Subject: [reg-easttimor 109] PARCワールドインフォ2000年7月
From: KOSHIDA Kiyokazu <koshida@jca.apc.org>
Date: Fri, 23 Jun 2000 20:08:04 +0900
Seq: 109

ワールドインフォ2000年7月号

1 東ティモール:ティモール・ギャップをめぐる新たな動き
2 マラウイ反IMF・世銀デモに催涙ガス
3 カンボジア:危機のマングローブ林
4 米国:知的所有権をめぐってアルゼンチンを提訴
5 タイ:緊張続くダム反対派と政府
6 インド:米企業がナルマダ・マヘシャワル・ダム建設に意欲
7 イタリア:バイオテクノロジー・フェアで「シアトルの再現」
8 フィリピン:バタンガス港拡張工事をめぐる疑惑

東ティモール
ティモール・ギャップをめぐる新たな動き
 東ティモールとオーストラリアの間のティモール海にある「ティモール・ギャップ」と呼ばれる海域には莫大な量の石油・天然ガスが埋蔵されている。この海底油田の開発を進めるため、オーストラリアとインドネシアは一九八九年に「ティモール開発共同条約」を結んだ。しかし独立を選んだ東ティモールでは、この共同条約を破棄し、新たな条約を結ぼうという声が高まっている。東ティモール民族抵抗評議会(CNRT)は、オーストラリア政府に新条約を結ぶための交渉を開始する予定だ。新条約では、境界線を両国の中間に設定すること、鉱区使用料を一億一〇〇〇万米ドルにすることを求めていく。
(east-timor@igc.apc.org)


マラウイ
反IMF・世銀デモに催涙ガス
 五月、マラウイ労働組合評議会が呼びかけた世銀・IMFによる経済政策に反対するデモに対して、警官隊が催涙ガスを発砲し、デモを強制的に解散させた。デモ隊は、ムルジ大統領と世銀・IMFなどの代表者が通る道路沿いでプラカードを掲げようとしていた。デモの前日、世銀・IMFはマラウイ市民社会の代表と会合を持ち、統治や貧困、女性の権利、表現の自由などについての要望を聞いていた。
(bwref@gn.apc.org)

カンボジア
危機のマングローブ林
 タイ国境に近いコッコン県では六万三〇〇〇ヘクタールのマングローブ林が消失した。その原因の半分以上は、炭焼きやエビ養殖などによるものだ、と言う。炭は、大半がタイに輸出されており、政府によって操業が禁止されても隠れて操業を続ける業者が跡をたたない。政府は、カンボジア全土におけるマングローブ林保護の象徴として、コッコン県にマングローブ保護林を作った。また一九九〇年代に入って広がったエビ養殖も大きな問題になっている。政府関係者は、カンボジアでエビ養殖が失敗したのはタイから品質の悪い稚エビしか入ってこないからだと説明する。
(mangroveap@olympus.net)

米国
知的所有権をめぐってアルゼンチンを提訴
 米国は、貿易関連知的所有権(TRIPS)をめぐってアルゼンチン政府との間での協議開始をWTOに要請した。これはシアトル閣僚会議後、TRIPS関連では初の設置要請である。アルゼンチンの特許権と試験データ保護に関する法律がTRIPS協定に違反しているというのが、米国の主張である。協議を要請してから六〇日間、二国間で交渉を続け、それが解決しない場合には紛争解決機関(DSB)に小委員会設置を要請することになる。
(juergen.knirsch@greenpeace.de)

タイ
緊張続くダム反対派と政府
一九九四年に完成したパクムンダムでは、計画段階から反対していた住民が、五月半ばからダムの敷地の一部を占拠し、ダムの水門を開けて、魚の回遊・産卵をさせるように求めてきた(六月号のワールドインフォ参照)。その後、現場に警官隊を集めたり、自警団を雇ったり、住民組織リーダーたちに逮捕状を用意したりしてきた。五月三一日、バンヤット内務大臣は、「ダム反対派住民は、今行っているダム占拠が国の財産の重大な破壊行為である、ということを理解しなければならない。このまま国の財産に深刻な影響が及ぶ状態が続けば、状況の打開の為により厳しい措置を取らざるを得ないだろう」とコメントした。電力公社副総裁も「五月三一日からパクムン・ダムの発電機四基すべてが停止している。・・これはタイ東北部の電力供給の安定に重大な影響を与える。・・また現在、ダムの水位は極限に達している。・・」と語り、反対派を非難した。
 バンコクでも、首相官邸前に四〇〇名近くが座り込み、反対派リーダー14名の逮捕状の取り消し、パクムンなどの情報公開(ダムの仕様、補償金の条件、額、環境への影響、その他)を求めている。政府は「問題解決のための中立委員会」を設置し、反対派住民に近い人をメンバーに加えた。委員会は、1.EGATに4ヶ月間(5月から8月)、8門すべての水門を開放させる、2.デモ住民をダムから退去させること、を提案し、長期的な問題解決の為、電力公社、専門家、住民が参加する参加型の委員会を作ることも提案した。15日、電力公社はクレーン車及び職員をダムサイトに派遣したが、住民の強制排除は行なわなかった。住民側は、中立委員会の決定に従ってすべての水門の開放措置が実行に移されるまで、ダム占拠を続けるという主張を繰り返している。
(nobutaka@a-net.net.th)

インド
米企業がナルマダ・マヘシャワル・ダム建設に意欲
 三月二七日、ニューヨークに本社のあるオグデン社が、ナルマダ渓谷に建設が予定されているマヘシャワル・ダム開発の覚書に調印した。同社は大規模ダム建設の経験がない。またインド側のパートナー企業もダム建設の経験がない繊維会社である。建設資金不足と住民の強い反対によって、これまでに米企業と独企業が工事への参加を取りやめている。ダム建設によって六一村の三万五〇〇〇人が強制立ち退きを余儀なく、一一〇〇ヘクタールの農地が水没する。建設に反対する住民は、これまで九度にわたりダム・サイトを占拠し、建設予定地への道路を三ヶ月間封鎖してきた.。
( World Rivers Review, Vol.15 No.2)

イタリア
バイオテクノロジー・フェアで「シアトルの再現」
 五月二六日、ジェノバで開かれている第一回バイオテクノロジー・フェア(ワールド・インフォ六月号を参照)に反対する人びと数千人が、大規模なデモを行なった。このフェアは「バイオテクノロジー:でもあなたはナチュラルよ」をテーマにアグリビジネスなどが集まって開かれたものだ。イタリア、スイス、フランスなどからも集まったデモ参加者の中には、防毒マスクや護身用の盾をもち、警官隊からの攻撃に備えている人たちもいた。NGOや市民団体、緑の党、再建共産党、アナーキストなどからなるデモ隊は、フェア会場に入ろうとしたが、三五〇〇人の警官隊により阻止された。しかし、デモ隊が入場口を占拠したため、フェアは中断することとなった。またイタリア政府もフェアへの後援を取りやめ、参加を予定していた企業の半数が参加を取りやめた。
(asia-apec@jca.apc.org)

フィリピン
バタンガス港拡張工事をめぐる疑惑
 日本の円借款によるバタンガス港拡張工事の受注をめぐって、不正があったのではないかという疑惑が持ちあがっている。



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アジア太平洋資料センター ワールド・インフォ
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『月刊オルタ』7月号(6月25日発行)
特集「沖縄にサミットがやってくる」


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