2001参議院選挙 公開質問状に対する回答 発表7/23

2001年参議院選挙において、WaterWatchNetwork(水監視ネット)では、山形県区に立候補されている5名の候補者に最近特に関心の高まっている水やダムの問題について、公開質問状を送付(7月8日 締め切り7月14日)。ようやく各候補より回答を得ましたので公表するものであります。なお各候補からいただいた文章は一字一句正確なる複写を心がけておりますが、脱字、誤字などの指摘がございましたらwebmasterまでご一報いただければ幸いです。(7/26阿部候補より再回答あり、追加しました。)

電話090-4388-3872 水監視ネット草島 E-mail


●各候補あて、お送りした公開質問状全文

質問内容
1.莫大な経費を要しながら、治水・利水・環境・財政など様々な面で問題が提起されているダム事業について、今年2月、長野県知事は、「脱ダム宣言」を発表しました。この宣言をあなたは支持しますか? ご見解とともにお答えください。

2.鶴岡市で昨年末、ダム水受水の是非を問う住民投票条例制定への動きがありましたが、このことをどのようにお考えですか。

3.鶴岡市では、水源の地下水からダム水への切り替えのため、料金高騰と、水質の悪化を懸念する声が大きく高まっています。こうした声に貴方はどのように応えますか。

4.県内に計画調査中の最上小国川ダム(仮称)、又、建設中の横川ダム、長井ダムなどの事業について、あなたはどう考えますか。各々についての見解をお願いします。


回答 敬称略。届け出順

阿部 正俊 58 元政務次官 自民党 加藤派 現(公推)


1.ダムが造られる地域に住んでいる人々、治水、水利等でダムから恩恵を受ける人々、それらの人々がダムが必要であると、判断するならば、ダムを造らないという道理はないと思います。

2.住民投票は、意思決定をするのに有効な手段の一つだと思います。ただし、どの範囲(面として)で住民投票を行うのか、将来の住民の意思(まだ、生まれてない子ども達の)をどう反映させるべきか、研究の余地が大いにあると思います。(直接民主主義と間接民主主義(代議制)の関係も含めて)

3.料金のシミュレーション、水質の推移などを十分研究した上で、コメントさせていただきたいとおもっています。

4.今後も引き続き、検討を続けて行きたいと思っております。(7/26回答)



この度、あなたから、公開質問の回答の依頼がございましたが、そのことについて多少の意見を書かせていただきます。
まず、物事のほとんどの場合、二面性を持っているものです。即ち、考え方の拠ってたつところによって、YES NOが分かれます。それ故、公開質問を行って候補者の考えを明らかにすることには、意義を認められる部分もございますので、公開質問自体に決して反対するものではありませんし、その結果を公表することも依存はございません。
しかしながら、あなたと考え方が違うからと、あなたなりの批評を加えられること(表記方法、HTMLにおける表現方式を含めて)は本来の公開質問の趣旨から外れる事と思いますので、回答文については、全文を正確に、論評抜きでインターネットなり、出版物なりに掲載し、あくまでも判断はそれを読んだ個人個人に任せる方式をとる約束をしていただけるのであれば、改めて回答文をお送りします。(7/21回答)


1度目の回答について、WWNより→あべ正俊候補へのFAX
お返事をいただきました。公開質問状について、「きちんと回答いただいたもの」については、つとめて、全文を正確に、論評抜きでマスメディアに発表するなり、インターネットなり、出版物なりに掲載しております。今回のものに関しましても、回答いただきましたお答えは、そのまま、マスメディアに発表いたしますし、インターネットに掲載させていただきます。7月6日に質問状をお送りし、再三にわたりお電話を申し上げて参りました。お忙しい事は十も承知ですが、何卒早急のご回答、よろしくお願い申し上げます。(7月22日0時41分)

門間 文行 49 病院長 自由連合 新
1,支持しません。 地域によってはダム建設が治水に役立つ面で有用なことがあります。環境保護については十分考慮し、生態系の変化を最小限におさえるべきです。

2,これについてはよくわかりません。
3,情報不足で、コメントできません。
4,最上小国ダムの建設には反対したいと思います。建設中のものについては中止できないと思います。(7/17回答)

太田 俊男 47 党県常任委員 共産党 新
1、田中長野県知事の「脱ダム宣言」を支持します。全国でダム事業が、ムダと環境破壊として問題になっています。しかし国は、河川改修などで治水対策も可能なのに過大な水需要予測を前提にした計画の見直しもせず必要性がなくなったダム建設に固執しています。今日、費用も巨額にのぼるコンクリートダムに頼らない治水、利水は世界の流れです。

2,住民投票は、憲法と地方自治法にもとづく、国民の重要な直接請求権の一つで、必要に応じて住民の総意を直接問うための民主主義的な制度です。全国で、産廃処分場や原発の建設、環境保護などをめぐって、条例の制定と条例にもとづく住民投票の運動が広がっています。鶴岡市議会の、住民投票条例の否決は、非常に残念なことだと考えます。

3,山形県では、大規模ダム建設と一体に広域水道事業が全域ですすめられてきました。水の「安定供給」の一方、全国一という水道料金の高騰と、水質の低下という問題をもたらしています。たしかに、飲料などすべて地下水頼りでは水不足という事態の発生もあり貯水施設は必要ですが、まず「大規模ダムと水道施設建設ありき」は重大な失政です。

4,すべてのダム事業について、目的、財政効果、環境への影響をあらためて住民参加で検証し直し、不必要と判断されたものは中止すべきです。最上小国ダムなど、計画段階のものは事業評価制度をつくり、必要性、採算、環境への影響、代替案などについて検討します。農業、水道、発電など多目的ダムとされる横川・長井ダムについても同様です。(7/13回答)

 
木村 莞爾 59 元県議 無所属 新(民主・社民推)

1,ご本人が長野に入られ、現状と現地を見て判断されたことですから、そのまま受け止めます。

2,必要と感じてのことですから、是非はありません。

3,今冬の水不足をみれば、安定供給は行政の努めですから、住民との調整でそれで良しとなればそれで良いのでは。

4,必要あってのものと考えますが今後検討します。(7/11回答)

千葉 常義 68 元米沢市議 新社会党 新

1,本年2月20日に長野県知事が全国に発信した「脱ダム」宣言は、コンクリートのダムや多目的ダムに対する見解を示し、具体的には長野県の下諏訪ダム建設に関する対応を述べたものである。
私は、この「脱ダム」宣言の趣旨針会できるし賛同します。
それぞれ地域事情や置かれている環境の違いなどもあり、一概に当てはめることはできないと考えますが、それでもこの「脱ダム宣言」を下敷きにした再検討や再評価を進める必要があると考えます。現在進められているいくつかのダム建設においても、「脱ダム」宣言をもとに再評価を進め、できるだけムダや自然環境等に対する負荷を軽減する措置をとる必要があると考えます。

2,右肩あがりの時代に、人口増を過大に見積もった計画により進められた月山ダムからの水道水源受水は、全く現状に合わないものです。ダム建設計画時点での契約とは言え、現状にマッチしない計画見直しを指摘するのは当然であり、鶴岡市がその計画を変えないということであれば「住民投票条例」を制定しようとする考え方は当然であると考えます。新社会党山形県本部は、住民投票条例制定に向けた諸取り組みに積極的に参加しました。

3,山形県は、全国一水道料金型会と言われていますが、鶴岡市は、これまで水道水源を地下水に依存していたこともあって、県内では比較的低い料金にランクされてきました。この料金体系が、ダムからの受水により高くなることは、住民負担増に他ならず、看過できない問題であるととらえています。質問2の回答とも重複しますが、県との間に交わした「契約」を全面的に見直し、鶴岡市の実態に合う計画に速やかに変更すべきと考えます。
水質悪化は、きわめて由々しき問題です。このことが原因で何か事が起こってからの対処では間に合いませんし、これでは住民はたまりません。水質検査を徹底し「安全」「安心」が保障されるよう万全を期すとともに、国や県が発表する各種環境水質数値は後手に回って明らかであり、「安全」といわれてもその時点での各種数値の標準を下回っているに過ぎないことを明らかにしていく必要があります。

4,

●最上小国川ダム:県の補助ダムとして、現在環境調査等が行われていると聞いています。建設目的は1,治水(下流域の赤倉温泉付近で、川幅を広げることができない)、2,水道用水確保の二つとされていますが、ダムでなければこの目的が達成できないのかどうかについて、「脱ダム宣言」を下敷きにして再評価する必要があると考えます。
●横川ダム:目的は、1,洪水調節2,工業用水供給3,水力発電4河川環境保全とされています。しかし、工業用水供給先が特定されていない状況や、以前に反対運動があったことを見るとき、再度調査していく必要があると考えます。現在は、道路付け替えの段階で、本体工事着工には入っておらず、再調査や再評価を進める必要があると考えます。
●長井ダム:「ダム」建設の目的は、洪水調節・河川環境保全・灌漑用水・水力発電・水道用水の5項目とされています。
この内、水道用水については、その必要性に疑問を感じます。長井市は、現在、水道水源は地下水としており、1日最大使用量を考えても「ダム」からの取水に頼らなければならないとは考えられません。また、「ダム」からの取水となれば、独自に浄水場を建設する必要があり、このことは水道料金高騰を招くことは必定です。この新たな建設投資はムダと言わなければなりません。「ダム」建設を求めるあまり、過大に水道需要を見積もった計画といわなければなりません。(7/17回答)


2001.7.23 5.00am~