新歓学習会 「誰のための植林?」報告

石原 正恵(いしはらまさえ)


1.内容

日本の紙の消費量と、その原料がどこから来ているかを説明した後、日本の製紙会社による植林が世界各地で行われており、その歴史的背景と現状を話しました。さらに、ブラジルでの製紙会社各社共同の植林、チリでの三菱製紙の植林、パプアニューギニアでの王子製紙による植林について述べました。

2.参加者の反応

当初、ロールプレイをやるつもりだったため、参加者からは、ロールプレイをやってほしかった、周辺住民の声が聞きたかった、という声が多かったです。古紙リサイクルについてや、製紙以外の目的の植林がないのかなどの質問も出ました。

3.反省点

メリハリつける:当初、途上国政府、植林地の周辺住民、日本政府、日本の製紙会社の4つのグループに分かれ、ロールプレイを行うつもりでした。でも、説明だけで時間がかかったのと、内部者だけであったためやめてしまいました。国別の状況説明は長かったので、植林地による影響を受けている地域住民の証言がそろっているパプアの例を中心にして、短くまとめ、代わりにロールプレイをしたほうが参加者も楽しめたのではないかと思います。

伝えたいことはしぼる:ユニセフの経験者の忠告にもかかわらず、完全にしぼりきれず、ポイントがぼやけてしまいました。国別の状況説明にしても、3カ国の様子をもう少し対比させて説明する方が、わかりやすかったと反省しています。

予行練習をする:私が当初の時間配分を無視してしまい、嘉部さんがその分を取り戻そうとあせって話してくれて、ごめんなさい。発表の基本ですが、ちゃんとペース配分つかんで、質問の時間なども考慮に入れておくべきですね。

4.感想

一緒に調べ発表する:誰かと一緒に調べるときに、効率を考えて、それぞれ調べる範囲を分担し合うのは、よくあるやり方です。でも、そうした場合、なかなかお互いが考えていること、感じていることを十分に交換し合うのは難しいという気がしていました。そのため、今回は分担し合うのではなく、相手と一緒に進め、同じものを読んでどう感じるかを話し合ったり、一緒に人の話を聞きに行こうと思って始めました。

しかし、今考えると、当初の目的は、半分も達成されていない気がします。調べれば調べるほど、知識に呑み込まれてしまい、自分が何を知りたくて、何をしたいのかという一番大切なことが見えなくなりました。そのため、嘉部さんと意見をぶつけ合うこともないまま、知ったことをまとめあげるだけに終わったような気がします。一緒に学習会の準備に費やした時間を、お互いが何を感じているのかについて話合うことにもっと費やした方がよかったと思います。

生の情報と自分なりの考え:自分の主張があって、文献からそれを根拠付ける情報を集め、さらに自分で情報をつかむということも、今回の私の目標でした。しかし、チリの植林を行っている三菱製紙の人に手紙で聞くということに留まり、その植林によって何らかの影響を受けている人がどう考えているか、思っているかということは、調べられませんでした。チリの三菱製紙の植林についての文献はあまりなかったので、間接的な植林反対派の意見すらわかりませんでした。そのため、実際のチリでの状況が、その製紙会社からの返事に近いものなのか、わかりませんでした。時間的にチリに行くのは無理でも、チリで活動しているNGOで、植林に関係しているところを探して手紙を書くという手もあったのに、調べているときは思いつきませんでした。

学習会が終わって、実際に、植林地周辺の住民の人に会って話を聞いてみたいし、植林地を見てみたいという気持ちが強くなっています。現地政府の人の声も聞いてみたいです。それから、製紙会社や商社による海外での大規模造林と、学問としての造林学との関係なども注意したいです。

 

最後に、いろいろと貴重な時間を割いて相談に乗ってくれた熱帯林きょうとの関さん、伊藤さんと橋本さん、ありがとうございました。それからアイスブレーキングを考えてくれたり、ワークショップの進め方を教えてくれたり、さらに学習会の宣伝をしてくれたユニセフの皆様ありがとうございました(私は何にも人の学習会を手伝わなかったのに…)。

 

 

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