国立大 付属病院や学校 民営化
文科省検討 独立採算可能なら
2001年6月4日 読売新聞 朝刊
国立大学の独立行政法人化を検討している文部科学省は3日までに、大学付属の病院、学校、研究所などの業務について各大学の自主的な判断で民間委託できる新たな制度の検討に着手した。小泉首相が打ち出した国立大学の民営化方針を受けた措置で、まず業務の一部を大学本体とは別の法人に実施させる形で民営化への道筋を付ける方針だ。
全国に99ある国立大学について、政府は2003年度中に独立行政法人化の是非に関する結論を出すが、原則として付属病院や学校などは大学本体とともに一つの独立行政法人に統合する方向だ。
しかし、民間委託によって効率的な運営や柔軟な事業展開などが見込める業務については、大学本体から切り離し、別法人が運営できるよう検討を進める。
具体的には、独立しても採算が取れる経営が可能な付属病院は医療法人へ、小・中・高校など付属学校は学校法人へ移すことなどを想定している。
また、広報誌の発行や学術図書の刊行、大学会館の設置・管理などの一部業務も、別法人化の対象になるとみられる。こうした新法人に対し、民間企業や法人化した国立大学が出資できる仕組み作りも併せて進めていく。
民活内閣 政官との攻防
3閣僚は「即戦力」
文科相に大学民営化迫った小泉首相
「それでは現状維持じゃないか」
小泉首相は5月18日、首相官邸を訪れた遠山敦子文部科学相(62)に、珍しく声を荒げた。首相が同11日の参院本会議で国立大の民営化に賛意を表したことに対し、旧文部官僚出身の遠山氏が国立大側の意向を代弁するかのように、「国立大は既に独立行政法人化が決まっている。民営化には大学側の反発が強い」と説明したためだ。
首相は「小泉内閣は改革断行内閣だ。あなたはその目玉の1人なのに、改革の意思が感じられない」とも語り、遠山氏に「聖域なき改革」への奮起を促した。
首相は、17閣僚のうち竹中、遠山両氏、川口順子環境相(60)の民間人3人を起用した。1946年の第1次吉田内閣の4人に次ぐ多さだ。
3氏は国会答弁や実務を無難にこなし、「即戦力」(小野元之文部科学次官)となっている。遠山氏は文化庁長官やトルコ大使を歴任し、川口氏も旧通産省の官僚出身。慶大教授の竹中氏も、政府系金融機関の日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)での勤務経験がある。政権発足が国会開会中だったため、「行政組織と無縁の人では、とても国会を乗り切れない」(内閣府幹部)という事情もあった。
竹中氏は、頻繁にテレビ出演し、構造改革の重要性を分かりやすく解説。「小泉内閣の広告塔」の役割を果たしている。首相や閣僚が国民と直接対話するタウンミーティングにも、初集会から積極的に参加する。「国民的な抵抗への唯一の対抗力は世論の賛同。国民と対話することが重要だ」との考えからだ。
川口氏も、今年1月に始まった環境省独自のタウンミーティングで仙台など4都市を行脚し、環境政策のPRに務めている。