郡 司 氏 の 準 備 書 面 (7)

この準備書面は2000年2月28日の第11回公判で提出されたものです。


平成10年(ワ)第18983号
  損害賠償請求事件

     2000年2月21日
                                

原告訴訟代理人
弁護士 弘中惇一郎
 同   喜多村洋一
 同   飯田 正剛
 同   坂井 眞
 同   加城 千波


  東京地方裁判所民事第36部合議係 御中


 
準 備 書 面 (七)

 原告のユナム社からの金銭受領に関する問題は、原告としては定期的受領ではなく、したがって「兼業禁止」に該当するなどということを考えていなかったところ、これを大学当局から「定期的であり、したがって兼業禁止に該当する」とされたということに尽きるのであり、それ以下でもなければそれ以上でもない。

 兼業禁止という問題は、職務専念義務違反問題であって、金銭の受領自体が問題となるものではない。もとより、金銭受領自体が不正であるということになる問題ではない。例えば、国立病院の医師が他の病院で当直をして報酬を受け取れば、それはいかに正当な労働の対価であっても、兼業禁止の問題は起こりうるのである。本件の場合も同様である。なお、被告は、学内職員の給与に比し、原告の受領した金銭の時間あたりの額が高い、ことを問題にしている。しかし、このことは、専門知識の希少価値に由来するものであり、意味のない議論である。

  要するに、被告の主張は、単なる兼業禁止違反問題について、何の理由もなく、対価の受領自体について「不正な金銭受領」と決めつけており、甚だしい論理の飛躍がある。

 次に、原告のユナム社からの金銭受領は、職務権限を利用したものではない。

 賄賂などで問題になる、職務に関連する、というのは、公務員としての権限を利用するということであり、単に専門的知識を有しているということではない。原告のユナム社に対するアドバイスなどは、専門的知識を活用したものではあるが、大学教授という権限を利用したものではない。

 なお、広辞苑の@の意味も、「袖の下」という言葉で明らかなように、職務に関連する不正な贈り物のことを指すのであり、「不正な金品受領」一般を指すものではない。広辞苑の賄賂の@が「ワイロ」の意味で、Aが「賄賂」の意味とする被告の主張は、まったく理由がない。

 名誉毀損の成否は、一般人が通常の注意と関心を持って、当該表記をどの様に理解するかによって決められる。被告は「ワイロ」が「不正な金銭受領一般」を指すと主張するのであれば、カタカナ表記の「ワイロ」で表記された後が、その意味で使用されている用例を具体的に示すべきである。

 これがなければ、被告の主張は単なる独善的主張でしかないことが明白である。

 結局、不正な金銭受領だから賄賂という被告の主張の論理自体が誤っており、 広辞苑を正しく読んでいない結果に過ぎない。

 以上の通り、原告は「不正な金銭受領」を行ったこともなく、ましてや、「賄賂」と言われるような「職務権限を利用しての不正な金銭受領」をしたことなど一切ない。ユナム社問題についての被告の主張が失当であることについては、以上の点を指摘すれば充分と考える。


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