草島進一99年9月定例議会一般質問 ほぼ全文

今回の議会は、水問題ラッシュ!月山ダム提体工事はできたけど、水の安全性、金額と県との契約水量などについて、論議が集中した。私は今回一番びりっけつ。様々な意見をアドリブで踏まえながら質問しました。


1 庄内南部広域水道計画について

前回に引き続き、まずは、庄内南部広域水道について質問をいたします。

具体的な内容に入る前に、ごく最近、市内で料亭を経営する人と手打ちそば屋を営む人から聞いた話を紹介させていただきます。

「とにかく今の旨い水がまずくなるのは困る。商売の質に直接影響を与える。それに今はまだ5、6万円ですんでいる水道料金が、その2.5倍以上に値上がりすれば、年間、100万円もの新たな出費を負担しなくてはいけないのは、信じられない」また、観光で訪れる人が口々に、「鶴岡の水をのむとほっとする。おいしい水道でいいですね。だから食べ物もおいしいんですね」とよく言ってくれる、と料亭のご主人は話してくれました。

また、麦きりのお店のご主人は、水が変わるとメンのコシなどに影響するので、作り方を一からやりなおさなくてはならない。そして、水が変わったらまず浄水器をつけなくてはいけない。その負担は10万円以上で、それで地下水と同様の水質を確保できるかといったら必ずしもそうではない。このような心配を話してくれました。

こういった市民の心配は、「いたずらな不安」なのでしょうか?  

要するに、鶴岡のこの水はそんじゅそこらの水じゃない。鶴岡の風土や生活文化を根底から支えているかけがえのない貴重な水だということです。それが変わることで、鶴岡の観光、産業を支える「旨いもの」を育んできた飲食店の経営にも、根元的なところで影響を及ぼすということです。

6月議会の私の質問にたいして、また昨日の議員のご質問にたいして、水道部長よりダムの水も十分に「おいしく」て「安全だ」という回答がありました。発ガン性物質で規制のある総トリハロメタン値が、その基準値より小さいからだという理由でした。この安全性については、私も「基準値からすれば安全」ということは認めます。

しかし、第1点は、基準値というのは現在の人間の技術と知識の範囲内できめていることであって時代によっても変わりうること、そしてもう一点は、基準値内だからといって鶴岡の地下水がこれまで育んできた風土や文化は、残念ながら守りきれない、ということ。そのことをまず、最初に指摘させていただきたいと思います。 

 

さて、それでは具体的に庄内南部広域水道計画の内容に入ります

まず、このままでいくと平成13年度、つまり再来年から、毎年少なくとも24億円もの受水費が新たに水道会計にのしかかってくることは、6月議会で指摘し、お答えいただいた通りであります。そのために、昨年の平均30%の水道料金値上げにとどまらず、今後も何度にもわたって料金値上げを余儀なくされることは、「水道料金協議会」の答申からも明らかです。

昨日の質問でもだされましたが、このままでは鶴岡市の水道料金が今後2・5倍ともいわれるほど上昇することに関して、昨日、水道部長より「県にたいして受水費の軽減の要求を引き続き行っていく」との答弁がありました。このことにつきまして、以下の点をそれぞれ、簡潔にお答え下さい。

1番目に、県に対する受水費の軽減要求のこれまでの経過、とくにこれまでの成果、そして今後の見通しをお聞かせください。

又、受水費だけでなく、量についても減らす要望を出しておられますか。お聞かせください。

次に、県に受水費や量の軽減を要求していくにあたって、鶴岡市としては当面、広域水道からの受水はどのくらいの量が適切かつ現実的だと考えておられますか、数値でお教えください。ちなみに現在の「契約水量」は1日あたり7万2千6百2トンですが、それにたいする平成10年度の実際の使用量は、一日平均で4万1千5百トン、最高でも5万トンです。この値はどちらも、ここ4年間続けて減少し、とくに水道計画をつくるとき元になっている一日最大使用量のほうが、1000トンから2000トンずつも減ってきているのが、実状であります。そしてこれから、市の人口も徐々に減少に転じてゆきます。水使用量が増える客観的な要素はほぼないと言っていいでしょう。

さらに、これらの数字を踏まえてお尋ねしたいのは、現在の契約水量である1日最大7万2千6百2tの受水が必要になる時期はいつごろであると見込んでいらっしゃいますでしょうか。将来的には、あくまでもこれだけの水量が必要となるときが来るとの想定で、ことを進めていかれるお考えでしょうか。

又、県が受水費や量に関しての軽減措置の要求に応えられない事情がある場合、年間最低24億円あまりの受水費は、そのまま水道会計にかかって参ります。現在の客観的な状況では、そのようになる可能性が高いと思われますが、その場合、水道料金の値上げ幅を少しでも小さくするために、市の一般会計からの補填も考えに入れておられるのでしょうか。考えておられるとすると、だいたいどれくらいの額になると見込まれるでしょうか。市の財政状況も含め、お答えください。

さて、広域水道移行にともなう以上のような情勢をふまえ、市長に再度、お尋ねしたいと思います。これは折りにふれ幾度も確認をとらせていただかなければならないかもしれません。このように、どの角度からみても過大な契約水量であり、市民に高い水道料金負担を強いる庄内南部広域水道事業を、このままなんらの変更もなしで計画どおり押し進めるのでしょうか。あるいは、受水ゼロをふくめ受水量をもっと減らす方向で計画を変更するつもりがありますでしょうか。改めて現在の市長自身のお考えをお尋ねしたいと思います。

さらに市長にお尋ねします。6月議会での私の質問に答えて市長は、貴重な地下水のかんようの必要性について言及されました。私も、地下水をかんようしながら市民が大事に使っていくことは非常に重要なことだと考えております。そこで、現状においては市民の貴重な飲み水でありライフラインである地下水の保全に関して、消雪への利用と業者の取水をどのように考えておられますでしょうか。先ほど17番議員からの質問の中でも1日2万6千立方メートルという値が提示されていましたが、私が各種のデータから推計するに、消雪への利用はピーク時は1日3万トンにも達するのではないかと推測しています。これは、市全体の水道使用量4万5千トンと比較するとわかるように非常に大きな量です。先ほどの議論の中で、浄水用の地下水と干渉は考えられないということでしたが、それは昭和55年のデータを元にしたデータです。地下水は、様々な要因について変化することが考えられますので、本当に現在の干渉がないのか、私は疑問です。

また、地下水を汲み上げてミネラルウォーターとして販売しているきたブルボンはじめ、工業団地の工場業者が独自井戸から汲み上げている地下水の量は市でも把握できていないと聞いております。

一方で、市民の水道が「減圧」とか「地下水位低下」を理由にダム水に切り替えられようとしているときに、一方で消雪や業務用として無制限に使われているという実態があります。このように実態に対して、地下水の利用を正確に把握し、保全のためのルールを設けてこなかったということについて市長はどのように思われていますでしょうか。

地下水を上水道として利用している熊本市では、いち早く水保全課をつくり、地下水保全の条例をつくって、かん養に努めている。市民には、節水ゴマの使用、工場には、使用水量の届け出、等、農家には、かん養するための機器使用についての助成金を与えるなど、行政、市民、企業、一体となってみんな地下水を未来に手渡そうという意識で取り組んでいる。「地下水は、いい水だ。風土として、これは本当に大事だ。そして、多大な恩恵をいただいているのだ。と思ったら、取り組まなくてはいけないことがあるんです。それを100%やって、それでも足りないというんだったらわかる。でも、そういった取り組み無しに、ただ「足りない」というのでは、あまりにも地球がかわいそうだ。私はそう思います。こうした地下水の保全がなされていないことについて、どう思われるのか、また、今後、こうしたルールを設けていこうというお考えはあるのか、お尋ねします。

この政策は、地下水を水源とする鶴岡水道が広域水道へ移行する現在の最大の理由と非常に密接に関連しています。ぜひ、ご答弁をいただきたいとおもいます。


次に、緑の基本計画と、西茨湿原の保全についてお尋ねします。

西茨湿原は、昨日、13番議員も質問しておられましたとおり、東北、日本海沿岸で、ただ一つ残された平地の湿地帯であり平地のミズバショウ群落として非常に貴重なものと各方面の方からうかがっております。

平成9年3月に保護することに議会で決議したにもかかわらず、これまでの対応を見ていますと、結局ハンノキ林が伐採されるなど、あまりにもおそまつとしかいいようがありません。教育委員会は、文化財保護などの立場からのこの問題について取り組んだワケですが効果的な取り組みができているとはいいがたい。

また、緑の基本計画では、「ビオトープなどの自然生態系の保全、育成に配慮しながら、、、」とうたってはおりますが、担当におうかがいしてみますと、あくまで建設、開発の立場からということですので、やはり、埒があきません。環境衛生部に担当があるかというとそうではありません。

要するに、現状では、庄内の風土として、ありのままの自然の価値、や、庄内らしい生態系、それがヒトに与える潤いなどの影響について、その経済効果などの価値を見いだし政策に反映しようという担当課がなく、その志をまちづくりに反映するシステムが欠落していると考えられます。

また、今回、西茨湿原について再調査したデータなどを市で受けとめる担当課も現状ではないと聞いております。

そこで、私は、「自然保護課」の設置を提案いたします。この自然保護課は、役所内各課との調整をし、自然や風土の立場にたって庄内のありのままの自然について、経済効果や価値を見いだしながら、生物多様性のビオトーブの現状維持、また回復をおこなう。また、鶴岡の財産としての環境保全のPRにつとめ、保全する任務を遂行する。そうした機能を担うものと考えています。

特に、自然保護の価値観については、現状においても、既存の市民グループ、NGOなどの意見が非常に有効と考えられることから、その保護の指針、活動内容の方向性については、市民の意見が十分反映されるよう、公募型、公開型の審議委員会が担うようにしたらいかがかと思います。

今年4月1日には、環境の保全に関する基本理念などを反映した法的枠組みである山形県環境基本条例が施行されましたことも踏まえ、その情報を受け、最大限にその価値観を政策に反映する積極的な姿勢としてもこの必然性があると思います。

人口5万人の石川県加賀市では、海岸近くの私有地の雑木林を市で借り上げ、野ガモ公園というサンクチュアリとして保護し、観光パンフレットなどでも紹介し、自然との共生の町ということをアピールしています。鶴岡の大いなる資源である自然風土をいかしたそうした政策が求められているのではないかと思います。

そこで、市長におうかがいしたい。21世紀の政策ビジョンのなかでこの湿原の価値について、どうお考えになっているのか。

そして庄内の自然風土を守り伝えていく上での自然保護課、公募、公開型の審議委員会の設置について私は、必要不可欠と思うのですが、いかがでしょうか。

市長ご自身のお考えをおうかがいいたしたいと思います。


最後に、庄内地域大学院についてです。

市民が、勇気をもって出された声、又、3千を越える署名について、先日からの質疑、ご答弁の中で、あたかも消し去りたい「汚点」のように語られているような場面がありました。市民の声には、バラエティがあって当たり前。私は、この声は、大いなる礎、ステッピングストーンとしてその志が反映されてこそ、本当の開かれた大学が実現するのではないかと思います。今後の、市民にむけての話し合い、意見聴取などおありでしょうか。その当たりのスケジュールをおうかがいして、私の質問とさせていただきます。



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