原本は縦書です。ここでは表記の一部を変更してあります。




平成一〇年(ワ)第一八九八三号損害賠償請求事件

答   弁   書

                            原  告   郡  司   篤  晃
                            被  告   N 氏  の  氏 名
  一九九八年九月二五日
                            被告訴訟代理人
                            弁 護 士  新  美      隆
                            同       虎  頭   昭  夫
                            同       藤  田   正  人
                          (送達場所)
                           東京都港区西新橋一ー八ー七藤野ビル二階
                                       新橋法律事務所
                              弁 護 士  新  美    隆
                              TEL 〇三(三五〇三)八五八八
                              FAX 〇三(三五八一)九〇三五
東京地方裁判所
  民事第三六部合議係  御  中

請求の趣旨に対する答弁

 原告の請求を棄却する
 訴訟費用は原告の負担とする
 との判決を求める。


請求の原因に対する答弁

一、第一項について

  前段のうち、一九七〇年三月に東京大学大学院博士課程を修了したこと、東京女子医科大学などに勤務したことは不知、その余は認める。但し、一九八五年八月に厚生省を退職した後に東大医学部教授に就任したのではなく、厚生省からの出向という形になっている(本件立看板に「出向教授」という表現があるのはこのためである)。

  後段のうち、エイズ問題について早い時期から危機感を持ったこと、エイズ研究班を組織したことは認める。原告ができる限りの手段を尽くしたと考えていることは不知、原告が生物製剤課長在職中にできる限りの手段を尽くしたことは否認する。

二、第二項について

  被告が東京大学分子細胞生物学研究所に勤務する文部教官(助手)であること、本件立看板が「東大職連」名義で掲出されたことは認める。

  被告が掲出したこと、及び、職務に関わりなく掲出したことは否認する。否認する理由は、以下のとおりである。

  訴状の記載を見る限り、原告は、立看板掲出行為はいずれも被告個人の行為であるにもかかわらず、いわば隠れ蓑として「東大職連」の名称を使用したと主張しているものと思われるが、そうだとすれば、原告は誤っている。

  東大職連(正式名称は東大全学職員連絡会議)は、一九七〇年ころから東大臨時職員の正職員化や待遇改善のために活動していた東大学内のいくつかの団体が集まって一九七四年に結成された団体で、その構成員は東大職員である。東大職連は、職員に関する様々な問題の解決等のために活動しており、一九七八年からは、総長補佐との交渉も行っており、学内では認知された団体である。また、以前から「連絡会議ニュース」「職連ニュース」などを発行し、一九九七年一月ころからは「月刊Shoku-Ren」を発行している。

  エイズ問題については、一九九六年四月二四日に「薬害エイズ学習会 郡司篤晃医学部教授の責任をめぐって」を主催し、更に、同年五月二九日及び同年六月二六日に「薬害エイズ学習会 郡司篤晃医学部教授の責任を問う」を主催しているし、同年七月には、原告に対して公開質問書を郵送したが、何らの回答もなかった。また、東大職連は同年七月一六日の総長補佐交渉で、原告の責任を明らかにするよう吉川総長に申し入れた。

  被告が東大職連の構成員であることは否定しないが、本件立看板はいずれも東大職連が掲出したものであり、原告も東大職連の東大内における地位については認識していたはずである。しかるに、本件訴状を見る限り、原告は東大職連=被告との立場に立っていると言わざるを得ないが、被告としては何故自分が訴訟当事者とされているのか全く理解しがたい。

 以上の理由から、本件立看板掲出が全て被告の個人的行為であるとする原告の主張は否認するものである。

三、第三項について

  1、1のうち、一九九六年二月ころの時点では「薬害エイズ」問題がマスコミで大きく取り上げられていたことは認める(但し、薬害エイズ訴訟で東京地裁は、一九九五年一〇月六日に「和解勧告にあたっての所見」を訴訟関係者に示しており、マスコミで大きく取り上げられるようになったのは原告主張の一九九六年二月ころよりも早い時期である。)。

  立看板が原告を誹謗中傷するものであること、及び、被告が掲出し続けたことは否認する。

  本件立看板が正門付近などに掲出されたことがあること(但し、掲出主体は東大職連)、現在は掲出されていないことは認める。

  2、2のうち、「学部共通細則」などに原告主張のような規定が存在することは認めるが、その効力は否認する。これらの規定はいずれも昭和二五年三月に全面改正されたものであるが、一九六八、九年の東大闘争の過程で、その効力を否定され、死文化ないし空文化しており、既に効力を失っている。また、「学部共通細則」「同取扱内規」の対象は学生であり、職員である被告は対象外である。

  本件立看板設置が各規定に違反すること、繰り返し大学当局から撤去するよう警告されていたこと、被告が警告を無視して立看板の掲出を長期間継続したことはいずれも否認する。東大職連ないし被告が大学当局から警告されたことは一度もない。

  3、3については(一)から(七)までまとめて認否する。

  (1)各立看板の記載内容が原告主張のとおりであること(但し、立看板Cは「出向中」が正しい)、立看板B、Eに貼付されたビラには原告主張のような記載部分があることは認める。立看板Hに貼付されたビラの内容は、写真(甲九の@〜B)が不鮮明で認否できない。

  (2)各立看板の設置場所については概ね認める。但し、立看板Fについては医学部図書館敷地、立看板Gについては医学部三号館前が正しい。

  (3)写真撮影日ころに各立看板が掲出されていたことは認める。なお、立て看板@の掲出時期についての原告の主張は、甲第一号証写真@〜Bに写っている立看板が同一のものであることを前提としていると思われるが、右写真@と同ABは同じものではない。また、立看板Eは、一九九七年一〇月ころ設置したが、設置して数日のうちに何者かにより持ち去られた。

  (4)各立看板設置の主体は東大職連であり、被告が立看板を設置したことは否認する。

四、第四項について

 1、前文のうち、立看板@〜Iは被告が「東大職連」なる名義を用いて掲出し続けたものであることは否認する。

 全ての立看板が原告主張の二点を記載しているという表現は正確ではないが、立看板の主たる内容が原告主張の二点のいずれか、あるいは両方であることは認める。

 「右のいずれの点も全く事実に反するものであるが、・・・」以下の部分は否認ないし争う。

 2、1〜10の立て看板@〜Iに関する部分の構造は、以下のようになっているので、まとめて認否する。

(イ)立看板の記載は・・・との事実を摘示するものである。

(ロ)右摘示事実は、・・・・というものであり

(ハ)明らかに原告の名誉を毀損するものである。

(ニ)同時に・・・・原告の名誉感情を侵害するものである。

(ホ)なお、・・・・摘示事実は虚偽の事実である。(但し、この「なお書き」があるのは、立看板@、Bのみである)

 (イ)(ロ)は立看板の記載内容に対する原告の評価ないし解釈であり、認否の対象外である。なお、原告は立看板の記載を「摘示事実」と決めつけているが、法的な意味で「摘示事実」に該当するのか、それとも、「論評」に該当するのかは追って主張する。

 (ハ)(ニ)は否認ないし争う。

 (ホ)のうち、エイズ問題について早い時期から危機感を持ったこと、エイズ研究班を組織したことは認める。迅速・的確な行政的対応を図ろうとしたこと、摘示事実は虚偽の事実であるとの点は否認する。

五、第五項、及び、第六項は否認ないし争う。

六、第七項は争う。


本件訴訟の意義と被告の希望


一、はじめに

 本件訴訟は、「東大職連」が掲出した立看板の記載内容が名誉毀損及び侮辱に該当するとして損害賠償を求められている事案であるが、以下に述べるように、様々な問題点を孕んでいる。

 詳細については、次回以降主張するが、とりあえず問題点を指摘する。

二、虚偽の事実を指摘したのか?

 1、立看板の内容は、原告が主張するように、@ 原告が厚生省薬務局生物製剤課長時代に誤った政策をとり、その結果「薬害エイズ」被害を発生せしめたもので、被害の発生、特に四〇〇名もの患者が死亡するに至ったことについては原告に重大な責任がある、A 原告はユナム社から賄賂を収受した、というものである。

 原告は、右@、Aについて、いずれも全く事実に反するものであり、虚偽の事実を摘示した旨主張する。

 被告としては、虚偽の事実を摘示したものとは考えていない。この点については、追って詳述するが、とりあえず、以下の二点を指摘しておく。

 2、薬害エイズ訴訟で東京地裁は、一九九五年一〇月六日に「和解勧告にあたっての所見」(以下、所見という)を示したが、それには「厚生省の当時の主管課である生物製剤課の課長(原告)は、一九八三年初め頃からエイズと血友病に関する情報の収集に務めており、米国における右のような事情(一九八三年初頭以降、エイズから血友病患者を守るための方策が米国政府機関から相次いで出されるに至っていたこと・・・被告代理人)を知っていたと認められる。 ・・・・同課長は、右の頃(同年六、七月)には、エイズの原因が血漿又は血液製剤を介して伝播されるウイルスであるとの疑いを強めていた。 ・・・・・厚生大臣は、・・・関係機関や血友病患者等への十分な情報提供、 ・・・代替血液製剤確保のための緊急措置、 ・・・非加熱製剤の販売の一時停止などの措置をとることが期待されていたというべきである。しかし、当時の厚生省は、・・・の措置をとったけれども、血液製剤を介して伝播されるウイルスにより国内の血友病患者がエイズに罹患する危険性やエイズの重篤性についての認識が十分でなく、前記のような有効な方策を講ずることがなかったのであり、かかる対策の遅れが我が国における血友病患者のエイズ感染という悲惨な被害拡大につながったことは否定し難いというべきである。」と記載されている。

 3、東大では、医学部胸部外科講座進藤助教授の収賄事件を契機に「教官の倫理確立に関する委員会」が設置され、その報告書が一九九三年三月三一日付「学内広報」で発表された。報告書は、「点検すべき事項」を掲げているが、その中に「教官個人が、原稿料・・・等、通例の報酬を受け取る場合であっても、その額が職務との関連で、社会の疑惑を招くものではないか。「顧問料」のような形の継続的ものがあるとすれば、兼業制限との関係でも問題となる。」との記載がある。

 ところで、一九九六年七月一六日付朝日新聞は、原告が保険会社から相談などの謝礼として約三〇〇万円を受け取ったことが判明し、東大人事課は国家公務員法に抵触する可能性があるとして調べている旨報道した。

 そして、一九九六年一二月二一日付朝日新聞、毎日新聞、サンケイ新聞は、一九九六年一二月二〇日、原告が米国系傷害保険会社ユナム・ジャパンから一九九三年一一月から一九九五年四月までにコンサルティング報酬名目で総額三三六万五〇〇〇円を受領したことについて、国家公務員法が禁止する兼業に該当するとして、文部大臣が原告を戒告処分にしたことを報道している。

三、立看板の内容は公知の事実ではないのか?

 立看板の内容は、新聞などで報道され、いわば公知の事実となっていたことをまとめたものである。

 原告の主張によれば、立看板の掲出開始時期は、一九九六年一一月ころであり、この時点における「薬害エイズ」問題がどのような状況にあったのか振り返ってみる必要がある。

 一九九五年一〇月に薬害エイズ訴訟で東京地裁が「所見」を出して和解勧告を行ったことは前述したとおりである。

 一九九六年三月には、菅厚生大臣が患者に謝罪し、国や血液製剤メーカーは和解に応じた。

 同年八月二九日にエイズ研究班・安部英班長が逮捕され、同年一〇月四日に原告の後任の生物製剤課長であった松村明仁が逮捕されて、いずれも業務上過失致死傷で起訴されている。

 この一連の過程で、新聞やテレビなどで膨大な量の報道がなされたこと、その中には原告の責任を問う報道も少なくなかったことは記憶に新しい。同年一一月八日付東京新聞、毎日新聞、読売新聞は、菅前厚生大臣は「薬害被害の責任は重大」として原告の懲戒処分の検討を指示したところ、事務方の反対があり、退任直前まで再検討を指示したが時間切れのため結果的に処分は見送りになったことを報道している。

 東大学内においても、一九九六年一月一日付東大新聞に原告の責任を問う投書が掲載されて以来、同様の投稿が続いていた。

 かかる意味では、本件立看板掲出以前に、原告の社会的名誉は侵害され、また名誉感情も侵害されていたのである。

 原告は、これまで、生物製剤課長としてエイズ被害の拡大阻止のための有効な手段をとらず、被害を拡大させたのではないかという新聞報道などに対して、名誉毀損であるなどという主張はしていない。本件立看板の影響力に比較すれば、新聞報道などの方がはるかに大きいことは言うまでもない。しかるに、新聞報道などについては何らの行動もとらずに、何故本件立看板について訴訟を提起したのであろうか。

 一個人にすぎない被告に比べれば、社会的にも経済的にも調査能力の面においてもマスコミの方が比較にならないほど強大であることは言うまでもない。原告は、この強大なマスコミを相手にすることを避けて、被告を相手にすることにより名誉回復を図ろうとしたのであろうか。

四、本件訴訟は東大内部での相互批判を封殺しようとするものであり、言論の自由に対する挑戦である。

 東大職連は、本件立看板で、生物製剤課長として薬害エイズの被害の拡大を防止できる立場にあったにもかかわらず、有効な措置をとらなかった原告は、その責任を明らかにすべきである旨訴え、更に、かかる立場の原告が東大医学部教授として、真理を追究すべきであるとして学生に教育していることの是非を学内に訴えようとした。また、戒告処分を受けるような金員の収受についての原告のモラルを学内に訴えたのである。

 本件訴訟は、原告が東大を退官したとはいえ、本質的には、真理探究の場であるはずの大学内での批判を封じ込もうとするものであり、言論の自由に対する重大な挑戦である。

 東大新聞一九九六年一月一日号には、法学部学生中川素充君(HIV訴訟を支える会)の投稿「薬害エイズ 郡司篤晃教授(医学部)の責任を問う」が掲載されている。その内容は、東京地裁の所見を前提として、原告がHIV訴訟で国側証人として厚生省の責任を否定し続けたこと、所見に対して何ら反省することなく開き直った態度をとっていること、命の重みを知らない原告が保健学という国民の健康に関わる重要な学問を教えていること等について批判し、原告が裁判所の所見を謙虚に受け止め、真実を語り、早急に自らの責任を取ることを求めたものである。右東大新聞には、同時に原告のコメントとして「中川君は裁判所の和解案もよく読んでいない」ということを前提とした上で、「この投書は問題に真剣に取り組んだ私個人に対する侮辱です。真実を探求する場である大学でこんな軽率な行為が、しかも法学部の学生によって行われることを許していいのだろうか。法学部の先生方とも相談して名誉を回復する手段を検討したいと思う。」旨掲載されている。かかる原告のコメントは、自らに対する批判を封じ込めようとするものであり、被告としては本件訴訟と軌を一にするものと考えざるを得ない。

 一九九六年二月六日付東大新聞には、「納得いく説明を」という匿名の投書が掲載されている。これは「貴方は、記事を寄稿した学生に対し、教授という優位な立場から学生に対する脅迫ともとれるコメントをしておられます。そこで、本学に在籍する私は、不本意ながらも貴方に名前を名乗ることができない次第です。」と前置きした上で、数々の証言や疑惑に反して原告が潔白というのであれば、公の場で国民に対して納得の行くよう表明することを求めている。

五、本件訴訟は、薬害エイズ問題発生の真相を解明しようという運動などを弾圧しようというものである。

 原告は、薬害エイズ問題についての刑事責任追及はとりあえずは免れている。しかし、だからといって、原告に何らの責任もなかったと言えないことは、所見からも明らかである。

 後手後手に回った行政の対応の不手際から薬害エイズ被害の拡大という悲惨な事態を招いてしまったが、同じような事態が二度と生じてほしくないと願うのは当然のことである。そのためには、何故、行政の不手際が生じたかの解明が不可欠であり、原告には何故かかる事態が生じたのかを明らかにする義務がある。

 この間、原告はHIV訴訟や刑事裁判で証言し、更にはマスコミの取材に対してもコメントしてきたが、多くの点で食い違いや変遷が指摘されている。二度と同じような悲劇を繰り返さないためにも、原告は、真相は何であったのかを明らかにすることを求められているのである。

 しかるに、本件訴訟を提起したということは、真相を解明しようとする運動に対する妨害・弾圧であり、本件訴訟には何らの正義もない。

六、本件訴訟の意味と被告の希望

 本件訴訟は、立看板による名誉毀損などについての損害賠償である。

 しかし、被告としては、本件訴訟で明らかにされるべきは、本件立看板が原告の名誉ないし名誉感情を侵害したかどうかではなく、薬害エイズ被害拡大における原告の責任であり、東大教授としてのコンサルティング報酬名目での金銭の収受の是非であると考えている。

 原告は、三つの顔を有している。第一に厚生省高級官僚(生物製剤課長)、第二に東大医学部教授(保健学)としての学者、第三に医師である。

 そして、原告は、薬害エイズ問題については、右の三つに関していずれもその責任を明らかにすべきである。即ち、@ 生物製剤課長として、薬害エイズ被害の拡大を防止できる立場にあったにもかかわらず、何故有効な措置をとることができなかったのか、A 真理探究の場であるはずの大学において、何故真相を明らかにして欲しいという要望を封殺しようとするのか、B 医師として、薬害エイズ被害が拡大し、多くの人々が死んでいったという現実に対してどう考えるのか、である。

 また、ユナム・ジャパンからの金員の収受についても、大学人として、教授として、その責任を明らかにすべきである。

 被告としては、何故本件訴訟が被告を相手として提起されたのか理解しがたいが、本件審理にあたっては、右の三点が解明され、今後二度と同じような悲劇が繰り返されないことになるのであれば、被告の立場を甘受することにも社会的・歴史的意味があると考えている。

 本件裁判の意味は、まさに後手後手に回った行政の不手際の解明にあるのであり、かかる観点から、本件裁判の訴訟指揮を行われるよう強く希望する次第である。


求     釈     明


一、請求原因第一項の「右のような努力」とは、エイズ研究班の組織以外に、どのような努力をしたのか?

二、請求原因第一項に「在職中にできる限りの手段を尽くした」とあるが、どのような手段を尽くしたのか、具体的に明らかにされたい。

三、原告は、エイズ研究班を組織するなどして迅速な行政的対応を図ろうとしたのであって、本件立看板の記載内容は虚偽である旨主張し(訴状八頁下段三〜八行目など)、さらに、立看板B、Eに貼付されたビラの記載内容についても虚偽である旨主張する(訴状六頁上段一四行目〜下段八行目、九頁上段五〜一〇行目、同一八〜下段一行目)。

 よって、右ビラの記載内容(甲第三号証の写真E参照)について、どこの点が虚偽なのか明らかにされたい。
@ 厚生省生物製剤課長として、一九八二年の暮れか 一九八三年の極めて早い時期に非加熱血液製剤によるエイズ感染の危険性を十分承知していた。
A 原告は、終始一貫して、非加熱製剤の使用を推進した。
B 原告は、エイズ汚染製剤が輸入された事実をあえて公表せず、輸入禁止措置もとらなかった。
C 一九八三年三月にアメリカでトラベノール社の加熱製剤が認可されていたが、原告は日本での使用を認可せず、臨床試験が必要だとした。
D 原告は血液製剤の危険性を熟知していた。
E 死に至る病・エイズの感染を防ぐ方法があった。
F 当の血友病患者には危険性を一切知らせなかった。

四、東京地裁の所見のうち、以下の部分は、正しいのか、間違っているのか?
 @「厚生大臣は、関係機関や血友病患者等への十分な情報提供、代替血液製剤確保のための緊急措置、非加熱製剤の販売の一時停止などの措置をとることが期待されていたというべきである。」
 A「当時の厚生省は、血液製剤を介して伝播されるウイルスにより国内の血友病患者がエイズに罹患する危険性やエイズの重篤性についての認識が十分でなかった。」
 B「有効な方策を講ずることがなかったのであり、かかる対策の遅れが我が国における血友病患者のエイズ感染という悲惨な被害拡大につながったことは否定し難いというべきである。」

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