自自公合意と大学「改革」

 

自自公合意、中身は“玉虫色”

1999年10月5日 読売新聞朝刊

 ■教育改革 

  【多方面の有識者が参加する「教育改革国民会議」を設ける】

 教育改革国民会議は小渕首相の直轄機関として創設される予定だ。「文部省主導では学級崩壊対策や国立大学改革などの懸案が進まない」(首相周辺)ためだ。6・3・3制見直しのほか、地域教育や家庭教育の重要性をはじめ、「個と公」の関係見直しなどの観点から、教育基本法改正も議論される見通しだ。


三党連立政権 政治・政策課題合意書(1999年10月4日)より 

◎ 教育・環境その他の重要事項

 一、教育改革国民会議

 青少年の人間形成を促すとともに、21世紀を支える有為の人材を育成する教育を実現するため、多方面の有識者が参加する「教育改革国民会議」(仮称)を設け、学校制度・学術研究体制も含めた教育の基本問題を幅広く検討し、結論を得られたものから順次、法整備も含めて具体化してゆく。

◎ 経   済

 二、経済新生のため構造改革を強力に推進することとし、次の諸点に重点を置く。

  (1) 21世紀に向けた戦略的プロジェクトを内閣官房(内閣府)が中心となり、産学官共同で推進する。
そのため、制度改革を進めるとともに、資金及び人的資源の集中的投入を図る。
  (2) 成長分野での一層の規制緩和と制度改革を進め、通信料金の大幅引き下げ、福祉サービスの多様化等を実現する。
  (3) 経済発展の原動力としての中小企業やベンチャーのための施策を推進する。

 

自自公合意、経済課題のポイント
情報化、環境、バイオ推進

 産官学協力

 小渕首相は「ミレニアム(千年紀)プロジェクト」と称する、産学官の連携による新技術の開発を進める方針だ。これを受けて、通産省が中心になって「産業技術力強化法案」(仮称)を臨時国会に提出する。

 このプロジェクトは、情報化、環境、高齢化・バイオテクノロジー事業の三分野で、具体的には、産学官協同でヒトの遺伝子情報の解読や、行政手続きの電子化などが進められる。

 産業界は、こうした取り組みで、新たな市場や、雇用を作り出し、付加価値の高い産業構造に転換する契機になると期待しており、経団連は「官邸主導で省庁横断的に取り組んで欲しい」と要望している。

 同法案には、柔軟に研究開発が行えるように複数年にわたる予算が組める措置や、大学から民間への技術移転を促すため、国立大学教官のベンチャー企業などとの兼業規制の緩和などが盛り込まれている。予算面でも、米・欧に先行されているバイオ分野などで巻き返しを図るため、ミレニアムプロジェクト関連予算を2次補正で要求する方針だ。こうした取り組みを実施することで、政府は5年程度をメドに一定の成果を出したいとしている。

 

ミレニアムプロジェクト
技術開発へ産官学結集
タテ割り行政排除カギ

1999年10月5日 朝日新聞朝刊 (みんなのQ&A)

 

  いよいよ新しい「ミレニアム」がやってくるんだって? 小渕恵三首相も最近、よく口にしてるようだけど、何なの。

  千年を一区切りにした時代区分のことなんだ。2000年まであと3力月足らず。百年単位の区切りを「世紀」というように、「千年紀」とも訳される。首相がこれにあやかって政権2期目に向けた目玉として打ち出したのが、ミレニアムプロジェクトだ。

  千年とはまた、大きく出たもんだね。どんなことをしようとしてるの。

  ひとことで言うと、産業界、学界、省庁あげて、新世紀を切り開く先端的な技術開発に重点的に取り組もうというんだ。

  技術開発と言っても幅広いよ。

 A 首相は、情報化を進めたり、高齢化に対応したり、環境対策を進めたりするのに役立つ技術を3本柱にすえている。高齢化対応では、医薬品の開発などにつながるバイオテクノロジーにも力を入れる。これらの分野で技術的な突破口が開けば、将来の成長産業を生み出せると期待しているんだ。「IT(情報技術)革命」とも言われる急激な技術革新が、米国経済を引っ張っているのも見習いたいようだ。

 「米国のアポロ計画のように、夢のあるプロジェクトで明るい展望を示したい」とも言っている。先の通営国会で成立させた産業再生法が、債務処理の支援など後ろ向きな政策にとどまっていると批判されたのも意識しているんだ。

  情報化などの技術開発にはこれまでも取り組んでいるんじやないか。どこが目新しいんだろう。

  まず来年度予算編成に向けて、これまでの配分にとらわれず重点的に投入する2500億円の特別枠を設けたんだ。すでに21省庁から80件、計3400億円分の要求が上がっていて、内閣官房が中心になって調整を進めている。首相はこのうち一部は、10月末にも召集する臨時国会に出す補正予算案に前倒しで盛り込む考えだ。

 さらに、企業と大学が共同で取り組む実用化研究に国が補助金を出せるようにしたり、国立大学の教官が民間企業の役員を兼務できるようにしたりする制度改革も検討しているね。

  意気込みはわかるけど、うまくいくのかな。

  そこなんだよ、問題は。例えば、情報化の柱の一つの高度道路交通システム(ITS)の開発。運輸省、郵政省、建設省が個別に予算要求している。対応する民間側だって窓口がばらばらだと困るよね。省庁の縦割りでは、首相の意気込みも空回りしかねない。

 首相は分野ごとに「いつまでに、どういう目標を達成するか」、はっきりと打ち出すように求めている。国の予算を重点的に投入するからには、絵空事の単なるキャッチフレーズで終わることがないよう、実効性のある計画が大事だろうね。


磯田和昭(政治部)

ミレニアムプロジェクトの主な事業案

【情報化対応】

 ●国への届け出事務などをコンピューター網ですませる「電子政府」の実現

 ●走行しながら料金支払いなとができる「高度道路交通システム」実用化

【高齢化対応】

 ●ヒトの遺伝子情報解析と薬品への応用

 ●体内に入れる微細な治療ロボットなど医療技術の開発

【環境対策】

 ●ダイオキシンの排出抑制技術の促進

 ●二酸化炭素排出抑制に役立つ燃料電池の小型化など実用化


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