月山ダムが抱える5つの矛盾と問題点

←まずは、この人口動向のグラフをご覧ください。クリックすると拡大されます。今後2007年から、全国で、60万人づつ減っていくとされている日本の人口。21世紀はこんな時代です。
1. 2万トンも水が余る。過大な計画としかいいようがない。
鶴岡市水道は、昭和55年(1980年)人口増加などにより将来的に地下水源が不足するという予測のもと、県の庄内南部広域水道事業への参加を決めました。しかし、その後、人口が増えないまま、少子高齢社会に突入し、当時計画した水需要にはとても達しない見通しとなりました。 このような状況の中で、市水道は、2年後の平成13年(2001年)から県広域水道から水を買い受けることになります。県から受水する契約水量1日7万2千トンは、現在、鶴岡市民の水道使用量4万5千トンより2万トン以上も水を余す非常に過大な量です。

2、ダム工事費は1780億円。年間24億円もの新たな負担が市民の水道料金へ
結局ダム工事費用は計画当初の780億円の2倍以上の1780億円。そのアロケーション7.4%、受水施設含め鶴岡市のみで年間24億円もの負担と現時点で計算されています。そのため料金は値上げ前の約2.5倍を予測。ほぼそのショックをやわらげるためだけに、昨年10月から前倒し30%の値上げがおこなわれています。 しかしながら、人口減少がもっとすすんだら、3倍、4倍、とより負担金が増えていく計算になります。l
3、ダム移行の理由「地下水の不足」と言えるの?今は、足りている!
市は、広報でダム移行の説明の際、地下水が足りない、枯渇のおそれといいながら、地下水かん養についての取り組み(保全条例)や、工場用水、道路の融雪用水、家庭の井戸などについて一切管理していません。昭和55年当時でも地盤沈下の傾向が見られるにも関わらず、県の地下水保全条例にも適用区域に指定されず、野放し状態で今まできました。現状の水需要なら住民が節水に気をつければ、十分に地下水でまかなえるのではないでしょうか。つまり、ダムへの移行の理由を失っているのではないか。と思われます。

4、月山からの地下水がささえてきた鶴岡の風土が破壊される!

飲食店、観光を支えた鶴岡の良質な水道水を薬品添加されたダム水にして、市民はそれを飲み、新潟の業者が良質で豊富な地下水を全国販売するハメに。

良質の庄内米と水を利用した「つくり酒屋」があり、「麦きり」「そば」「山菜」「庄内浜の地物の魚」など、四季折々の旨いものが並ぶ鶴岡の料亭、観光を支えてきたのは、おいしい水道水です。市と同一と思われる深井戸から新潟の業者「ブルボン」が採取した水は、ナチュラルミネラルウォーター、「デワウォーター」などとして全国ですでに好評販売されています。このまま広域水道計画移行後は、良質で豊富な月山の地下水の井戸の上に暮らしながら、各家庭、浄水器をつけてダム水を飲むか、この従来は水道水だった地下水のミネラルウォーターをペットボトルで買わなくてはいけなくなるかもしれません。

5.市の総合計画と逆行!月山ダムと地下水放棄
鶴岡市第3次鶴岡市総合計画でも、計画の基本理念の中には、「鶴岡市を自然と人間の共生についてのモデル都市として位置づけられるよう努めるべき」とある。そううたいながらも、高度経済成長期の価値観のままの、ゼネコン、土建経済の目先の利益優先の巨大公共事業というべき月山ダム、庄内南部広域水道事業を鵜呑みにした水道行政がすすめられています。また、風土を支えてきた地下水を放棄しようとしています。