Subject: [reg-easttimor 159] 東ティモールから  No.11
From: Koshida Kiyokazu <koshida@jca.apc.org>
Date: Tue, 2 Jan 2001 17:43:13 +0900 (JST)
Seq: 159

東ティモールから No.11

12月24日(日)
 クリスマスを涼しいところで過ごそうということで、エルメラ県に向かう。こ
こは標高1000メートル位の高原。SHARE(国際保健協力市民の会)が、ここに診療
所を開いて活動しているので、そこに泊めてもらおうという計画。
 ディリから車で約二時間。海岸沿いの道路から山道に入るが、道路状態は良い。
クリスマスなので、途中の村でも朝のミサを終えた人たちが道を歩いている。グ
レノという盆地を通りすぎ、もう一度峠を30分ほど登るとエルメラに着く。エル
メラには大きな教会があり、隣のアイレウ県からもこの教会に巡礼にやってくる
という。町自体はそんなに大きくなく、500メートルほどのメインストリートの一
端が教会で、もう一端がPKF。この道の両側に店が並んでいる。着いた時は、ミサ
帰りの人相手の市がたっていたので、道中に人が溢れていた。
 SHAREの診療所は教会にすぐ下にあり、その隣が事務所兼住宅。SHAREの前はポ
ルトガルのNGOが使っていたという住宅は、天井も高く、浴室にはバスタブ、さら
にビデまである。また壊れているが、煙突もついていて、寒い時には暖を取れる
ようになっている。クリスマスなので診療所は休みなのだが、耳が聞こえなくなっ
たというお爺さんが来たりする。診療所は、受付と診察室、薬局(というか薬の
保管場所)などがある。患者さんのカルテもきちんと取ってある。
 東ティモールでは保健医療体制づくりが進んでおり、SHAREで働いている東ティ
モール人看護婦さんは公務員扱いらしく、給料もUNTAETが支払っている。教員に
続いて、看護婦など医療関係者の公務員採用試験が行なわれることになっている。
これは教育部門にも共通することだが、IMF・世界銀行のシナリオにしたがって
「小さい政府」づくりをめざしている東ティモールではできるだけ公務員の数を
減らそうとしている。インドネシア支配時代には1887人いた医療関係公務員を
1000人近くに減らそうとしている。また医療の民営化についての可能性も検討し
てるという。
 夜、教会のクリスマス・ミサに行く。人数が多いので教会内ではなく、外でミ
サを行なう。SHAREの川口さん、蜂須賀さん、平岡さん、ワールドビジョンの一宮
さん、CAREの栗原さんと一緒に行って並んでいたのだが、まわりを見ると女性ば
かり。よく見ると、左側は女性、右側は男性に分かれて並んでいたのだ。あわて
て栗原さんと男性側に移る。ミサは約二時間続く。賛美歌の伴奏は、電子オルガ
ンとエレキ・ギター。ミサの終わりに、みんなで周りの人と握手する。終わった
のは12時前。近くの人は家に帰るが、遠くの村からきた人たちは教会の周りで泊
る。SHAREの家にはベランダというかオープンな廊下があるのだが、そこにもみん
な泊る。エルメラは夜だけ電気がつくらしいのだが、今夜はクリスマスというこ
ともあってか12時すぎても電気が消えない。家に帰ってからトランプ大会。

12月25日(月)
 朝ボーッとして起きる。遅い朝食の後、みんなで雑談。そのうち何故か、肩こ
りとか疲れの話になり、マッサージ大会になる。その後、車で20分ほど下った沢
まで水汲み・皿洗いに行く。ふだんは蛇口から水が出るのだが、この2日ほど水が
出ていないらしい。私たちは給水管から漏れる水をポリタンクに溜めて事務所に
戻ってくる。水汲みから戻る途中にも、ござを抱えた人たちの列に出会う。余裕
のある家の前には、クリスマス用のキリスト生誕の飾りのある小屋が建っている。
どの小屋も丁寧に飾り付けられている。
 帰りは、アイレウ県を通って帰る道を選ぶ。ある人が途中に「桃源郷」のよう
な所があるというので、ものすごいガタガタ道、しかもところどころ路肩が崩れ
ている道を行く。1時間ほど走ったところで景色が開け、水田が広がる盆地に出会
う。たしかに東ティモールではあまりない風景だ。結局夜7時すぎにディリに着く。

12月26日(火)
 クリスマス休日の2日目。やはりディリ市内の車の量は少ない。午後、世界銀行
の資料室へ行って資料をもらってくる。といっても出入りはノーチエック。おま
けに資料室にも誰もいない。冷房の効いた静かな資料室が使い放題という感じで、
これは良い場所を見つけたわ、と喜ぶ。もっともこの事務所は正式に言うと、東
ティモール信託基金の事務所で、世銀とアジア開発銀行が共同で使っている。
 と言う訳で、ここで入手した資料から少し紹介してみる。この信託基金は、
2000年度は 1億 6644万ドルの予算を持っているが、 12月 1日現在で2198万ドル
しか使われていない。また各国(日本、オーストラリア、ポルトガルEUなど)の
約束額もまだ予算全体の半額(8439万ドル)にしか至っていない。
プロジェクトとしては、1)コミュニティ・エンパワーメント・プロジェクト(
CEP),2)ディリ雇用促進プロジェクト,3)緊急インフラ復興プロジェクト(
ADB)、4)中小企業プロジェクト、5)保健医療部門復興プロジェクト、6)緊
急教育プロジェクト、7)農業復興プロジェクト、8)水・衛生復興プロジェク
ト(ADB)の7部門に対して資金を提供している。プロジェクトの実施主体は
UNTAETということになっている。世銀は「これまでの紛争後の状況から、援助の
調整が重要であるという教訓を得た」として、「東ティモールにおける中心的戦略
を、各援助国が短期間に提供しうる資金をできるだけ有効に使い、援助資金の流
れを調整する」ことにある(世界銀行 Report No.21184-TP)と述べ、東ティモール
の復興に関するプランづくりと資金に積極的に動いている。最終的な実施主体は
UNTAETにしているが、うがった見方をすれば、これはプロジェクトがうまく行か
なかった時の責任をUNTAETに押し付けていると考えることもできる。
 
12月27日(水)
 仕事納めの日(というか習慣が東ティモールにあるかどうか知らないが)。午
前中は、車の整備と備品の確認、倉庫(というか台所兼水浴び場)の整理を行な
う。午後、銀行とAKAM(ディリの大きな商店:経営者は中国系)に行く。帰りに
SAHEによって、アデリートたちと話をする。彼は東ティモール大学で教えている
ので、大学を充実させるにはどうしたら良いかが話の中心になる。前から考えて
いた「社会発展研究所」のようなものをつくり、そこに世界中から研究者・活動家
を集め、新しい発展のパラダイムや実践について議論するのはどうかと言う話を
する。こういうのにJICAが金を出せばいいんだが・・、とは言うが、アデリート
もあまり期待はしていない。「明日はヤヤサン・ハクとSAHE,フォクペルスの合同
ビーチパーティだから、PARCも参加しないか」と誘われ、参加を決定。
 4時頃から、事務所でスタッフの打ち上げ。ちょうど佐伯さんも顔を見せる。
 UNTAETが発行している「TAIS TIMOR」という月刊新聞12月号に、ロケ・ロドリ
ゲス氏が東ティモール国防軍開発事務所(要するに将来の国防省ですね)の代表
として紹介されている。彼は 1989年に「世界先住民族会議」を開いた時に参加した
人。「東ティモールにいる同胞のことを考えると、(海外で)こんな贅沢な暮ら
しをしていいのかと思います」という発言に示されるストイックな態度が印象に残
っている。その人が国防大臣になるのかと思うと、複雑な気持ちになる。東ティ
モール軍はファリンテル兵士を中心に、まず800人の兵士を募集してスタートする
予定だ。山の中でインドネシア軍と戦ってきたファリンテルン兵士の今後の処遇
については、新生東ティモールの大きな課題の一つだった。またインドネシア国
軍と民兵集団が東ティモールを攻撃する可能性がゼロになった訳ではない現状で
は、自衛軍の必要性を否定するのは難しい。ロケさんのような人がトップに座る
国軍が、「非軍事社会」という理念を手放さないものになることを願う。

12月28日(木)
 ヤヤサン・ハク、SAHE,フォクペルス、PARC合同のビーチパーティ。8時出発の
予定が10時近くになる。総勢100名近くが4トントラックやピックアップなどにのっ
て、マナトゥトゥとのUNTAETビーチに行く。われわれの他には誰もいず、貸切状
態。
 みんな元気にサッカー、バレーボール、水泳などを楽しむ。昼食後は、演芸大
会。PARCの運転手のティトさんは、歌もギターも踊りも玄人はだし。別のグルー
プの歌の時も、コミカルな動作で踊る。つられてトメさん、越田、勝谷の順でPARC
スタッフも踊りに加わる。これではPARCは東ティモールでも「軽薄」NGOとして名
が知られてしまうではないか。これはまずい。

12月29日(金)
 今日から年末休み。午後遅くにエルメラ県からSHAREスタッフ(川口さん、蜂須
賀さん、平岡さん)が下りてくる。JICA鈴木氏、佐伯さん、高橋茂人さんもやっ
てきて、人口密度が急に高くなる。
 みんなで夕食を一緒にということで、イースタン・ドラゴンという中華料理屋
へ行く。ここはタイ人が経営しているレストランで、高いけれどおいしいという
評判の店。豆腐料理や鶏肉料理などを頼む。
 事務所へ帰ってみたら、停電。このところ、また停電が多くなってきた。ろう
そくをつけてしばらく雑談。
 「Timor Post」紙のおまけ(?)として、BERAUというカラー印刷16ページの
週刊紙が発刊された。そこの「新しいティモールはシャナナ共和国か?」という英
文記事が載っている。これは、ハッキリとしたシャナナ批判の文章で、このまま
ではシャナナに権力が集中する体制になってしまうこと、UNTAETとの癒着の問題、
などを指摘している。内容の信憑性についてはわからないが、いくら英文とはい
え、シャナナ批判が新聞に載るようになったことには、やや驚く。

12月31日(日)
 というわけで、大晦日です。皆さん良い御年を。

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