2001年5月25日 朝日新聞 朝刊
小泉純一郎首相が、高速道路や一般有料道路を建設・管理している日本道路公団(道路公団)の民営化を検討するよう石原伸晃行革担当相に指示したことが24日、わかった。道路公団は事業規模の大きさから特殊法人改革の焦点となっており、経営内容の悪化を懸念して見直すことを決めた。ただ、道路特定財源の見直しも含めて自民党内の道路族議員からの強い反発は必至で、実現できるかどうかは流動的だ。
首相は23日、首相公邸で石原慎太郎東京都知事らと会談し、行政改革について意見交換した。関係者によると、首相は同席していた石原行革担当相に「6月中には(改革方針を)出してくれ」と特殊法人改革などを前倒しするように指示。さらに「特殊法人改革は個別の組織についても取り組まないといけない。日本道路公団の民営化も検討しないといけない」と具体的な検討を命じた。
政府は昨年12月に閣議決定した行政改革大綱に基づき今年度中に77ある特殊法人すべてについて事業と組織形態を見直したうえ、(1)組織自体の廃止(2)民営化(3)独立行政法人への移行などの処理策を決め、05年までに必要な法整備などを進める。しかし、前内閣は党内の族議員に配慮し、具体的な法人の処理は夏の参院選後に先送りすることを決めた。首相が道路公団の民営化検討を打ち出したことで、特殊法人改革の作業が加速する可能性もでてきた。
首相の指示は、財政再建を進めるために、むだが多いと批判されている特殊法人全体の歳出構造に切り込むねらいがあるとみられる。
政府の行政監察でも、道路公団は東京湾アクアライン(千葉県木更津市−川崎市)など長距離高速道路以外の一般有料道路の多くが交通量の実績予測を下回り、赤字になっている。また全国の高速道路を原則1本とみなして収支が均衡するように計算する「全国料金プール制」を採用しているため、他路線からの「補助」で不採算路線が建設されることから、「第2の国鉄化」が懸念されている。
民営化が実現すれば、地方の赤字路線の廃止なども浮上しかねない。また、自民党議員らにとって路線の延長などは政治力を示す場でもあり、民営化などには批判が根強い。道路公団も99年度に約9000億円を元本返済に充てていることなどから「赤字ではない」と主張しており、党内からは強硬な抵抗が予想されそうだ。
日本道路公団
有料の高速道路などを建設し、管理するため56年に設立された特殊法人。事業費は財政投融資や金融機関からの借入金などでまかなわれ、公団全体の利用料収入で返済される。しかし、不採算路線の建設が相次ぎ、本来なら終了後には無料化されるはずの返済期間(有料期間)は再三延長されている。政府は昨秋、同公団の新路線が採算割れとなるのを防ぐため、国費投入を検討した経緯がある。99年度で同公団は約5兆3677億円の事業資金を調達。このうち料金収入など自己資金は2兆1250億円で、残りは民間からの借り入れや国の補助金でまかなった。
首相「特殊法人は最大限民営化」
道路公団も含め検討
2001年5月25日 日本経済新聞 夕刊
小泉純一郎首相は25日昼、首相官邸で記者団に特殊法人改革について「民営化できることは全部民営化する」と述べ、最大限、民営化を進める方針を示した。道路特定財源の見直しにも絡む日本道路公団の改革に関しては「民営化できるならするのが当然じゃないか」と、民営化を含めて検討すべきとの意向を表明した。政府は6月中に、特殊法人改革の基本方針をとりまとめる計画だ。
首相は、改革の方向に関してゼロベースで見直す方針を示したうえで、民営化以外に「統合できるものは全部統合。廃止できるものは全部廃止しようと言っている」と強調した。
これに関連し、石原伸晃行政改革担当相は同日午前、閣議後の記者会見で、23日夜に小泉首相から「(特殊法人は)民営化できるものは民営化する。改革の方向性を早く示してほしい」と指示を受けたことを明らかにした。首相は本州四国連絡橋公団や、年金資金運用基金、複数の政府系金融機関など具体名を例示して、統廃合などの検討に言及した。
政府はこれまで、6月中に特殊法人改革の基本方針をまとめたうえで、約160に上る個別の特殊法人・認可法人の存廃については、来年3月末に策定する整理合理化計画で決める方針を示していた。
これに関連して石原行革相は「(首相から)個々に民営化しろ、という指示はなかった」と述べるとともに、「(改革の途中で個別法人名を挙げると)その一つだけに終わってしまう」と指摘し、個別法人の存廃について早急に結論を出すのは難しいとの見解を示した。
日本道路公団は高速道路や一般の有料道路を建設・管理する特殊法人として1956年に発足。政府系や民間金融機関から借り入れた資金で道路建設などの事業を実施し、料金収入で借金を返済する仕組みになっている。現在の借入金は約26兆円。
もともと高速道路は開設後30年で建設費を回収、国に引き渡して無料で利用できるようにする計画だった。しかし、採算性の低い路線を相次いで建設した結果、無料開放するまでの期間は現在、45年まで延長されている。
特殊法人民営化
首相が行革担当相に本格検討指示
2001年5月25日 読売新聞 夕刊
小泉首相が石原行政改革担当相に対し、本州四国連絡橋公団、日本道路公団、年金資金運用基金などの特殊法人について、民営化の検討を本格化するよう指示していたことが二十五日、わかった。石原氏が同日午前の記者会見で明らかにした。
石原氏によると、首相は二十三日夜に石原慎太郎東京都知事を交えた会食の席上、特殊法人改革について「民営化で無駄な事業を排することができる。民営化できるものは民営化するよう検討を急いでほしい」と述べた。六月末までに行う中間まとめについても「方向性を早く示してほしい」と前倒しを求めた。
これに関連し、小泉首相は二十五日昼、首相官邸で記者団に「原則通り、民営化できるところは民営化しようということだ。日本道路公団も、できるのなら民営化するのは当たり前ではないか。特定の団体の(民営化を求めた)指示ではない」と述べた。