300自治体へ合併推進
経済財政諮問会議、基本方針明記へ
権限や税を移管
2001年5月31日 日本経済新聞 朝刊
政府の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)は構造改革の一環として、現在約3200ある市町村の300程度への集約を目指すことを決めた。6月下旬にまとめる経済・財政運営の基本方針に市町村再編を盛り込み、政府・与党内や地方との調整に入る。地方交付税制度の見直しや地方への権限や税財源の移譲と並行し、具体的な期限を設けて市町村を人口30万人以上の規模に再編する。自治体のスリム化と効率化が狙いだが、地方や与党内の反発も予想される。
政府は現在、2005年3月末までに市町村を1000程度に再編する計画を立てている。首相は30日夕の市町村合併支援本部会議で「市町村合併は地方分権の推進にとって重要だ」と述べ、市町村の再編を積極的に推進する姿勢を強調。31日の諮問会議で300程度への集約に関して方向性を示し、基本方針に盛り込んだうえで、法改正など再編の実現に向けた本格的な調整を進めたい考えだ。
諮問会議は地方交付税交付金や国庫補助金など、現在の国から地方への財政移転の仕組みについて「自治体が財源を気にせずに無駄な公共事業を手掛けるなど、国への過度の依存を招き、財政赤字が拡大する一因になっている」と問題視。財政構造改革や地方分権を本格的に進めるうえで、市町村の再編を通じた「自立し得る自治体」の整備が欠かせないと判断した。
再編に際して人口30万人以上を基準とするのは「自治体が住民に十分な行政サービスを提供しうる基本単位」との認識からで、各種の事業への国の関与を縮小し、自治体が自らの判断で行政サービスや地域づくりに取り組めるようにする。合併が進まず、人口が30万人に満たない自治体は公共事業や社会保障、教育などの事業を担わせず、都道府県の直轄に移す。
市町村の集約に当たっては「地方分権を実質的に進めるうえで不可欠」として、地方交付税制度の見直しと国から地方への税財源移譲を同時並行で進める。現行の地方交付税制度は「小規模自治体に交付金を手厚く配分するなど、合併の障害になっている」と見ており、人口など客観基準で交付金額を決定する仕組みに変え、自治体の規模拡大への機運を高める。合併促進に向けた優遇策を盛り込む新たな指針(ガイドライン)の策定も検討している。
税財源の移譲は地方分権の財政的基盤を整えるとともに、自治体ごとに受益と負担の関係を明確にするのが狙い。7月に期限切れを迎える地方分権推進委員会の後継機関として「地方分権改革推進会議」(仮称)を設置して
(1)所得税の一部を個人住民税に移譲
(2)地方消費税の拡大
(3)法人事業税への外形標準課税の導入――など、自治体の税財源拡充の具体策を検討する。
現在の市町村の平均人口は約3万7000人。町村に限れば1万人強で、効率化が課題となっている。人口30万人以上を前提に市町村の大幅な再編を進めると、都道府県の役割が薄れることが予想される。諮問会議は都道府県と市町村の関係見直しも視野に入れて検討を進める考えで、広域的な行政を行う道州制の導入に論議が発展する公算もある。首相は道州制について「将来の課題として十分に検討する価値がある」との認識を示している。