工学の将来像を堤言
東大工学部、21世紀に向け白書
機構改革などに反映
1999年10月25日 日本経済新聞朝刊
東京大学工学部(中島尚正学部長)は21世紀に向けた工学研究・教育の将来像を示した「東大工学部ビジョン白書」をまとめた。工学が今後どのような形で社会に貢献できるかを教官の議論を経て示したユ二ークな報告書。今後の機構・カリキュラム改革に反映させるほか、日本の工学のあり方を議論するたたき台として世に問いたいとしている。
白書は同学部の現状についての外部評価のための報告書として作成、その中で「工学の将来ビジョン」として目指すべき方向を打ち出した。「21世紀の社会と環境に責任を持つ」「技術革新に挑戦し、新たな産業と未来を拓(ひら)く」を2本柱として、地球環境との共生や、文化とともに歩む工学を志向すべきだとの考えを盛り込んでいる。
技術万能主義的な風潮や、技術者のモラルの低下などへの反省を踏まえて新しい工学像を探る試みで、工学教育に関しては「使命感と倫理観念の教授」の重要性を指摘。東大工学部は白書を一般の書籍として出版するとともに、シシポジウムで発表するなど「内外の関係者との議論の場を持ちたい」(中島工学部長)としている。