庄内南部広域水道事業についての公開質問状への回答に対しての再質問状

鶴岡市長 富塚陽一殿 

                         平成12年10月30日

拝復
 庄内広域水道用水供給事業に関する当方よりの質問書に対し、10月23日付けご回答書をありがとうございました。いただいた回答書につきまして、当方の質問内容に対し満足いく回答をいただいていない項目がありますので、改めて質問を以下に提出させていただきます。
 庄内広域水道事業は、鶴岡市民にとって近未来の直接的な水道料金、水質および味、さらには食文化などに対して半永久的に大きな影響を与える非常に重要な生活案件です。そのことに鑑み、今回の回答内容では市民として納得することは残念ながらできません。市民からの付託によって市民生活のコスト、質等を与る立場から私たち水道の末端使用者であり負担者の疑問に対し誠意あるご回答をただちにいただけますようお願いします。

鶴岡市議会議員
ウォーターワッチ・ネットワーク代表
鶴岡水道住民投票の会
草島 進一


 


庄内南部広域水道事業についての公開質問状への回答に対しての再質問状について(回答) 富塚陽一

平成12年10月30日付け貴職より、庄内南部広域水道に係る再質問状の提出がありましたが、前回回答いたしましたように、受水量計画、受水単価および給水開始日などにつきましては、現在協議・調整中または県企業局で精査中であります。

今後、事業内容が具体化されていく中で市議会はじめ去る10月に発足しました水道料金協議会や広報などを通じてお知らせまいります。

なお、再質問の中でHJKについては、別紙のとおり回答します。

@庄内南部広域水道事業の受水契約に関する鶴岡市と県との間で行われている協議の具体的な内容、段階の詳細はどのようなものか。ただちに公開して欲しい。

答:庄内広域水道用水供給事業からの受水量計画については、これまでの議会での質問にお答えしているとおりです。各受水市町村が提出した受水量計画に基づき協議・調整中です。

→●協議・調整の具体的な内容・段階を尋ねているものです。Aの手続き日程とも絡むが、給水協定の締結を本年中に行う予定であるならば、あと2カ月の間で市として、いつどのような形で協議・調整の内容を市民に公開するつもりであるか。あるいは協定の内容を公開しないまま行政内で秘密裏に進め県議会にかかるまで通すつもりであるのか。その点を明確に答えていただきたい

A受水開始に至るまでの行政上の手続きスケジュール(予定)はどのようなものか。ただちに公開して欲しい。

答:庄内広域水道用水供給事業からの受水にかかる行政上の手続きは下記のとおりです。
●山形県水道用水供給規定に基づく給水協定の締結は本年中に行う予定です。
●山形県水道用水供給規定に基づく水道用水給水の申し込みは、給水開始日は未だ決まっていませんが、給水を受ける日の30日まで迄に申し込むことになります。

→●給水開始日がまだ決まっていないとは、どういうことか。来年度10月に給水開始するとしてきた日程も不確かになったということか、それとも10月の日付までは未定だという意味なのか答えていただきたい。また、水道用水給水の申し込みをする際には市議会に諮る用意があるのかどうか、考えをうかがいたい

B受水開始当初の受水基本料金に関し、受水初年度から最大契約水量の72、600G分がかかってくるものと理解してよいか。この場合の基本料金単価はいくらとなる見通しか。

答:基本料金は料金算定期間中の総費用のうち固定的経費を負担するもので、受水市町村の各基本水量の割合により算定されます。なお、基本料金単価については、まだ県企業局から示されていません。

→●「最大契約水量の72600G分がかかってくるものと理解してよいか」という問いに「はい」か「いいえ」で答えていただきたい。市民にとって非常に重要な情報です。また、「固定的経費」の内訳をわかっている限り詳細に示してください。基本料金単価について、県企業局が一方的に示してくるものを鶴岡市はただ受動的に受け入れるだけなのか。現在行っている「協議・調整」は、基本料金単価について両者でやり合っているものではないのか。県との関係において明確に答えていただきたい。

C庄内南部広域水道事業の目標年度までの鶴岡市の年度ごとの受水計画案はどのようになるのか、数値で回答してほしい。また、その場合の受水単価は、150円/G前後と見てよいか。

答:庄内広域水道用水供給事業からの受水量計画の期間については、平成13年の受水開始から平成22年度までである。受水量計画については、現在協議・調整中です。受水単価については、まだ県企業局から示されていません。

→●3月議会答弁では、受水量計画は「平成13年から22年まで平均で1日あたり4万1430トンと計画している」であるが、毎年の受水量は公開できないとした。平均値が出せて年度ごとの受水計画量を公開できない理由が理解できないので、納得のゆく理由を示してください。少なくとも、平成13年度および22年度の計画量を示せなければ、広域水道に移行する根拠がかなり希薄だということになります。

D鶴岡市水道の広域水道移行後の計画給水量とその根拠となる計画給水人口、1日計画給水量、一人あたり一日計画給水量を、それぞれ平成29年の目標年度まで年度ごとの数値を示して欲しい。

答:第1期料金算定期間である平成22年度までの計画給水量は議会でもお答えしているとおりです。関連する諸数値は、今後財政計画を策定する中で示していく考えです。

→●水道事業の投資は、計画給水人口、1日計画給水量、一人あたり一日計画給水量給水量といった需要計画に基づいて行われるべきものと理解しておりますが、広域水道事業計画では事前の需要計画は必要ないのでしょうか。財政計画以前の必要事項かと考えますが、この点について市の認識をお答えください。

E広域水道移行後の鶴岡市水道の水道料金シミュレーションはどのようなものか。1.7倍になるという試算の根拠を含めて示して欲しい。

答:広域水道移行後の水道料金水準については、市広報の水道特集号や水道部広報「すいすい」で述べておりますように、県内13市の平均程度に抑えるように努力します。受水費の概要が示され、財政計画を策定していく中で示していく考えです。

→●水道料金は、市側の希望的観測や努力のみで決めることができない、基本的にこれまでの投資と配分との組み合わせから否応なしに決定されてくる厳正な数字であると理解することができ、「県内13市の平均程度に抑えるように努力する」ということをお尋ねしているのではありません。平成9年度の水道料金協議会に諮る際にきちんと出していた年度ごとのシミュレーションを、受水開始間近という理由で市側が手続きを急いでいるからこそ、すぐにも値上げの影響を直接受ける市民に対して公開していただきたい。 

F鶴岡市は、広域水道移行後も地下水源1万トンを維持すると議会で表明している。これはいつまでの期限で、どのような使途とする予定のものであるか。広域水道移行後も地下水源が各家庭への飲料水として残される可能性はあるのか。

答:自己水利用は、県企業局並びに受水市町村とで受水量の調整をしている段階であり、その使用量についてはお答えできかねます。なお、自己水の使用方法は、高坂配水池で広域水道用水と混合して配水する考えです。

→●これまで水道部は一貫して議会で、1万トンの自己水利用を主張してきたわけですが、その1万トンさえ最終的には「残す」と言えない状況であると理解してよろしいですか。
G鶴岡市と県との間で締結される受水契約は、今後見直しの手続き規定をともなうか。ともなうとすればその具体的な内容。ともなわないとすればその理由は何か。
答:県企業局との給水協定の内容は、山形県水道用水供給規定によれば基本水量並びに料金算定期間に係わる年度別の一日最大給水量及び一日平均給水量を定めることとされています。

→●尋ねていることは「見直し規定」の有無です。回答からは、「見直し規定はともなわない」と読みとれますが、そういう解釈でよろしいですか。

H鶴岡市水道部が近年になって毎年おこなっている給水制限の主要な原因について、井戸施設の老朽化、メンテナンス不足によるものと考えているかどうか。また、仮にこの約25年間に必要な施設更新をおこなってきたとすると、近年水道部が訴える「水不足」はおこりえなかったと考えるものかどうか。

答:給水制限の主たる要因は、涵養面積の減少や井戸の相互干渉などにより地下水位が低下し、取水量が大きく減少しているためと判断しています。

→●涵養面積の減少を示すデータ(場所・数値)とその調査方法を詳細に示してください。井戸の相互干渉とはどのようなことを指しているのか、科学的に示していただきたい。また、地下水位の低下を示すデータと測定方法、取水量減少のデータも公開してください。これらは、市側が広域水道移行の主要理由とされている重要な根拠であるはずですので、誠実な回答を示されたい。

◎再回答

涵養面積の減少については、昭和55年以降(報告書d)地下水区における農地転用および一時転用面積について本市および隣接町で調査したものであります。調査の結果、農地転用面積は90.1ha,一時転用面積は41.42haとなっています。

次に井戸の相互の干渉については、昭和53年、55の地下水調査による柴崎報告書に記載されているところです。

また、地下水位、取水量のデータについては、すでに提供しているところであります。

I庄内南部広域水道事業の経費において、事業主体である県企業局と、受水構成団体が負担する割合はそれぞれどれくらいか。

答:庄内広域水道事業の経費のうち、県企業局独自の財政負担については説明を受けていません。

→●「説明を受けていない」では市民として納得することはとうていできません。説明を受けて公開してください
J9月24日に共催した「恵みの水フォーラム」の席上、市が昭和53年より55年まで、市の依頼をうけ水源を調査した柴崎達雄氏は、昭和55年6月に発表した「鶴岡市水道水源井拡張計画の検討」総合報告を説明する中で、赤川扇状地で地下水を涵養している鶴岡の水源の豊富さを示し、20年前に地下水源の複雑な地層を解析している鶴岡は地下水研究の先進都市である。という旨を報告した。また当時の報告書の最終結論として、「1.地下水は良質であり、水質も年間一定という飲料水源として好ましい性質をもつ。また、取水にあたっての経済性も無視できない。2.地下水利用の短期、長期の利害を調整し、今後とも鶴岡市の水資源として有効利用を図ること。3.たとえ、ダムの水が来たとしても鶴岡市の「隠し財産」として、地下水を温存する努力をすること。」と市に提言をした旨の説明をした。当時、この報告書や提言はどのようにあつかわれたのか。55年6月にレポートが提出されてからの会議の日時、内容、議会での取り扱いの詳細を示して欲しい。

答:昭和52年度から実施した「水源にの拡張計画の検討」は第3期拡張計画で未給水地域への給水、大山、湯野浜水源の水質悪化による水源の廃止に鶴岡水源で充分な給水ができるのかどうかの検討です。調査結果を受け昭和55年8月29日には議員、市民の参加をいただき報告会を実施しています。
 これまで、報告書、提言を受けできるものは努力してきたところであり、地下水は災害時において有効なものと考え、将来にわたり緊急用として整備していく考えです。

→●「できるものは努力した」ことについて、具体的に、いつどのような施策を行ってきたものか示してください。
陸砂利採取に対する事業所および水田経営農家への自主規制と良質土による梅戻し、揚水水位の把握、井戸の復元工事等を実施してきたところです。

K鶴岡市議会本会議28日の緊急質問の中、市長は、「広域水道に移行しなかった時にはどういうふうになるか-----だいたい今の料金の3倍、それ以上かなというようなことを聞いている」と述べているが、その根拠を具体的に示して欲しい。

答:広域水道建設工事費に対しての市の負担は免れないものと考えています。一方、借地井戸に替わる新たな井戸の掘削や浄水場の全面更新工事などに多額の費用が必要となります。これらの費用は全て、水道料金で回収することになります。おおまかに見た場合ですが水道料金は約3倍と見込み答弁したところです。

→●「免れない」とする広域水道建設工事費に対する市の負担額、井戸の掘削や浄水場の全面更新工事を必要と考える根拠およびその場合の費用に関し、それぞれの概算額を示してほしい。概算があるからこそ「水道料金は約3倍」と見込んだものと思われますので、当然に回答の義務があると考えます。もし概算もなく発言されたのだとすれば根拠のない「はったり」だと捉えてもよろしいでしょうか。

以上、早急にご回答を示していただきたいと思います。

◎回答

庄内南部広域水道工事費に対する本市の負担を基本水量を基に捉えた場合は約66%となりますが、本市が受水しないとした場合は用水供給事業事態が成り立ちませんから、受水費相当額を負担しなければならないと考えられます。将来とも地下水に依存していくとなれば、借地井戸は返却しますから、それに替わる新たな井戸が必要となり、用地の買収や井戸掘削や導水管など関連工事が必要になります。また、水道部用地の井戸の更新工事や浄水場の全面更新工事も必要になります。それらの投資に伴い新たに支払い利息、減価償却費、維持管理費の費用が発生します。更に、水源に関わりなく必要となる経常費用などを見込まなければなりません。こうしことを考えるとおおよそ現在の料金の約3倍と見込まれます。