2000年3月議会総括質疑 2000・3

平成12年は、地方分権一括法がはじまり、又、サービスと負担の両方を自治体が独自に考え、決定する、そうしたモデルでもある介護保険制度がおこなわれる、地方分権元年という年といわれています。
 市民にとっては、地域の住民の思いがなかなかまちづくりに反映されない、そんな社会から、国民・住民の納める税金の使い道や行政サービスのあり方について住民の監視が行き届き、住民がその決定に関与できる仕組みや環境が整備される。、まさに真の民主主義への大きなステップがこの地方分権であり、12年度は、財源の問題などもあり、いろいろ問題があって、真の地方分権にはまだほとどおい、といえるけれども、その第一歩の年であると考えております。
 また行政にとっては、中央集権の時代は、財源をいかに効率よく国からひっぱってくるか。が課題であり、政策も、国の方針、県の方針をそのまま、ひきうけていればよかったが、この地方分権の時代には、各自治体の一つ一つの行政事務について、独自の戦略をたて、自立的に経営していく、主権者である住民の意思に基づく市政を運営していく住民自治の時代への変換期ともいわれています。
 また、市長もご指摘のとおり、少子高齢化が進み、人口減少が懸念される。そうした中で、自治体同士、人口流出をおさえるためにも、「そこに住み続けたいと思わせる魅力ある街づくり」を念頭に置き、戦略的な政策を行う時代がやってきたと思われます。
 そうした意味で、この鶴岡でも、自分たちのまちの資源とは何か、財産とはなにかをしっかりと見直し、再確認する必要があると思いますし、国、県と行政間のやりとりも大切ですが、それよりも先ず住民との対話を重視し、その中で21世紀、地方分権の社会にふさわしい行政の役割、議会の役割、をどのようにしていくか、まさに今、真の民主主義が問われていると思います。

通告とは順番が異なりますが、はじめに、市長のこうした地方分権時代の考え方について、おたずねしたいと思います。
市長は、今回の国の施策によって、条例を改正するにあたり、財源も含め、今、地方分権は、どれ程、進んでいると思われるか。
また、先日、東京都では、石原知事が銀行業等に対する外形標準課税の導入をおこない、三重県知事が芦浜の計画撤回表明をおこなうなど、地方政治の場から、国民が目を見張るような態度表明をおこないました。
市長は、国に対してこの地方分権を名実ともに実のあるものにするために、市町村長の立場から、どのような認識と、方向性をもとめようとするおつもりでしょうか。


2,12年度予算、政策決定過程での情報公開と住民参加について

さて、現在、市の財政は、公債費比率が17.2%と厳しい状態で市長は、さらなる財政構造の硬直化、ぜいじゃく化する機具が大きくなっていることをのべ、懸念される危機的事態に陥ることを回避し、又、努めて緊急時に備える財務体質を確保するため、従来からおこなってまいった行財政改革をなお徹底して推進しなければならないと考えていると述べられております。
その中の行財政改革の中に、「情報提供の方法などの検討に着手するとあります。
また、第3次総合計画の推進にあたって、市広報や、市民との対話の充実、生涯学習やコミュニティ活動の活性化に努め、市民と行政、市民相互の信頼・協調関係を深めつつ、市民のまちづくりへの参加を促進する、うんぬんとあるわけです。

地方分権時代の行政改革の様々な自治体のキーワードとして情報公開、住民参加、と言う言葉を聞きます。

税金をおさめている市民には、『知る権利』があることと同時に、役場にはアカウンタビリティ、説明する責任があります。また、私たちが自分の意思を決定するには、その判断材料として当然『情報』が必要になります。『正確な情報をしっかり住民に提供し、住民も役場も同じ情報を持ち、その中で一緒に考える』。そうした『情報共有』を念頭に施策を進めている自治体も増えているようです。

全国的に地方自治体は、財政的にも、「あれも、これも」ではなく、「あれか、これか」を選択しなくてはいけない時代にきている。その「あれか、これか」を選択するにも多くの住民の参加があって、合意形成がはかられることが必要である。ということが指摘されています。
また、

また、市民と地域の自律的なネットワークが社会の活力を形成するとして、行政の施策にNPOや住民とのパートナーシップを組むことの有効性など、住民参画の様々な利点があげられています。積極的にそれを課題として取り組んでいる自治体も増えているように思います。

市長は、議会の中でも、「広報」を有効な手段として活用し、それらを主力とした、情報伝達の意向をお示しになっているようです。
鶴岡の市民の声からは、まだまだ「このまちの様々な行政施策が、いつの間に決まったのかはっきりしない」という声があります。また、施策についておこなわれている審議委員会について、「いつも同じメンバーだ」「住民が参加しやすい形になっていない」などというご指摘もあり、審議委員会は数名は公募制にし、自由にその会議の中身が傍聴できるなど、の工夫がほしいなどの市民の意見もあるようです。
また、説明会に出されるときには、ほとんど方策が決まっていて、何を言っても手遅れのような気がするとの声もあるようです。

こうしたことを踏まえる中で、
今回の12年度予算策定の、政策決定プロセスにおいて、「住民参画」をどのようにして意識されましたでしょうか。

この特に「市民との対話」の充実ということでは、今後の施策をどのようにしていくおつもりかご見解をうかがいたいと思います。


○鶴岡市の諸政策の基準となる人口フレームについて

少子高齢化による人口減少。
すべてが右肩あがりの時代はとうの昔に終わり、この国の総人口の見通しは、「2007年を頂点に人口減少が進み、100年後には、人口が今の半分になる。」これは本当にしっかりと見極めていかないといけない問題だと思います。

市長は、ご説明の中で、本市の人口推移の危機とそれを回避するための政策として、「まちを支える若年・壮年層の人口、特に知的能力やポテンシャルが高い層の人口の活発な導入、育成、交流に、なお、一層積極的に努力する必要があると痛感する」とあります。そのための高速交通、高度情報基盤の整備、また、先端環境科学研究センターといわれているわけです。
この人口フレームですが、イロイロ各担当部署にうかがってまいりますと、市行政各部署では、人口指標の方程式が、それぞれが異なる方式を採用しているようです。 これは、行政政策の基準となるここ10年、20年の人口フレームの指標は、統一したものがあってしかるべきと考えますが、この10年、20年、機軸として考えられる人口フレームの指標について、又、その指標のあるべき姿について、市長はどのようにお考えになっているのかをおたずねしたいと思います。

特に、今回予算を投入する、高速交通、高度情報基盤、先端環境科学センターという諸政策が、将来の活力ある鶴岡市づくりのための人口フレームにどのくらいの効果があるとの認識をされておりますか。
おたずねしたいと思います。


第3次総合計画の推進について

鶴岡市の年度ごとの施策推進は、この第3次総合計画によっていると思われます。
この計画の基本理念の中で、「自然と歴史を愛し、共に生きる町」ということがあります。そこには、「人間生活の基本は、あくまでも自然との調和、共生にあり、経済的な視点のみから自然破壊につながるような開発を行うことは許されない」とあり、鶴岡発「自然環境保全」ということがうたわれているわけであります。貴重な自然資源を評価する方も多い鶴岡の、「魅力ある町づくり」として、非常に大事と思われるこの理念に基づいて特におうかがいしたいと思います。

今回の予算で、大学院キャンパス内のお堀にアシを植え、ビオトープをつくり、自然浄化作用が働く市民憩い公園をつくるとあります。ビオトープというのは、そもそも、「多種多様な生物が住める環境」ということであると理解しています。それを町のまんなかに人口的につくりだす。これは、今、全国の学校の環境教育などでとりいれている手法でもあり、ひとつの「自然との共生」の方向の施策かなと思います。
しかしながら、その一方で、再三にわたって議会でも指摘された、西茨湿原の保全にたいして、東北、日本海沿岸で、ただ一つ残された平地の湿地帯であり平地のミズバショウ群落として非常に貴重な、まさに多種多様な生物のビオトープについて、しっかりと対応をしていく施策が今年度も感じられません。
また、今回、大山の下池の水環境の整備が予算計上されております。都沢などの箇所と聞いておりますが、ここも非常にレベルの高い生物多様性のとんだ小川と聞いております。この整備事業は、基本的にはコンクリートで護岸工事をするということであり、その地域の生物生態系に詳しい方からすれば、そのビオトープを破壊する方向にあるという指摘もあります。

最近、日本国内ではビオトープっていうと河川やため池まわりの水辺の自然を人工的につくることが中心になってるようですが、そもそもは、開発などの際に本来のありのままの生態系を維持し、要は持続可能なコミュニティーづくりのための、生物多様性、循環型社会づくりのための方策ということと理解しています。

鶴岡の風土を最大限にいかした、「水、土、いのち」の研究センターのためにも、この貴重な生物多様性にとんだ、雑木林や湿原、小川などの資源をしっかりと保全し有効利用をはかるべきではないのかとも思われます。

これらを、総合的に見たときに、行われている施策展開と自然環境保護に、整合性を欠いていると、この分野に関心をもっている市民各層の間にはうつっていますが、市長は、これについてどう認識されておりますでしょうか。、

さらに第3次総合計画の推進というお立場で、鶴岡発「自然環境保全」というものについて、市長は、積極的な「自然環境保全都市宣言」など、態度表明があってしかるべきと思われますが、今後どのように展開していくおつもりか。おたずねします。


○ 高度情報基盤の整備について
市長もご指摘のとおり、今、インフォーメーションテクノロジー革命といわれる新分野での成長がめざましいといわれています。行政施策としてもこの分野に着目し、有効活用したり、こうした人材を育てようという自治体もでてきています。
産業文教委員会で視察にまいりました大垣市などでも高度情報基盤として、「人財の育成」をメインに、インターネットや、マルチメディアの教育への普及など、先駆的な取り組みをしており、企業などとも連携し、新しい産業創造のためのイロイロな努力がされ、効果を上げていることを感じてまいりました。
ただし、この分野でも、ハードよりも、ソフト面で、いかに人材を育てていくか、また人的ネットワークとシステムをつくっていくか、そこに真の価値があると感じました。
一口に高度情報基盤といってもいろいろあるわけですが、
まずこの事業の鶴岡市の目標とするところ、、現状と今後の展開について、また、
特に教育分野でのこうした取り組みなどについて、おたずねしたいと思います。


中心商店街の活性化について、

今年度も様々な施策が練られているようですが、鶴岡の街全体で考えると、
一方で中心商店街の活性化といいながら、ナエズ町の南部地区のなどの土地区画整備事業地域、では、大規模郊外店が多く出店し、整合性に欠ける都市計画がおこなわれています。
これは、結果として中心街の空洞化を助長するものではないでしょうか。つまり、これらが、都市計画としてちぐはぐな印象をうけるのですが、このアンマッチのまちづくりをどう理解すればいいのか、わからないという方もいるようですが、ご見解をお願いしたいと思います。


水道事業(広域水道など)について

私は、広域水道事業については、市長とは見解を異にしておりますが、市長提案の内容について、おたずねしたいと思います。

「住みやすい魅力のある町」をつくっていく。
これは、21世紀、地方分権の時代、また少子高齢で人口減少が叫ばれる時代、非常に需要なことだと、先ほども述べました。
自治体間では、「町の魅力」「住民サービス」を少しでも高め、なんとか人口流出をおさえるための戦略を練る、そうした時代がやってくると私は感じています。
この町の魅力を支える未来の資源というべきものが、この鶴岡では、この地下水源からの水ではないか。私は再三にわたって一般質問などで、指摘してまいりました。
そして、この誰もが認めるおいしい水が豊富にありながら、
それをほぼ失い、全国一高いといわれている山形県の広域水道に移行することは、町の魅力をおおいに失うのではないか。そして、運用されれば今の試算にもとづくならば、13年度より市で年間24億円の負担がいっきょにのしかかり、市民全員が支払う公共料金である水道料金が現在の2倍以上にはねあがる。これは本当に市民生活にとって、重大なことと、危機感を日に日につのらせております

1,公共料金として水道料金が、現状のほぼ2倍以上と、全国で最も高いレベルの料金になること。
2,水質の面で、今までの地下水よりも質が落ちること。
これは、明らかな住民サービスの低下ではないでしょうか。

研究者によれば、国の押し進めてきた広域水道政策は、
長良川河口堰や、諫早干拓事業などと同様、「政治家、・官僚・ゼネコン」の鉄のトライアングルとよぶべき悪行であり、
国主導でダム開発を中心にした巨大公共事業そのものであると指摘されています。建設推進が決定されると、ほぼ何の見直しもおこなわれず、その中で、水需要の読みの甘さや、建設費の増大により、結局は、末端の水道の受益者である市民への水道の高料金となってはねかえり、住民負担によって、見通しの甘さのつじつまをあわせているといった現状があり、往々にして自治体水道の破綻という結果をひきおこしている現状が数多くあるとのことです。

山形県の広域水道も例にもれず、現在、、広域水道から受水する市町村のうち、新庄市、村山市など7事業体は、その負担を住民の水道料金では賄いきれず、国の高料金対策として補助金を受け取っています。にもかかわらず全国一の料金水準で12年度、山形県では、村山広域水道、置賜広域水道から各市町村への受水費を平均20パーセント引き下げる措置が12年度県予算案に示されているのですが、それでもなお、結果的に末端の水道料金では下がらずに、ワースト1はくづれていません。これは、明らかに水道事業の破綻を意味していると思います。

山形県は、山河に恵まれながらも、水道料金が全国でワーストワンと、「くらしにくい」というイメージを全国に発信する結果になっています。
この全国で最も高い水道料金をひきおこしている、言ってみれば全国で最も経営感覚として非常に問題のある契約をしようというのが、今回の庄内南部の広域水道計画ということになります。

庄内南部広域水道の場合、右肩あがりの昭和55年にたてた計画が、国の人口推計や、水需要の読みが大きくずれ、県もその水需要のズレという状況を全く把握せず見直しがおこなわれず、、ほぼ、当初計画のまま過大な水源施設が確保されました。
現状、鶴岡市の自己水源である地下水は、十分に保有されている。そうした
ダムからの受水移行の根拠も疑問視されるような、状況があるにもかかわらず、、事業は推進されています。また、責任水量制をとっているため、水量に関係なく、一定の料金の償還をしていかなくてはいけないという契約があり、さらに結果的に水道料金の高料金を引き起こすと予測されています。そして、この人口減少が予測される時代、人口がもし減少すると、水道料金はどんどん高くなっていくのではないか、と懸念されているわけです。l

また、庄内南部広域水道事業計画が、昭和55年、市議会で同意決議された当時、ダムの建設費用は780億円、広域水道事業の総事業費は230億円だった。現在、ダムの建設費用1780億円、広域水道事業の総事業費が510億円に膨張している。水道料金に影響する事業費増加の理由とその負担について、ほとんど受益者である市民に説明されないまま、今に至っている、つまり、行政の真実についてのアカウンタビリティ、説明責任をおこたっている。

これは、本当に大きな問題です。

水道事業は、水道法によれば、水道受益者である、住民の主権を念頭において、「清浄、豊富、低廉」な水道水を送り出すという事が基本です。

現在、鶴岡には、実績として、最大5万800トンに耐えうる、水道源水としては最高の地下水源があります。人為的ミスや施設的な能力不足はあっても自然の地下水枯渇による市民生活への深刻な影響のある給水制限はありません。

水道受益者である、鶴岡市市民10万人は、「低廉」という基本原則から、大きく逸脱をし、「特別に」おいしい」という付加価値も失った、水を買い、飲まなくてはいけません。

このまさに、危機的状況の中で、月山ダム、計画段階からの国、県との行政間のやりとりを重要視されるのか、それとも、住民へのサービスを第一とされるのか、今、まさに問われているところではないかと思います。
 
住民へのサービスを第一とするならば、行政単位では市民に最も近い場所にいらっしゃる市長は、このまさに、「くらしにくさ」を全国にアピールするような水道料金高騰、と水質の低下という、住民サービスとしてほぼ明らかな低下を招くことなど、きわめて問題の多い、この広域水道の受水について、市長は、市民の立場にたって、矛盾はないのですか。
認識をお尋ねします。

また、この庄内南部計画策定の根拠となった水需要予測をたて、結果的に重大な過ちを犯し、受水市町村の受益者である市民にたいして、ムダな負担をかけようとしている国や県に対して、その責任を追及すべきではないかという専門家の声もあります。

そうした方法を何かお考えになっていらっしゃるのか。おたずねしたいと思います。


この後市長の発言要旨

○民主主義手続きによって、決定したことなので、見直しはありえない。

○水道部の広報「すいすい」などで情報は十分流している

○できるだけ料金の引き下げには努力する。

など、今までの姿勢と同様、「行政間のやりとり重視」「現状がどうあっても、決めたことだから」という感じの答弁だったと思う。

いいのか、これで?


総括質疑、石川一郎議員と2人で、私利私欲じゃなくて、21世紀の公益を考えよう!ということで、「公益21の会」という議会内会派を申請。3人より議会の正式会派ということで、正式な会はとしては認められず、「総括質疑は、3月と9月の2回」「議会運営委員会と、会派代表者会議はオブザーバー」ということで、今回は初の「総括質疑」の時間をいただいた。質疑は無制限。しかしながら、議運の申し合わせ事項で、総括質疑は、あくまで市長提案について、その考え方を問うもので、委員会で問えばいいようなことを問うたりするものではないこと。そして、質疑の前に、「再質問なし」というようなことがしきりにいわれた。質問についての答弁もれがあっても、か。

以前の議事録を読むと提案があったり、非常に自由奔放な感じの質疑もあったのだが、何か、今回は、かなり何か制限がかかった。それと、一般質問で同じことで質問をしてはいけない。とのこと。ふーん。

しかしながら、僕は、今回、全く同じ項目「広域水道計画と水道政策について」徹底的に問う。おまけに意見書も提出。めげずにかんばろう。