文部省案によると、国立大の組織は1大学1法人で一体とし、名称は「国立大学法人」(仮称)としている。法人の長は学長が兼務する。
教職員採用についても、通則法が「法人の長が任命する」と定めているのに対し、「教育公務員特例法を適用する」として、教授会で教授を選考する手続きを経てから学長が任命する現行の仕組みを提示した。
こうした文部省案の規定は、通則法とは別に個々の法人の業務の範囲などを定める個別法に「特例措置」を設けることで対応するものだ。
国立大学の独立行政法人化案の要旨は次の通り。(本文記事1面)
▽ 役員として、学長(1人)、副学長(教育研究、学生、経営など複数人)、監事(複数人)を置く。
▽ 評議会、教授会、運営諮問会議は不可欠の機関として、個別法で規定。
▽ 学部・研究科・付属研究所は不可欠の基本的組織として、設置・改廃は個別法令による。
職員は法人間の移動を可能とするため広域的な人事の仕組みを検討する。
▽ 中期目標は文部科学省が各法人に指示するが、大学の自主性を尊重するための特例措置を個別法に規定。
▽ 中期計画は各法人が作成、文部科学相が認可。
▽ 文部科学相は「評価委員会」の意見を聴取、財務相と協議。
▽ 「評価委員会」は、「大学評価機関」(仮称)が独自に行う評価の結果を踏まえ意見を表明、そのための特例措置を個別法に規定。
【予算措置】 (略)
【評価】
▽ 「評価委員会」が、毎事業年度及び中期目標の終了時に、各法人の業務の実績について評価する。
▽ 教育研究にかかわる事項は、「大学評価機関」(仮称)が独自に行う評価の結果を踏まえて評価を行うこととし、特例措置を個別法で規定する。
「自治」尊重で反発抑止図る
【解説】
国立大学の独立行政法人化に向けた文部省の原案は、可能な限り「自治」を尊重することで、“身内”でもある大学側の反発を抑えようと文部省が考え出した苦肉の策だ。自民党文教族の中には、「大した研究もしていない大学は、いっそ私大にしてしまったらどうか」という突出した意見もあり、「もはや法人化の流れには逆らえない」(文部省筋)との判断があった。
また、国の機関として残れば教職員の大量削減が予想されることから、独立行政法人に移行するのも組織の生き残りのためには有効だとの見方もある。
ここにきて文部省が検討を急ぎ始めた背景には、自自公連立政権の発足が現実味を帯び、内閣改造が9月末にも予想されることから、東大学長や中央教育審議会会長を務めた有馬文相の下で一定の結論を出した方が、大学側にも受け入れられやすいのではないか、との思惑が働いている。
しかし、大学関係者には、「法人化されるといろいろな行政の審査を受けることになり、経営が不自由になる」といった反発も依然として根強い。また、大学側への配慮を強調すれば、「手心を加えた」という世論の批判も出かねない。文部省は苦しい対応を迫られそうだ。
(政治部 尾山 宏、本文記事1面)