公務員キャリア制度は維持
政府の基本設計案
2001年6月20日 朝日新聞 夕刊
政府の公務員制度改革についての「基本設計」案が明らかになった。採用時に幹部職員への昇進が約束されることに批判が多いキャリア制度は維持するものの、国家公務員U種・V種職員からの幹部登用を拡大し、T種の採用試験も面接重視に切り替えることを明記した。民間人の中途採用を促進するため、転身の妨げとなっている年金や退職金などの制度的制約を撤廃することも盛り込んだ。29日に開かれる政府の行革推進本部で決定される。
基本設計案はまず、「国際競争力のある政策立案機能を担っていく行政の実現」などを目的に掲げた。そのうえで、T種・U種などの採用試験そのものの区分には手をつけないものの、「硬直的な人事管理」を見直すとして、
(1)能力等級制度を導入し任用・給与基準に活用する
(2)職員が希望する部署に応募できる部内公募制を取り入れる
(3)事務次官や局長などの指定職には業績反映も含めた年俸制を導入する
(4)省庁の判断で機動的に組織・定員管理ができる仕組みを築く、などを明記した。
また、多様な人材を確保するため、T種試験については筆記試験段階での合格者数を大幅に増加したうえで、面接中心の採用方法に切り替える。民間企業からの公務員への転職を増やすため、年金や退職金を官民通算で受け取ることができるようにする制度の整備に取り組むことも打ち出した。
「天下り」批判への対応策としては、再就職後の行為規制の導入や、大臣の直接承認の対象とならない公務員の再就職先の公表などを盛り込んだ。ただ、焦点となっていた人事院の役割や労働基本権の付与については「引き続き十分に検討する」とした。
政府は基本設計に基づき、12月をめどに「公務員制度改革の大綱」を取りまとめる。
人事院改革盛る方向
公務員制度基本設計案
給与勧告是非は見送り
6月22日 朝日新聞 朝刊
政府の公務員制度改革の基本設計案に、人事院の組織や機能の見直しが明記される方向になった。当初案では人事院改革は今後の検討課題にとどまっていたが、自民党の行政改革推進本部が「見直し」の表現を盛り込むよう求め、政府側が受け入れを前提に最終調整している。
ただ、人事院組織の抜本見直しの際に焦点となる「公務員の給与勧告制度」の是非については、政府内に慎重論も根強く、基本設計では言及しない見通しだ。
政府・与党関係者によると、20日の自民党行革推進本部の幹部会で、橋本龍太郎元首相が中心になり、基本設計に
(1)人事院も含めた中央人事行政機関の組織・機能分担のあり方を根本的に見直す
(2)労働基本権の扱いについては継続して検討する、ことなどを明記するよう政府側に求めた。会合では野中広務元幹事長らも「人事院が自分たちの権限を侵されまいと防御しているのではないかと懸念している」と同調した。
政府が3月にまとめた「公務員制度改革の大枠」では人事院について「組織としてのあり方も含め、今後求められる役割について検討を行う」としていた。ところが基本設計の原案では「役割を引き続き十分に検討する」と半ば後退していた。
政府は自民党の要望を受けて「人事院の組織のあり方を見直す」と踏み込む方向だ。
基本設計では、人事院が担っている民間企業への天下りの承認などの役割を、各省庁に部分的に移すといった見直し策が盛り込まれている。このため給与勧告制度を維持するかどうかが焦点になるが、これは国家公務員にスト権などを認めない代償として設けられた制度だけに論議は長引きそうだ。