郡 司 氏 の 準 備 書 面(3)
この準備書面は1999年4月12日の第4回公判で提出されたものです。
平成一〇年(ワ)第一八九八三号
損害賠償請求事件
一九九九年四月一二日
右原告訴訟代理人
弁護士 弘中惇一郎
同 喜多村洋一
同 飯田 正剛
同 坂井 眞
同 加城 千波
東京地方裁判所民事第三六部合議係 御中
準備書面(三)
一 第一の一項については、特に認否反論する点はない。
二 第一の二項1についても、特に認否反論すべき点はないが、「東大職連」が交渉団体として認知されたか否かに関連して、次のことを念のために指摘しておきたい。
すなわち、原告としては、「東大職連」が法人格をもった組織と言えるに至らないということ、すなわち、本件の立て看板掲出行為は原告個人の行為であったということを主張したし、その主張を維持するものである。
しかし、仮に、「東大職連」が法人格を有する団体であり、かつ、原告がその団体のメンバーとして本件立て看板掲出を行ったとしても、そのことは原告自身の不法行為の成否とは何ら関係のないことである。すなわち、本件立て看板の作成掲出という具体的行為を行ったのが原告である以上、原告が名誉毀損という不法行為の責任を負うことは自明である。本件は、行為者に対してその責任を問うものであり、法人の不法行為能力(民法四四条)ないし使用者責任(民法七一五条)を問題にするものではない。国家賠償責任における考え方と違って、私法上の責任の場面で行為者が免責されることがないのは明らかである。
したがって、「東大職連」の団体としての成熟性の事情として、「交渉団体として認知されていたか」などということを、これ以上論じる実益はない。
三 第一の二項2について
原告は、過去に行われた名誉毀損的表現行為についての責任を問題にしているのであり、「疑惑等の意見表明を抑圧せん」としているものではない。また、大学内において「歯に衣着せぬ厳しいかつ自由な意見表明がなされること」自体に反対するものではないが、自由な言論に名を借りて違法な名誉毀損が行われる場合には、その責任を問われることも自明のことである。名誉毀損的違法な言論活動が法的責任を問われることと、表現の自由を重んじることとはいささかも矛盾するものではない。「本件の立て看板による原告の責任迫及は・・」以下の部分は、「本訴訟の提起が退職後である」ことを除き、すべて否認する。
四 第二のうち、立て看板が意見表明、情報伝達の手段として意義のある場合のあることまで争うつもりはない。
ただし、立て看板が「もっぱら大学自治の観点から大学内部の問題として学内に向けられている」との点は否認する。本件立て看板が掲出された場所、期間などからして、それが大学内部の人間のみの目に触れるというものではなく、不特定多数の人々の目に向けられたものであることは明らかである。なお、大学内部の人たちとの関係でも、本件立て看板を見る人は多数に上ったのであるから、名誉毀損が成立することは明らかであり、それは大学自治とは何の関係もないことである。
その余の、被告の主張は、法的根拠の乏しい独善的主張であり、認否の限りではない。
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