工・原子力工学研究施設が休業

臨界事故、東大へも波紋

学生、東海村で実習中

1日は職員自宅待機

 
1999年10月19日 東京大学新聞


 9月30日午前、茨城県東海村の民間ウラン加工施設「ジェー・シー・オ−(JCO)」(本社・東京)で臨界事故が発生した際に、工学部の学生らが同じく東海村にある大学院工学系研究科附属原子力工学研究施設(同村白方)で実習中であったことがわかった。参加していたのは、工学部システム量子工学科の学部3年生、及び大学院生の合わせて数10名。事故の知らせを受け同日午後に実習は中止され、学生も直ちに帰京した。原子カエ学研究施設は、臨界事故現場の東約4.5キロの地点にあり、1日は休業した。(編集部・野村和之、二瓶貴之)

 30日に原子カエ学研究施設で行われていた授業は、工学部科目の「原子炉実習(T)。対象としているのは学部の3年生であるが、他学科・他大学出身の大学院生も参加していた。2班に分けて、9月27日から30日までを前半、28日から10月1目までを後半として行われる予定であったが、事故の発生の知らせを受け、同学科は30日の午後までに実習を中止し、参加していた学生全員を帰還させた。また同日夜、事故現場から半径10キロ圏内には、屋内退避要請が出たため、JR常磐線が運転を見合わせたほか、交通機関が麻痺した。このため1日同施設は休業し、職員も自宅待機となった。

 大橘忠弘教授(工学部システム量子工学科長)によると、東京に連絡が入ったのは午後3時頃。同教授は直ちに実習を中止して学生を帰還させるよう指示し、学生らは午後5時前にバスで勝田駅まで送られた後、電車で東京へ向かった。実習に参加していた同学科3年の湯澤圭祐さんは、「教官が大丈夫といっていたので安心していた。特に怖いとは思わなかった」と語った。また、同じく3年生の木下陽一郎さんは、「電車が止まったと聞いたので、早く帰って来られて本当に良かったと思う」と話した。東海村から帰還する際、学生の間に大きな動揺は無かったが、一部神経質になっている学生や家族のことも考え、今後も講義などを通じて精神面でのケアを行っていくという。

放射線、15倍にも

30日夜、職員 徹夜で計測

 原子力工学研究施設では、JCO東大事業所で起きた臨界事故を受け、環境放射線の測定を行った結果、4回にわたって通常の15倍に及ぶ量の放射線を観測した。

 同施設原子炉管理部の斎藤勲助手によると、事故発生時には放射線量に関する異常はなかったが、夕方から西風に変わり、同日午後7時27分に通常放射線量の約15倍を観測。以後午後8時30分、翌10月1日午前0時58分、午前1時50分の計4回、各約15分間にわたり異常な値を観測した。

 また、空気中のダストを観測したところ、放射性物質セシウム138およびルビジウム138が発見された。これらの物質は核分裂反応によって発生するもので自然界には存在せず、事故の影響が出ていることを裏付けた。ただし、その発生量は法定基準を大幅に下回っており、被ばくの心配はないという。事故当時、同施設では工学部の原子力実習などのため原子炉を運転していたが午後3時30分に停止した。以後、施設では徹夜で環境放射線の測定に追われていた。


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