大学で再学習 全額控除
雇用対策、厚労省が税制要望
自己啓発 負担軽く
2001年8月27日 日本経済新聞 朝刊
厚生労働省はサラリーマンの自主的な能力開発を支援する減税制度の創設を2002年度税制改正で要望する。大学・大学院で再教育を受けるのに必要な入学金や学費などを原則として全額、給与所得から控除できるようにする。減税規模は1億5000万円の見込み。雇用の流動化を前提に、企業の社内教育に依存せず自己啓発を目指す個人の負担を減らすのが狙いだ。
厚労省が新設を求めるのは「個人の自己投資費用を給与所得から控除する制度」。現在でもサラリーマンは一定額の給与所得控除(概算控除)を受けられるが、新制度による控除額を上乗せする。確定申告して経費の実額を控除する制度もあるが、勤務先企業から「職務上直接必要」との証明を取る必要があり、「控除できないケースが多い」と判断した。
例えば、年収500万円の人の給与所得控除額は154万円だが、この人が大学で社会人教育を受ける際に学費などで総額200万円の費用がかかると、所得控除額を46万円上積みできる仕組み。所得控除額の上限は設けない。
自己投資費用の対象は国内外の大学・大学院、一定の条件を満たす専修学校などへの入学金、学費のほか教材費、通学費。海外留学の場合は航空運賃などの渡航費用、各種の資格取得に必要な検定試験などの受験費用なども広く認める。
政府の経済財政諮問会議の専門調査会は5月の緊急報告で、働く人の自主的な能力開発を促進するため「自己啓発投資優遇税制」の導入を求めた。厚労省の案はこれに沿う内容。従来、社員教育の費用は全額を企業が負担し、税制上は損金扱いとなる。しかし、雇用の流動化や企業の経営合理化を背景に、能力開発は社員個人にゆだねる傾向が強まっている。厚労省は税制の支援対象を「個人重視」にする考えだ。
ただ、控除対象とする教材費を趣味の書籍購入などとどう区別するかなど、詰めが残る。財務省主税局は「自己啓発費用は現在の給与所得控除で対応可能」と反発するとみられる。