独立行政法人化問題で総長が記者会見

学内広報 1168 (1999.8.23) より

 最近、多くの新聞等で国立大学の独立行政法人化の問題が取り上げられ、国立大学の独立行政法人化が「すでに不可避」であり、本学がこれを「条件付きで容認」したかのような報道がなされていることに対し、総長は、学内における主体的議論の妨げになることを深く憂慮し、この問題に対する本学の検討方針を内外に明示する必要があると判断し、8月11日に東京大学総長としての立場から、本学のこの問題に対する基本的考え方および検討状況等について、記者会見を行いました。その内容とこの間の動向についてここにご報告申し上げます。 (総長室)

 日時  平成11年8月11日(水)13時00分〜35分

 場所  学士会分館(本郷)2階6号室

 出席者

  大学側:蓮實総長、武内、真行寺両総長補佐

  報道側:朝日新聞社、京都新聞社、産経新聞社、東京新聞社、日本経済新聞社、毎日新聞社、読売新聞社、共同通信社、時事通信社、日本放送協会、日本テレビ網、東京放送、フジテレビジョン、全国朝日放送  計30人

 東京大学の蓮實でございます。よろしくお願い申し上げます。まず、最初にお断りさせていただきますが、本日の会見は東京大学総長としてのものでございます。したがいまして、私は国立大学協会会長という役割も持っておりますけれども、そちらについては触れさせないでいただきたいと思います。

 そして、私の脇には、二人の総長補佐がおられますので、ご紹介申し上げます。こちらから真行寺助教授でございます。それから武内教授でございます。私が何かとんでもないことを口走らないように監視していただいているということでございます。

 それでは、私の東京大学総長としての会見を始めさせていただきたいと思います。お集まりいただきましたご期待に添えるようなことを言えるのかどうか、心もとない限りでございますけれども東京大学としてこの際申し上げておかなければいけないことをこの場で述べさせていただきたいと思います。お手元に「独立行政法人化問題に関する最近の報道について」という資料をお渡しさせていただきました。それに基づいてお話させていただきたいと思います。時間的な余裕がありましたならば、その後ご質問をちょうだいするということになろうかと思います。まず、全部読まさせていただいた上で、コメントを加えさせていただこうと思っております。

 

独立行政法人化問題に関する最近の報道について

 東京大学総長
  蓮實重彦

〇「現在提起されている形での独立行政法人化に反対である」(平成9年10月17日「東京大学の独立行政法人化に対する見解について」)という東京大学の態度は現在もなお本質的に変わっていない。

〇国立大学の独立行政法人化の問題に関して、一部の報道機関が「すでに不可避」と報道したことは、今後の検討を歪めかねないものとして深く憂慮している。とりわけ、一部の報道機関が「東大、条件付き容認も」と報道したことは事実誤認であり、誠に遺憾である。

〇東京大学は、大学審議会の答申に基づいて評議会の下に設置した「東京大学の経営に関する懇談会」(平成10年11月17日設置)において、教育研究の一層の充実と高度化のために短期的、中期的、長期的課題の検討を行い、6月に中間報告を行ったところである。この報告は、もちろん、東京大学を含む国立大学の独立行政法人化に関して一定の方向を示唆することをいささかも意図するものではない。東京大学としては、大学の自律的かつ機動的な運営のために必要な、教育研究組織の柔軟な設計、行財政の弾力性の向上、自らが定めた教育研究目標を実現するための主体的な取組方策を検討したものであり、その検討結果は10月頃、最終報告のかたちで示される予定である。

〇東京大学の独立行政法人化の問題に関しては、総長の下に「東京大学の設置形態に関する検討会」を設け(平成11年7月1日設置)、教育研究の高度化・活性化の観点から理想的な組織・運営はいかなるものか(「理想形態WG」)、また、独立行政法人化がはたして大学の設置形態として相応しいものか否か(「比較検討WG」)等の検討を開始したところである。その際、独立行政法人化を前提とするものでないことは言うまでもない。

〇東京大学としては、大学審議会の答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について」に述べられたように、大学の自主性、自律性を最大限保持しつつ、独立行政法人化の問題に知性をもって主体的に対応していきたいと考えている。

〇昨今の国立大学の独立行政法人化をめぐる議論が、予想を遙かに超える流れで進められていることは、国立大学の主体的対応を危うくするものであり、ひいては、大学の自主、自律をあやうくし、教育と研究の質の低下を招きかねないと深く危惧している。

 以上でございます。それでは、簡単にそれぞれについてコメントをさせていただきたいと思います。

 まず、最初でございますが、平成9年10月17日以来、東京大学はこの反対の態度を表明しておりまして、それが崩れていない、現在もとりわけ独立行政法人化の通則法というものが定義された段階で、その通則法が大学の経営ならびに教育研究にふさわしいものではないと判断しておりますので、この態度は変わっておりません。

 二番目は飛ばさせていただきまして、三番目のこの「東京大学の経営に関する懇談会」というものの中間報告というものが出まして、その中の一部の言葉使いをお取りになりまして、東京大学が独立行政法人化に移行する可能性もあるやというような報道がございましたが、全文をお読みいただきますと、そのような内容にはなっておりません。そして、それは、その前に戻ります「東大条件付き容認も」という報道に表われたわけでございますが、これは東京スポーツという皆様方がご存知の新聞がよくやることでございまして、この「も」を見なければ、容認というふうに見えてしまうところでございます。私自身嫌いではございませんが、私が総長をしております東大には「条件付き容認も」ということは、当てはまらないということをここで改めて公表させていただきたいと思います。

 それではなぜそのような問題を検討しているのかということをお話させていただきたいと思います。これは二つの委員会によって行われておりますが、先程申し上げました「東京太学の経営に関する懇談会」は、なによりもまず大学審議会の答申を受けて、東京大学として様々なことを検討するという委員会でございます。もう一つは、ごく最近になりまして、独立法人化問題が文部省でも検討され始めようとしている時期に東京大学がそれについてまったく何もしないということはありえないと思いまして、東京大学には行政法の先生方もいらっしゃいますし、様々な法律の専門家の方もおられますので、平成11年7月1日に総長の下に「東京大学の設置形態に関する検討会」という形で発足したものでございます。この発足が先程申し上げましたように独立行政法人化を前提とするものでないことはいうまでもこざいません。

 そして、最後から二つ目でございますが、東京大学としては、まず、大学審の答申に述べられているように大学の自主性、自律性を最大限に保持しつつ、独立行政法人化の問題に知性をもって主体的に対応していきたいと考える。この「知性」という言葉について、ひとこと述べさせていただきたいと思います。

 この知性という言葉は、それよりも一行下にございます予想を遥かに超えた流れで進められているという「流れ」という言葉に対応しております。様々な制度改革が、結局は流れの中で、知性を使うこともなく、様々な可能性を分析、記述、批判することもなく行われてきたということは、皆様方もよくご承知だろうと思います。

 この際、「流れ」は、明らかに独立行政法人化の方向を示しているかに見えますけれども、その流れにあらためて知性をもってあらゆる可能性を考えていかなければいけないということです。その可能性といたしましては独立行政法人化が唯一の可能性ではなく、これまでどおり国立大学のまま残るという可能性も原理的には含まれております。また、原理的に申せば、私立になるということも含まれております。その三つの可能性を私共は検討しているということでございます。今は原理というふうに申しましたから、東京大学が私立となることを検討しているというふうにはどうぞお考えいただきたくないのですが、そのような可能性について考えているということであります。そのようなすべての可能性を考えることをいささか、さしでがましいと思いましたが、書かせていただいた訳でございます。

 また、「流れ」は政治的な流れというものに対応する言葉というふうにお考えいただきたいと思います。最近はこの議論がある速度で進んでおりまして、この速度は必ずしも必要と思われないような速度だと私には思われます。したがいまして、それに十分な時間をかけ、多くの意見を結集しないと、ことによると教育と研究の質の低下を招くことにもなりかねないという危惧の念は、私、現在、非常に強く感じておりますので、そのことをご承知いただきたいと思います。

 私が準備いたしました本日の会見の内容は以上でございますが、この際、私がこの場でお答えできるものであればお答えしたいと思います。

 A記者:国の決定と東京大学内部の方針が矛盾する事態が生まれたらどう対応するのか。

 総長:今のお話で国の決定というのは具体的に何を指しているのか、国会の決議であるのか、あるいは行政を通して私どもに響いてくるのものであるのか、そのあたりをちよっと正確に言っていただけますでしようか、国の決定ということに関して。

 A記者:最終決定まで行けば仕方がないと思いますが、例えば、文部省の最終的な方針と東京大学の最終的な方針が矛盾するようなことがあれば。

 総長:原理的に東京大学の方針と、現在の科学技術庁をも統合した形で平成13年1月からできます巨大な官庁としての文部科学技術省の利害が一致するとは、私は考えておりません。現在のところ、行政改革は官僚一人勝ちという方向に進んでおりまして、その中で、巨大な官庁として残った文部科学技術省の利害とことによったら独法化を国からおしつけられるかもしれないと思われる東京大学との利害は、明らかに違っておりますので、大きな利害の対立がある場合にはその前にそれをただすための方策を私どもとしては文部省に求めていくつもりです。その最終的な決定がいくつかの大学の反対を露呈した形で決められるとは私は考えておりませんので、ある時期かなり深刻な対立があり、その対立を調整するための様々な手段がこれからとられていくであろう、そのためにはかなりの時間が必要だろう、と私は思っています。

 A記者:その流れが不必要なスピードで進んでいるとお話がありましたが、東京大学としては、5年も10年もかけて考えるという話ではないと思います。いつくらいをメドに東京大学としての方針を固めようと考えているのか。

 総長:東京大学の然るべき方針はここにも書かせていただきましたけれども、まず、一つの委員会の方針はほぼ10月頃に出てまいると思います。そして、それを全学的に考えるという時期が必要になりましよう。それを考慮いたしますとおそらく今年の暮れまでにはある方針が出てくると思います。また、東京大学の独立行政法人化問題のために作られました「東京大学の設置形態に関する検討会」の方はこれも果たしていつ最終的な結論が出るかということはわかりませんけれども、1年も2年もかけるというつもりはもっておりません。比較的、私としては早い時期にその結論を出し、それが全学的にということであります。ただし、その考え方に関しまして、国大協というものがございますので、国大協の決定というものも重要視しなければいけないと思っておりまして、これはただいま第一常置委員会というところて検討をお願いしておりますので、その検討とどのようにつき合わせるかということはその次に出てくる問題だと思っておりますが、大きなその逸脱だとは思っておりません。

 B記者:経営に関する懇談会と設置形態に関する検討会は、どういう相関関係にあるのか。

 総長:これはまず、設置形態が違う。最初の「東京大学の経営に関する懇談会」は、評議会の下に作られました正式の懇談会でございまして、その答申は評議会に提出されるという性質のものでございます。従いまして、これは全学的な討議の場という風にお考えいただいて構わないと思います。しかしながら、これはあくまでも大学審の答申を受けた形で作ったものてございますので、その後の独法化の動きを十分に視野におさめているものとはいいがたいという点がございます。そこ(懇談会)で設置形態について検討することも大いにあり得た訳でございますが、実際には7月1日の段階で、「東京大学の設置形態に関する検討会」というのを私自身の下に作らせていただきました。これを私が勝手に作った訳ではなくて、学部長の先生方、研究所長の先生方には、このようなものを作るというお許しを得ております。事実、多くの学部長あるいは研究所長の先生方がこれにおはいり頂いているものでございますが、形式的に言いますとこれは総長の諮問機関という形になろうかと思います。以上が大きな違いでございます。

 B記者:その両者で別の結論が出るという対立はありますか。

 総長:両者で別の対立ということよりは、むしろ問題となっている事態に対する濃淡の差といったようなものだと思います。「東京大学の経営に関する懇談会」におきましては、例えば、大学の経営、教育、研究の理想形態というものはそこでは考えていただいておりません。本来ならば、これがあって、そしてそれとの対比において、独立行政法人化問題がどこまでその理想形態に近づけるかというものを考えるべきものでございますので、こちら(検討会)の方がより精密であり綿密であるかということです。

 C記者:先程、東大の方針でその委員会が10月頃結論を出すということか。

 総長:作りました段階では今年中にと考えていたところがないわけではありませんが、現在の事態の急速な進展を考えますと、より早い時期ということがありうるかもしれないと思います。

 D記者:先程のお話を伺いますと白紙の状態、つまり、私立になることも可能性としてはありうるということてすが、白紙の状態からその理想的な形態を追求するものなのか、それとも、あくまでも独立行政法人というものには反対でその結論を導き出すための勉強なのか。

 総長:おっしやいました後者のような戦略的な意図はもっておりません。実際に、私たちがどのような大学を構想するかということを、これは外的な条件を考慮せずに一方では考えて頂いております。それに現実に提起されているものが、例えば私立であり、あるいは国立のまま残る、あるいは独立行政法人になるという、そのような選択がどれが最良であるかということを考えるためのものでございます。

 E記者:先程、流れのその速度が必要以上に早いとか、この必要以上にというのは何に使われるために、と言うのは、もしも独立行政法人化にメリットがあるのならばどんどん早く進んで、東京大学として早く終わらせれば良いのではないか。

 総長:私は先程も申し上げましたように、独立行政法人になるべくものとは全然考えておりませんので、これは、多くの条件をこれから考えて行かなければいけない、例えば、この問題に関して、資産がどうなるかということは一言も、どこからもでてきておりません。それからまた、財政状態がどのようになるかということも出てきておりません。そのような条件下でどうしてこれを検討できるかということの方が私は不思議でございます。

 E記者:先程話された、必要以上に早いというのは、検討すべきデータも出てこないのに結論だけが先に流れているということか。

 総長:そういうことです。それが一つでございます。それから、今後、国会の情勢がどのように流れるかわかりませんけれども、やはり政治的な日程というものと何らかのリンクがありそうな流れがないわけではないと私は感じております。

 F記者:懇談会の中間報告を読むと「人事管理、財務管理をはじめとして組織および管理を自由化し、その活動の成果を事後的な評価に委ねる仕組みである点で、独立行政法人制度も、新たな組織体制を考える上で多くの示唆を与えてくれるものであり、先に触れた数値的な中期目標の設定、・・・を改め得るとの前提のもとで、・・・組織体制の一つのあり方としては検討に値するものと考える。」をみると前向きな姿勢と感じた。

 総長:はい。我々はそのことを検討するということで、それにその実現に向けて邁進するということは全く別だとご理解いただきたい。第二次世界大戦に日本が敗戦したのは、敵の構造をほとんど把握することなく戦争をしたことだと思いますので、どうぞ、そのような意味での検討というふうにお考えいただきたい。

 B記者:学内では様々な意見があると思いますけど、大まかにみて学部ごとの意見は。

 総長:それは分かりません。学部にそのことを聞いたわけではないので。

 D記者:国民レベルというか国民感情からすると、独立行政法人になると何かどうなるのか、どういうプラス、マイナス要素があるのか。例えば、国立大学が私立みたいになったら学費が上がるとか、その程度の認識しかない、ということがあって、もし、このように反対していくお立場であったら、国民にしみわたる理論立てが必要だと思う。教育と研究の質の低下をまねかねないというのがメインだと思いますが、総長ご自身として、もうちよっと目線の低いところで独立行政法人の危険性、それに反対するところはどのへんにあるのか。

 総長:独立行政法人になると大学が多くの自由を獲得するかのように思われていましたが、それはいくつかの省庁の長、この場合は主務太臣の文部太臣がかなり大きな力をもってまいりますし、その中に作られるところの評価委員会、これは今後どのような形でできるかわかりませんが、それが大きな力を持つことになります。また、今までなかったことから申しますと、総務省としてできるであろうところの官庁の審査も受けなければいけない等々のことがあり、現在よりは、はるかに不自由になるであろうということが予想される訳でございます。そして、どのように研究、教育にマイナス面があるかと申しますと、これはご承知かと思いますが、大学は過去10年来、改革に改革を重ねております。それが全て有効なものだったとは限らないと思いますけど、少なくとも日本における大学の123年の歴史のなかで、現在の大学は、最も高い達成度を示してると私は思います。これは私どもが学生時代の東京大学はほとんど大学といえないものだったという認識に私はたっておりますので、それに比べれば教える先生方の国際的な視野の広さ、また、国際的な通用性、このようなものが過去10年間で大きく変わり、東京大学の25%の先生方は完全に国際的な競争力を持つにいたっていると思います。その方々が勝っているときになぜ、チームに手をつけなければいけないのか、という大きな徒労感のようなものが、出てまいりまして、おそらくモラールは非常に低下するであろうというのが、私の予想でございます。事実、私自身も、現在は東京大学の教授ではございませんけど、そのようなモラールの低下は必ずくるであろうというふうに私は考えております。

 B記者:これは、ここ(東大)に通う学生にも影響がでるということですか。

 総長:それは分かりませんが、恐らく10年たってみればでるものであろうと思っています。

 F記者:今の通則法の独立行政法人化に反対とのことですが、今話された新官庁からのマイナス面がなくなるような形での独立行政法人化というのは。

 総長:おそらくそれは独立行政法人とは呼ばれないものだと思います。独立行政法人には通則法というものができまして、それに全て何々をしなければいけないということは書いてあります。それ以外のものになるということは、独立行政法人以外のものになるということを意味しておりますので、今の条件がクリアされれば、独立行政法人になるかどうかというご質問は若干事態とはずれたものであるように、私には思われます。

 F記者:個別法で通則法に反するような独立行政法人ができるのではないか。

 総長:これは法学的にいって二つの考え方があるということでございますが、(通則法が)一つの大枠のようなものなのか、あるいはそれが一つの方向を決めて、その中のものをもとに盛り込まれた考え方を付言するようなもので作るか、そのどちらかということでございます。これに関しては、ジュリストにでました藤田論文というものがございますけれども、そこではかなり個別法で自由になるだろうというお考えが書かれております。しかしながら、いくつかのそれに対する反論もでておりまして、本来、法律というものはそういうものであってはいけないということが指摘されています。ちなみに藤田論文は、私はほとんど初期のビートたけしのギャグだと思っております。すなわち、「独法化みんなですればこわくない」というお話のようなものと思っておりますので、私は藤田論文の立場に立つ者ではございません。

 それでは、そろそろ30分という時間がまいりましたので、ここで本日の会見は終わらせていただきたいと思います。私の真意をご理解頂きたいというふうに懇望することはできないかと思いますけれども、大学の未来というのは、やれ国立大学をどうするかといったようなものではなくて、私立、国立を含めて向こう30年どのような設計をしなければいけないか、ということが、今、問われていることだと思います。そして、仮に今、国立大学が独立行政法人化されますと、ほとんど形変わらず、より監督が厳しくなった旧国立大学と私立が、今後また50年も共存していくというような、我々にとって21世紀がほとんど希望をもたらさないようなイメージに収まってしまいます。やはり、もっと大きな意味での大胆な大学改革というものが今、求められております。制度改革というのは、私は人間のペシミズムの現れだと思っておりますので、そこで終始してしまうような形での改革は私は気に入りません。以上でございます。

 A記者:今後とも、今日のように折りにふれて会見してもらえるのか。

 総長:はい。ご希望に応じて。私はこのような場を設けないという理由は全くないと思っておりますが、あまりやりすぎると皆様方もおいで頂けないということかあろうかと思いますので、ほどよいリズムでやらしていただきたいと思います。ありがとうございました。

 

〔国立大学の独立行政法人化関連参考事項〕

○中央省庁等改革基本法(平成10年6月23日)

(国立大学の改革の推進)

 第43条第2項 政府は、国立大学が教育研究の質的向上、大学の個性の伸張、産業界及び地域社会との有機的連携の確保、教育研究の国際競争力の向上その他の改革に積極的かつ自主的に取り組むことが必要とされることにかんがみ、その教育研究についての適正な評価体制及び大学ごとの情報の公開の充実を推進するとともに、外部との交流の促進その他人事、会計及び財務の柔軟性の向上、大学の運営における権限及び責任の明確化並びに事務組織の簡素化、合理化及び専門化を図る等の観点から、その組織及び運営体制の整備等必要な改革を推進するものとする。

(行政機関の職員の削滅)

 第47条第1項第4号・・・行政機関の職員の定員について、十年間で少なくとも十分の一の削減を行うための新たな計画を策定した上、・・・郵政公社の設立及び独立行政法人への移行により、その一層の削滅を行うこと。

○中央省庁等改革推進本部決定(平成10年9月29日)

(独立行政法人制度の基本理念等)

 基本:独立行政法人の制度を設けるに当たっては、事前関与・統制を極力排し、事後チェックヘ重点の移行を図るため、所管大臣の監督、関与を制限するとともに、財政民主主義の観点等からの国の関与も必要最小限のものとする。

 法人の設立:独立行政法人の運営の基本、監督、設立に係る基本的事項、職員の身分に関して国家公務員型及び非国家公務員型の2類型を設定することその他制度の基本となる共通の事項を定める「独立行政法人通則法令(仮称)」を整備する。

  また、独立行政法人の目的及び業務の範囲、通則法令を補う内容等を定め、独立行政法人を設立するための個別の法令を整備する。個別法令においても、独立行政法人の特性に応じた組織、運営が可能となるよう、弾力的な仕組みとする。

○大学審議会答申(平成10年10月26日)

 「21世紀の大学像と今後の改革方策について−競争的環境の中で個性が輝く大学−」

 (設置形態に関する事項)

 

○東京大学の経営に関する懇談会設置(平成10年11月17日)

 大学審議会の答申による問題提起を受けて、評議会の下に、教育体制、研究体制、経営体制の3つのWGからなる懇談会を設置。

 

○中央省庁等改革に係る大綱(平成11年1月26日)

 W 国の行政組織等の減量、効率化等に関する大綱

(第2 独立行政法人化関連)

 2‐(2) 国立大学の独立行政法人化については、大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討し、平成15年までに結論を得る。

(第3 組織整理等関連)

 3−(1) 国立大学:事務組織の簡素化、合理化及び専門化を図る等の観点から、その組織及び運営体制の整備等必要な改革を推進する。

(第4定員削減関連)

 (1) 国の行政機関の定貝について、10年間で少なくとも10分の1の削滅を行うための新たな計画は、平成12年12月31日の定員をもとに、平成13年1月1日から平成22年度の間に実施するものとし、府省編成前の適切な時期に策定する。当該計画に沿った定員削滅を進めつつ、郵政公社の設立、独立行政法人への移行により、一層の削滅を図るものとする。

  国家公務員は、上記趣旨を踏まえ、早期に実現させるため前倒しし、平成12年度採用分から毎年新規採用を減らし、公務員数を10年間で25%削減する。

 

○東京大学の経営に関する懇談会中間答申(平成11年6月7日)

 教育体制、研究体制、経営体制の3つのWG毎に、緊急の課題、中期的課題、長期的展望にたった課題を整理し、緊急性の高い課題から検討を加えた結果をまとめ中間報告を評議会に提出。

 

○東京大学の設置形態に関する検討会設置(平成11年7月1日)

 教育研究の高度化・活性化の観点から理想的な組織・運営はいかなるものかを検討する「理想形態WG」と独立行政法人がはたして大学の設置形態として相応しいものか否かを検討する「比較検討WG」からなり、総長の下に設置。

 

○独立行政法人通則法制定(平成11年7月16日)

○国立大学協会第1常置委員会小委員会設置(平成11年7月29日)

○文部大臣「今後の国立大学等の在り方に関する懇談会」設置(平成11年8月6日)

 8名の協力者で構成される文相の諮問懇談会で通称「賢人会」。国立大学等の運営上の諸問題、今後国立大学等に期待される役割、大学評価のあり方、等について、9月中句までに数回の会議を開催予定。


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