公務員制度改革の基本設計を決定

昇進は能力本位で

2001年6月29日 読売新聞 夕刊


 政府は29日午前、行政改革推進本部(本部長・小泉首相)の会合を開き、公務員制度改革の基本設計(基本方針)を決定した。年功序列に偏重した昇進制度や給与制度を能力本位に改めるとともに、民間企業への天下りに関する人事院の事前承認を廃止し、閣僚による直接承認に転換するとしている。

 基本設計は、3月に決定した「大枠」を受けたもので、国家公務員約110万人のうち、教員や医療職員などを除く一般の行政職員約25万人が対象。政府は今後、他の国家・地方公務員制度の見直しを進め、12月までに「公務員制度改革大綱」を策定し、可能なものは2002年の通常国会に関連法案を提出する。

 基本設計は、採用試験制度を見直し、入省年次やキャリア、ノンキャリアの採用区分ごとにほぼ横並びだった人事制度を改革し、「能力等級制度」を導入。役職ごとに必要な職務遂行能力の基準を明示し、有能な人材は昇進を早める一方、基準を満たさなければ、降格も可能としている。

 給与面でも、能力に応じた「能力給」、一定期間の業績に対する賞与の「業績給」を導入し、現場の士気向上を目指す。また、本省の審議官以上の幹部に年俸制を適用する。

 民間企業への天下りに関しては、退職後2年以内の本省課長級以上を対象とする人事院の事前承認を廃止する。「法令に基づく厳格かつ合理的な基準」に沿って各閣僚が承認したうえ、省庁と企業の契約関係、天下りのポストなどを全部公表する。

 公務員の昇進や給与を管理する人事院の権限を各省庁に移譲することについては、公務員の団体行動権(スト権)付与問題が決着せず、結論を先送りした。


公務員制度改革

能力主義を導入・政府基本設計

2001年6月29日 日本経済新聞 夕刊

 政府の行政改革推進本部(本部長・小泉純一郎首相)は29日午前、公務員制度改革の枠組みを示した「公務員制度改革の基本設計」を決定した。年功序列にとらわれない能力主義による人材登用を徹底するために「能力等級」と、これに対応する「能力給」を導入する。民間企業への「天下り」規制では、透明性を高めるため人事院による事前承認制度を廃止し、認可基準を公表したうえで所管官庁の閣僚が承認する方式に切り替える。12月をメドにこれにさらに具体策を肉付けした「公務員制度改革大綱」(仮称)をまとめ、来年の通常国会への関連法案提出を目指す。

 焦点の公務員への労働基本権付与については、与党内の意見集約の遅れから結論を先送りした。

 基本設計では、各閣僚を「人事管理権者」と明確に位置付ける一方、人事院に関しては、人事管理の事前承認、事前協議制度を廃止し、機能を縮小する。


公務員制度改革

天下り規制に骨抜き懸念

2001年6月30日 日本経済新聞 朝刊


 政府の行政改革推進本部(本部長・小泉純一郎首相)は29日、公務員制度改革の基本設計を決定した。採用年次による順送りや横並びが目立つ人事・給与体系を見直し、能力に応じた人材登用を徹底するのが柱だ。ただ詳細については今後の検討にゆだねており、実効性は不透明なまま。天下り規制も現行より骨抜きとなる懸念が強い。年末に予定する「公務員制度改革大綱」の策定に向けて、残された課題は多い。

 最大の転換は人材任用や給与の基準を「役職」から「能力」に変更する点だ。改革案では課長、課長補佐、係長など役職段階ごとに必要な職務遂行能力の基準を定め、この基準を満たす場合には昇任、満たさなければ降格する仕組みに改める。例えば、管理職なら「担当する行政分野の課題解決に向けたビジョンや、実現への戦略を打ち出せる」「部下に業務を適切に配分し、達成目標を的確に指示する」能力があるかどうかを昇任の基準にする。入省年次が同じなら課長級程度まではほぼ同じペースで昇進していたが、今後は若いころから役職に差がつく可能性も出てくる。

天下り、大幅緩和へ 

「大臣承認」抜け道

2001年6月29日 朝日新聞 夕刊


 中央省庁幹部職員の民間企業への天下りが大幅に緩和される方向になった。政府の行政改革推進本部(本部長・小泉純一郎首相)は29日、公務員制度改革の「基本設計」を決定、そこで人事院による事前チェック廃止を盛り込んだためだ。公務員改革は省庁再編という「器」に続く「中身」の改革と位置づけられているが、思わぬ「官」から「民」への移行促進となりそうだ。

 国家公務員法で、国家公務員は自分の仕事と密接な関係にあった企業に退職後2年間は原則再就職できないと定められている。例外として課長級以上は人事院の承認が、課長補佐級以下は各省庁の大臣の承認があった場合のみ認められている。

 基本設計はこれを全面的に見直し、すべて「大臣による直接承認」への転換を明記した。

 また、局長級以上の再就職では、直接的な権限は他局がもつ業界に転じる「タスキがけ」が横行したことから、98年から出身省庁が許認可権限を持つ業界への再就職が禁じられている。

 ところが、政府はこの規制も撤廃する方向で調整。基本設計が法整備されれば「天下りは事実上の解禁になる」(政府高官の一人)との見方もある。

 基本設計には

 (1)現在は課長級以上に限定されている公表範囲を全職員に広げる

 (2)再就職先から出身省庁に働きかける行為を規制する法的措置を講じる

 (3)承認基準を法令で定め、第三者を関与させる――など事後チェックを重視する施策も盛り込まれた。

 しかし、「大臣が個々の天下り状況を把握できるはずもなく、よほど役所に精通した政治家でないと、事務方の案を承認するだけになる恐れが大きい」(自民党幹部)との批判も出ている。

 現在の人事院による事前承認という制度には、各省庁の間に「承認の基準が不透明で規制が行きすぎている」との批判が根強い。それだけに「大臣承認への切り替え」は大臣による政治主導を進めたいとの自民党行革推進本部の意向が出発点だったものの、官僚側には抵抗する気配はなく、「これは政治主導で進んだことですから」としている。

 石原伸晃行革担当相は29日、「国家公務員法は『私企業からの隔離』という考え方が取られているが、これが国民感覚からかけ離れた『お役所仕事』を生む一因だったのではないか。民と官との人材交流を大胆に促進したい」との談話を発表した。


公務員制度改革
基本設計を決定 行革推進本部 

2001年6月29日 毎日新聞 夕刊

 政府の行政改革推進本部(本部長・小泉純一郎首相)は29日、公務員制度改革の基本設計を決定した。企業に天下りした官僚OBが出身府省に便宜供与を求めた場合は、刑事罰の導入も検討する方針を示した。また能力給・年俸制の導入など能力本位の人事制度の確立などを盛り込んだ。政府は12月をめどに、法改正などを盛り込んだ「公務員制度改革大綱」をまとめ、早ければ来年の通常国会に関連法案を提出し、特殊法人改革と並行して、05年度末までの改革完了を目指す。

 基本設計では、給与制度の構成を「能力給」「職責給」「業績給」に3分割し、能力や実績を反映できる仕組みとする。審議官以上の幹部職員には、業績を反映させた年俸制を導入する。

 採用面では、キャリア制度は維持。ただ、採用後は、能力評価に基づき採用区分にとらわれない人事を進め、事務官と技官の区別も解消の方向で検討する。官民の人材交流を進める方策としては、公務員と私企業の区別を厳格に定めた国家公務員法103条を見直す。

 民間企業への天下りは、事前の承認を人事院ではなく大臣に移すことを決めた。この点で、天下りはむしろ緩和されると懸念されているが、推進本部は、刑事罰導入の検討や、天下り先との契約関係などを公表して透明性を高めることで弊害は防げるとしている。特殊法人や公益法人への天下りでも、退職金を引き下げる方針を示した。

 焦点の一つだったスト権など労働基本権付与問題は、給与制度が固まった段階で判断することとし、結論を先送りした。 【鈴木直】


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