大学教授も業績主義

国公立大に任期制広がる

研究の質向上

2001年5月15日 日本経済新聞 朝刊

 教官の在職期問を限定する任期制の導入に踏み切る国公立大学が相次いでいる。東北大学や九州大学などが一部の研究所の全教官ポストに任期制を採用するなど、組織的に取り入れる例が目立ってきた。定年まで在職するこれまでの制度では人事が硬直化したため、優秀な人材を集めやすい任期制によって研究や教育のレベルを高める狙いがある。大学の独立行政法人化ともからみ、大学教官にも本格的な競争・業績主義の時代が訪れそうだ。

理工系目立つ

 東北大学は金属材料研究所が4月から教授を含めて約160のすべての教官ポストに任期制を導入した。任期は教授、助教授、講師がそれぞれ10年、助手が7年。在任中の業績を評価したのち、再任も可能だが、教授を除き再任は1回のみで任期も短くなる。制度は教官が新しく任用される段階で適用され、今春赴任したり昇格したりした15人の教官が任期付きとなった。

 井上明久所長は「研究レベルが高まるだけでなく、結果として優れた若手の人材を多く供給できるようになる」と期待する。

 九州大学でも生体防御医学研究所が4月、全部門に導入した。任期は教授10年、助教授6年、講師と助手が4年。大阪大学産業科学研究所は助手の約50ポストを対象に任期7年の制度を取り入れた。このほか、東京大学工学系研究科など理工、医学系の学部・研究科を中心に任期制導入が増えている。

 国公立大学の教官を含む公務員は、公務員法で任期付採用が原則禁じられている。米国の大学などに比べて、研究者の流動性が低いことが研究活動の足を引っ張っているとの批判から、国公立大学教官の任期制を認める特例法が1997年8月に施行され、制度に風穴が開いた。

 文部科学省の調べでは、一部でも任期制を導入している国公立大学・共同利用機関とその適用者数は98年10月に17大学・機関、83人だったのが、2000年10月には56大学・機関、607人に増加した。国公立大学は全国に173大学あり、教官は約7万人いる。文科省は「最新のデータはないが、現状ではさらに任期制による教官数は増えている」と話している。


 任期制は業績評価を前提ため、どれだけ公平な評価の仕組みを整えられるかが制度を定着さるポイントになる。東北大金属材料研究所の場合、研究、教育、学会など学外活動の3分野について、合計70項目を毎年チェックする仕組みをつくった。


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