Subject: [reg-easttimor 157] 東ティモールから No.10
From: Koshida Kiyokazu <koshida@jca.apc.org>
Date: Wed, 27 Dec 2000 18:06:15 +0900 (JST)
Seq: 157

東ティモールから No.10

12月18日(月)
 朝、お手伝いさんのデデさんが、普通の服でやってくる。これまでは毎日、黒
い服を着たところしか見たことがないので、何だか珍しい。彼女も、お連れ合い
の喪が明けたのだという。たしかにディリの街中で、黒い服を着た女性と胸に喪
章をつけている男性を見る事が多い。
 午後からリキサ県へ。NGOミーティングの後、教育委員会へ行き、フランシスコ
さんと中学校の校舎修理について話し合う。小学校の修理は一応メドがついたと
いうことで、来年からは中学校の修理を始めることになりそう。そこへUNTAETス
タッフのジミーもやってくる。彼はフィリピン人なので、10年も前から友人のよ
うな感じ。ちょうど彼を訪ねようと思っていたので、実にタイミングがいい。小
学校用の机と椅子の見通しについて話をする。世界銀行が机と椅子についての資金を出すこ
とが決まり、入札作業に入っているらしい。ただ、その先の見とおしについては
何もきまっていないようだ。かりにPARCが机と椅子をつくっても、問題はないだ
ろうという話になる。
 一度事務所に戻り、書類をつくってUNICEFに持っていく。5時前だが、UNICEFの
ドアは鍵がかかっている。別の部屋に一人だけ残っている人がいたので、彼に書
類を預け、担当者に渡すよう頼む。もう完全にクリスマス・モードだな。

12月19日(火)
 朝、UNICEFに行く。担当のニコラスと学校改修工事の継続について話をする。
UNICEFとしては、12月一杯で小学校を終え、次に中学・高校の工事に取りかかり
たいようだ。だから小学校改修工事用の資材は、これ以上出したくないと言う。
1月から取りかかるエペロ小学校の分だけは何とか出してもらうことにする。
 帰りにSAHEによる。アデリート君とAPCET(アジア太平洋東ティモール会議?)に
出席していた西パプア人(名前を忘れた)とフレテリンのアントニアさんがいる。
西パプア人は、パプア・ニューギニアから来ているが、会議後オーストラリアに
行こうとして入国を拒否され、そのままここに残っている。この人は人見知りを
する性質なのか、あまり話をしない。アデリート君とアントニアさんは、来年の
選挙でフレテリンは勝利するだろう、と強気の見通しを語る。とくに若者層から
の支持を期待しているようで、東ティモール各地で若者を集めた集会を計画して
いるらしい。一番ライバル視しているのは、社会民主党(ラモス・ホルタやマリオ
・カラスカラオなどが結成)で、「あの党は、UDT(ティモール民主同盟)の隠れ蓑
にすぎない。UDTでは過去の悪いイメージがあるから国連やIMF・世銀に受け入
れられやすいように、新党をつくったのだ」と手厳しい。
 午後、一度リキサ県へ行き、ジミーと打ち合わせ。その後、SAHEでワークショッ
プの反省会。
 夜、PARCインターンの勝谷君の誕生パーティ。スタッフの他に、SHAREの蜂須賀
さん、ADRAの泉谷さん、亀山さんも参加。そして終わり頃にJICA鈴木氏も登場。
カレーライスとサラダというシンプルな料理だが、スタッフはみんな喜んでくれ
る。こちらでは御祝いの挨拶の時は抱き合うので、僕も真似をして勝谷君と抱き
合う。女性に対して、こういう風にするかどうかは知らない。

12月20日(水)
 
 午前中、クリスマスのボーナス(?)として米一袋(50キロ)づつをスタッフの
家に配る。こうやってみんなの家を一軒一軒まわると、ちょっとはみんなの事が
わかった気になる。またふだん通る事のない狭い道に入っていくから、普通の住
宅の様子もわかる。
 午後、UNTAETに行き、教育担当のレゼーネさんに会う。来年の計画について話
をする。UICEFからPARCのことを聞いているらしく、好意的に話してくれる。それ
にしても、ここも広い事務所に職員らしき人は3人。
 夕方、日本政府連絡事務所へ行き、松浦さん(この人が実質的なボス)と草の根
無償の話をする。涼しい時間帯なので、自転車で海沿いの道を走っていったのだ
が、帰りにカレンダーを5部ほど渡される。外務省のつくった海外向けカレンダー
で、生け花の写真がバーンとレイアウトされている。すごいセンスだな、と驚く。
いつもなら「外務省のカレンダーなんか、はれるかよ」というところだが、カレ
ンダーは貴重なので、一部事務所にはる。転向への一歩だな、これは。
 メールのつながりが悪いという話をしている時に、蜂須賀さんが「UNTAETが出
したインターネットの使い方に関する文書には、ポルノグラフィーを見てはいけ
ない、とはっきり書いてあった」という話をした。続けて「あれだけハッキリ
『ポルノグラフィー』と書いてあったのだから、よっぽど多くの人がアクセスし
ているはず」とも言う。この経費はもちろんUNTAETが払っている。ちょっと前の
新聞では、「売春」をしていると決めつけられた女性が近所の人に暴行されると
言う記事も載っていた。何だか気が重くなる話だが、これも東ティモールの現実
の一つなのだ。
 夜、ピースウィンズ・ジャパンの西川さんから食事の誘いがあったので、「マ
マサン・レストラン」に、勝谷くん、SHAREの蜂須賀さんと行く。行ってわかった
のだが、10人ほどテーブルがJICAの伊藤さんの名前で予約してあった。食事をし
ようと思っていたのに、また酒を飲んでしまう。
 
12月21日(木)
 リキサ県の教科書配送に行く。教育委員会についたら、今日の分はもう別の
NGOが持っていったから、配送はないと言われる。それなら明日の分を配ろうかと
言うと、それは準備できていないらしい。うーん、そんなに時間がかかる仕事で
もないし、とくに他の仕事をしているようにも見えないので、準備すればいいと
思うのだが、そうはいかない。結局、無駄足で戻ってくる。
 午後、UNTAETに免税措置の書類を提出する。東ティモールで税金の徴収が本格
的に始まるらしく、これまで「人道的活動」をしているNGOが持ちこむものについ
ては税金などなかったのに、これからは免税措置のためにはUNTETに登録しろ、と
いう通知があった。これが結構面倒くさくて、規約や会計報告も提出しなければ
ならない。今回出したのは、その準備が整うまでの暫定的な登録。
 しかし、ただでさえ輸入に頼っている東ティモールで関税が本格的に導入され
れば物価の値上がりは必至。しかも東ティモール人からの徴税が始まれば(月収
100米ドル以上の人間は、収入の10%を税金として払う)、実質的な賃金は目減
りする。もう一つの問題は、こうした決定がどれだけ東ティモール人に伝わって
いるということ。高級を取っているUNTAETやPKFの人間は税金がかからず、免税店
で安く物を買っているのに、なぜ低賃金の東ティモール人からだけ税金を取るの
かという不満の声もすでに上がっている。たしかに、失業者が多く、雇用の拡大
も望めない東ティモールで、早急に「税制」を整えようとするのは難しいと思う。
とりあえずUNTAETスタッフが身を持って「納税」した方が良いのではないか。

12月22日(金)
 朝のスタッフ・ミーティングで、クリスマスにお金が必要だから、給料を今日
払ってほしいと言われる。クリスマスにお金が要るだろうとは思っていたが、前
回のミーティングでも何も言われなかったので、いつもの通り、月末で良いのか
と思っていたので手持ちのドルが足りない。ルピアとドルと半々で払おうかと言
ったら、交換レートをいくらにするのだと言う話になる。結局はドルで払ったのだが、や
はりお金の問題になると、みんな真剣になってくる。
 クリスマス前なので、みんな早く帰りたそうにしている。午後、給料を払い
「メリー・クリスマス」と言って仕事を早めに切り上げる。
 朝、国際ボランティアセンター・山形(IVY)の桑山さんが到着。薬を持ちこも
うとしたら、その量が多かったので空港の税関でストップがかかったと言う。着
いてすぐ、彼が関わっているバイロピテ診療所の書類を持って、再度税関へ行き、
ようやくOKになった。
 午後、インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)の佐伯さんが到着。日本
の新聞やら雑誌やら日本食やら、いろいろ持ってきてもらう。新聞を読み、何だ
か暗い気持ちになる。
 ディリ市内の至るところに、クリスマス用の飾りが作られていたが、今晩あた
りから、それに豆電球がつき、とてもきれい。とにかくみんな安心してクリスマ
スを祝えるようになったのだ。

12月23日(土)
 昼からJICAのパーティに行く。JICA職員やUNTAET関係者など20人ほどが集まり、
バーベキューをする。UNTAET高橋副代表も来ていたので、久しぶりに話をする。
任期がまた延びて2月までになった、と言う。しかしUNTAETで働く日本人スタッフ
の多くは1月から2月で日本に戻るらしい。
 パーティは、何だかダラダラ始まり、ダラダラ終わる。
 夜、JICA鈴木氏も交えて食事。その後、なぜか花札をする。

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