経済財政諮問会議基本方針原案に
国立大の民営化
小泉首相は特殊法人などについて「民営化できることは全部民営化する」との方針を打ち出しているが、以下のように、小泉首相が議長を務める経済財政諮問会議の基本方針原案に「国立大学の民営化」が盛り込まれていることが報道されている。
基本方針案<要旨>
2001年5月26日 日本経済新聞 朝刊
経済財政諮問会議の「新世紀維新のための経済財政政策 骨太の方針」案の要旨は次の通り。
〈基本的考え方〉=略。
〈本論・補論〉
1、経済活性化と構造改革=科学技術立国と教育改革。起業支援のための税制。NTTのあり方を含む競争政策の強化。司法改革の促進。税制のフラット化など歳入構造の抜本的見直し。大学改革(国立大学の民営化など)。労働基準法の見直し(有期雇用契約、解雇条件の明文化)。郵政事業の民営化。
2、社会資本整備=21世紀型の社会資本整備(公共投資ビックバン)。公共投資のランク付け。特定財源の見直し(道路特別会計を含む特定財源の一般財源化)。国庫補助事業の削減。公共事業関係費の削減。公共事業計画の総合化。公共事業の評価体制の強化。大都市改造。公共事業と非公共事業の線引き見直し。
3、社会保障制度=持続可能なシステム設計(年金・医療・介護保険の結合と自立支援型システムへの転換)。個人単位の受益・負担の明確化(電子政府を通じた個人の社会保障統合勘定と社会保障番号の導入)。個人の自立と潜在力の発揮(「生涯現役社会」と「少子化対策」)。公的年金制度の部分的民営化。医療セクターの効率化。
4、国と地方の役割分担=「個性ある地方」の発展。地方の自立と行財政の効率化(市町村の合併、地方交付税の改革)。歳出効率化を前提とした地方政府の財源充実。
5、政策決定プロセスの改革と経済財政の中期的見通し=審議会方式の見直し。中期財政計画の策定。プライマリーバランスの黒字化。概算要求基準(シーリング)の見直し。徹底的な歳出削減と将来の国民負担増。貯蓄・投資バランスの変化。
6、2002年度予算編成の基本方針=略。
公共事業削減へ優先順位
経済財政諮問会議が基本方針案
2001年5月26日 日本経済新聞 朝刊
政府の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)が6月下旬にまとめる中期の経済・財政運営の基本方針原案が明らかになった。それぞれの公共事業に優先順位を付けて情報技術(IT)や都市環境整備など成長分野への重点配分を徹底するとともに、2002年度から国の公共事業関係費を削減する方針を明記した。医療制度改革では医療費の総額に上限を設ける仕組みの導入も盛り込んだ。経済活性化と予算構造の改革を並行して進め、日本経済の再生を目指す姿勢を打ち出す。
基本方針原案は竹中平蔵経済財政担当相と経済財政諮問会議の民間議員がまとめ、31日に提示する。経済活性化、社会資本整備、社会保障、国と地方の関係の4分野について中期の改革の方向性を示すほか、来年度予算編成の基本方針にも踏み込む。小泉首相が掲げる「聖域なき構造改革」を具体化する狙いだ。
焦点の公共事業では「公共投資ビッグバン(大改革)」を掲げたのが柱。道路や河川など事業別に決めている現行の公共事業の長期計画をやめ、全体のバランスに考慮した総合的な計画に組み直す中期的な方向を示した。日本道路公団など特殊法人に対する国庫補助金を大幅に削減するほか、揮発油税(ガソリン税)など道路整備だけに使っている道路特定財源を使途を定めない一般財源に段階的に改める。
公共事業に優先度をつけるのは、教育・研究機関の施設やIT関連など今後の成長分野への投資を増やす一方、採算性や効率性に乏しい分野への配分を削り込むのが狙いだ。個々の事業ごとに費用対効果などの優劣を測る「ランク付け」を実施し、予算の効率的な配分をめざす。
地方の公共事業では、国がひも付きで事業財源を出す国庫補助金を削減する方針も盛り込んだ。併せて自治体の税財源を充実させることで、財政面で国に依存してきた地方の自立を促す。これらの改革を通じて政府は来年度の新規国債発行額を30兆円以下に抑える方針だが、公共事業費の削減と景気回復とをうまく両立できるかどうかが焦点となる。原案では経済活性化による自然増収や徹底的な歳出削減と並行して、「将来の国民負担の引き上げ」も中期的な論点として盛り込んでいる。
社会保障では、来年度予算編成で医療制度改革を断行する方針を示し、具体案として医療費の総額に上限を設定する「キャップ制」と呼ばれる手法を取り入れるよう提案した。年間の医療費総額をあらかじめ決める仕組みをドイツなどが導入済みで、このような例を参考にする。
国内で1年間に使う医療費(国民医療費)は現在約31兆円。国民所得の伸びや経済成長率を上回る形で増え続けており、このまま放置すると国民や企業の医療費負担も際限なく膨らみかねず、一定の枠をはめる必要があると判断した。薬価の抑制に加え、医師や医療機関ごとにバラバラな病気の治療法などを標準化して医療費の無駄を省くことも推進する。
このほか、中長期的な課題として、所得の多い人ほど高い税率がかかる現在の所得税などの累進構造を緩和する「税制のフラット化」を打ち出した。社会保険料と合わせた個人の負担をできるだけ平準化するよう求めている。