大学・企業が研究費折半
教官の株式報酬容認へ
2001年7月11日 日本経済新聞 朝刊
文部科学省は、国立大学と企業の間で人や資金の交流を促す新たな連携強化策を打ち出す。大学教官が企業でも研究時間を確保できる人事規則の緩和や、大学と企業が研究費を折半で負担する「マッチング・ファンド」の創設などが柱。共同研究による報酬を、設立したベンチャー企業の株式で受け取れる制度も検討する。米国に比べ制約の多い規則を見直し、大学を拠点にした新産業の育成や成長力あるベンチャー輩出を目指す。
国立大教官の勤務体系は、1日8時間、週5日が原則。勤務時間の割り振りを自由にすることで、例えば1日10時間、週4日の勤務も認めるようにする。これにより平日の丸1日、ベンチャー企業での研究開発や技術指導に専念できるようになる。国家公務員に変則的な勤務形態を認めることにつながるため、今後人事院と協議する。
研究成果を使ってベンチャーを起業した際、株式による報酬受け取りを可能とする「エクイティ・ペイメント」の導入を検討する。新会社の役員に就かなくても、株式上場によりキャピタルゲインを獲得できる道ができ、大学教官の事業化意欲を高めることにつながる。技術移転先企業での役員兼業はすでに認められているため、2002年度から実現できると見ている。
研究資金を企業と大学が半分ずつ出し合うマッチング・ファンドも導入する。米国やドイツで産学の共同研究をさらに進めた仕組みで、日本にも一部、中小企業を対象に認めた例はあった。文科省はこれまで、共同研究とはいえ、国の資金を間接的に特定の企業に還流することにつながりかねないとして、運用の拡大に消極的だった。基礎分野のテーマを中心に産業界から大手企業にも適用してほしいと求める声が強く、方針を転換することにした。
さらに、大学に眠る技術を掘り起こす“目利き役”を5年間で700人要請する。現在は各大学の技術移転機関(TLO)がばらばらに養成しているが、科学技術振興事業団と各大学が協力し体系的に人材を育て確保する。特許の帰属を研究者個人ではなく、各大学に移すことも検討する。
こうした産学連携強化策により、政府の産業構造改革・雇用対策本部が打ち出している3年間で大学発ベンチャー1000社や、大学発の特許取得件数を10年間で15倍に引き上げるなどの数値目標を達成したい考えだ。