ユニトピアでたどるユニセフクラブのあゆみ

田岡直博・深川博志

はじめに

 「ユニトピア」100号の刊行を記念して、ユニセフクラブの1989年から1998年までの10年間の歩みを跡づけることを試みた。過去を知る人は折々のエピソードに触れて感慨に耽るだろうし、現在のユニセフクラブに関わる人は過去の記録をこれからの活動に役立てることもできるだろう。

 その手がかりとしたのは、ユニトピアに掲載されている活動記録(活動報告や個別の報告集など)である。決まって「ユニトピア」の一番最初に掲載されるのにもかかわらず読み飛ばされてしまうことの多い活動報告も、このような形で再び陽の目を見ることができたならば、執筆者の努力も浮かばれるというものであろうか。

 ただ、資料を活動記録に限定したことで、この作業にも限界が設定されたということを、あらかじめお断りしておかなくてはならない。

 ユニセフクラブの歴史は1985年4月5日に遡るとされている。その後、幾度にわたって繰り返された機関誌の創刊・発行中止・復刊のプロセスが、ようやく「Uniとぴあ(ユニトピア)」という形で安定の時期を迎えるまでには5年もの月日が流れるのを待たねばならなかったのである。その間の記録は活動報告という形では残っていない。

 けれども偉大な先輩は当時を伝える資料として「同時代史としてのユニセフクラブ」と題する記事を初期の「ユニトピア」に連載していた。永井史男「同時代史としてのユニセフクラブ」(1989年7・8月号No.3〜1990年4月号No.10)、渡辺浩平「続・同時代史としてのユニセフクラブ」(1990年5月号No.11〜1991年9月号No.24)、塩山清隆「続々・同時代史としてのユニセフクラブ」(1992年1月号No.28, 2・3月号No.29)がそれである。ここでは年表に組み込むことはできなかったが、ご一読されることをお勧めしたい。

 また、次のことも同時にお断りしてきたい。この試みは、「ユニセフクラブの公式の歴史」を伝えようとするものではないということ、執筆の責任はただ編集者にのみ帰せられるということである。飲み会や誕生会といった「ユニトピア」に掲載されていない様々なエピソードもまた、ユニセフクラブの歴史を構成するものであろう。ただ、その資料を掘り起こすことは、当時を知らない編集には少々荷が重すぎたというところである。

 過去を知り、現在を知ることで、未来への手がかりが得られるのならば、
 この地味な作業にもいくらかの意味があろうか、と思う。

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