国立大法人化
業績評価、交付金に反映
文科省素案 達成期間は6年に
2001年5月17日 日本経済新聞 朝刊
国立大学の独立行政法人化問題を検討している文部科学省の調査検討会議は16日、大学の目標、評価に関する制度の素案をまとめた。他の独立行政法人が「3−5年」としている業務の達成目標(中期目標・計画)の期間を、大学の特性に配慮して原則6年に設定。目標の達成度を大学の自己評価なども踏まえ文科省が総合的に評価し、次の中期目標に必要な運営費交付金の算定に反映させる仕組みを示している。
一般行政事務の効率化を目的とした独立行政法人制度は、国が企画立案を行い法人がその方針に沿って業務を行う仕組みになっている。これを大学に直接適用した場合、教育・研究の自主性が損なわれる懸念があり、目標、計画の策定に各大学が関与する一方、評価の客観性をいかに確保するかが検討課題になっていた。 検討会議の「目標評価委員会」(主査・松尾稔名古屋大学長)は素案で、独立行政法人の制度を定める「通則法」が「3−5年」と定める法人の中期目標の期間を尉則6年に延長、近視眼的に教育・研究の成果を追求することがないよう配慮した。
「主務大臣が定め法人に指示する」との規定についても、例えば「各大学が中期目標を提案し、文部科学相がこれを十分尊重する」などに改め、大学の企画立案権限確保に努める方向だ。
原則6年間の目標期間の業績評価は、学部など分野ごとに実施。この結果を、次期以降の中期目標期間に必要な運営費交付金の算定に反映させる。大学の運営に必要な基本的な予算は確保するが、競争的な研究資金などに業績評価を反映させる案が有力だ。
最終的な評価は文科省に設置する評価委員会が実施するが、これに先立ち各大学が目標の達成度を自己点検して報告。評価委はこのうち、専門的な教育・研究に関する評価を大学共同利用機関である「大学評価・学位授与機構」に依頼し、同機構の評価を踏まえ客観的で透明性の高い評価を行うよう求めている。
評価法など詰め必要
大学の教育や研究をどう評価し、資源の配分に反映するのか――。文部科学省の調査検討会議では、一部の委員から「教育・研究の目的が、中期目標の達成のみにわい小化されてしまう」との異論も出た。大学ごとに設定する目標に応じて必要な予算が算定されるのは当然だが、目標の到達度評価を次の予算配分に反映させる仕組みには「研究者の内発的な動機づけが低下する」という懸念がある。
しかし、法人化の目的の一つは多額の国費を使う国立大が相応の仕事を行っているかを国民に説明することにある。大学内部の問題に外部が干渉することを排除する伝統的な「大学の自治」に対し社会の厳しい視線が注がれる中、調査検討会議は、評価を一定の範囲で予算の配分に反映させる基本方針を示した。
人文、自然科学など学問領域によって研究に必要な時間や、業績の国際比較、成果のとらえ方など評価の条件がかなり異なる。こうした点も踏まえ、今後は、@文部科学省の評価委員会に評価の対象となる大学の教職員の参加を認めるかA6年とした目標・計画の期間と学長の任期を一致させるべきか――など、評価方法、目標と人事制度の整合性などをさらに詰める必要がある。