ルの治安維持に責任のあったインドネシア軍(TNI)の全指揮官、そして人権侵害に
関与したり、その発生に対して予防措置をとらなかった全指揮官を、今回の平和維持
軍に関係する任務遂行から外すこと。

3)人権保護を平和維持部隊の任務の中心に据えること。構成員による人権・人道法
違反を防ぐ措置をとること。
 法や秩序、法執行機関の任務遂行について再構築すべく、人権の保護を、配備され
る平和維持軍の任務の中心に据えること。すべての部隊の構成員は、法執行や刑事訴
訟に関する国際基準を含む、国際人権基準ならびに国際人道法を尊重し、そして遵守
すること。また、平和維持軍の枠組みに、その部隊の構成員による人権法あるいは人
道法違反について、調査、報告を行うための特別の機関を設置すること。

4)難民ならびに域内の避難民の権利を保護すること。
 難民ならびに域内の避難民の権利の保護を保障すること。国連機関、人道援助団体
ならびに人権団体による、西ティモールを含む、避難民が集まっている地域への十分
なアクセスを保障すること。

5)武装民兵を武装解除し、解体すること。
 武装民兵の解体ならびに武装解除を進めること。国連東ティモール支援団(
UNAMET)がその任務を果たすための安全な状況を構築するために、武器や小火器の登
録、規制のための効果的なシステムを実施すること。

6)国連ならびに他の関係する人員の安全を保障すること。
 国連ならびに他の関係する人員の安全を保障すること。これに関連して、とりわけ
弱い立場にある現地採用の職員を保護するための特別な措置をとること。

7)インドネシアに対する軍事、治安、警察に関する装備、訓練または人員の供給を
凍結すること。
 インドネシア政府が、末端の使用者について検証する効果的なシステムを通じて、
準軍事組織、インドネシア軍(TNI)あるいは警察による人権侵害に使用されないと
いうことを合理的かつ明確に示すことができるようになるまでの間、後方および財政
的な支援を含む、インドネシアに対するすべての軍事、治安または警察に関する装備
、訓練または人員の供給を一時凍結すること。

8)東ティモール域内への、独立した監視者によるアクセスを構築すること。
 独立の監視者による、域内への十分かつ妨害されることのないアクセスを構築する
こと。現在の東ティモールの孤立は、人権侵害が処罰されることなく発生し続けるこ
とを意味するものである。東ティモールの非政府組織(NGO)、報道関係者または人
道支援活動家が、安全に任務に戻ることができるよう、保障されねばならない。

9)人権侵害の加害者を訴追するための措置をとること。
 すべての人権侵害事件が効果的に調査され、加害者とされる者が将来の訴追に向け
て認定されること、ならびに法の支配を回復することを保障し、人権侵害の責任者が
処罰されない状況(「免責」)を止めるための措置をとること。

10)国連東ティモール支援団(UNAMET)を再展開し、東ティモールの人びとのニー
ズを把握すること。
 十分に安全な環境が構築された後、東ティモール全域に、即座に国連東ティモール
支援団(UNAMET)を再展開すること。独立への移行期における東ティモールのニーズ
に対する、国際社会による効果的な対応を保障するために、国連システムによる、東
ティモールの人びととの十分な協議に基づく、短期的および長期的ニーズを把握する
ための調査を実施すること。

 同時にアムネスティ・インターナショナル日本支部は、東ティモール情勢に対する
、日本政府による具体的措置が依然として明確ではないことを憂慮し、9月14日、
日本政府に対し上記10点を可能ならしめるための適切な措置をとるよう要請する。
  

 東ティモールを現在席巻している人権侵害の深刻さに接し、現在、世界中のアムネ
スティの会員が行動を起こしている。世界中のアムネスティ会員たちは、現在、自国
政府や国際社会に対して、東ティモールに関する具体的措置をとるよう要求する大規
模なキャンペーンを展開している。アムネスティは、これまで主に人権侵害の犠牲者
個人のためにアピールをおこなってきたが、今回は、東ティモールの人びと全員を対
象にした活動を展開しており、これは、アムネスティにとってもはじめてのことであ
る。


● この件についてのお問い合わせは:
  アムネスティ・インターナショナル日本支部   担当: 森原 秀樹
  〒169-0051  新宿区西早稲田2-18-23 スカイエスタ2階
   Tel: 03-3203-1050  /  Fax:03-3232-6775  / 
 E-mail:hideki_m@magical2.egg.or.jp

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