<公務員制度改革>

信賞必罰の人事制度導入

 各省庁が独自判断

2001年3月7日 毎日新聞 夕刊

 橋本龍太郎行革担当相は27日午前の行政改革推進本部(本部長・森喜朗首相)で、公務員制度改革の大枠案を説明、了承を得た。信賞必罰の人事制度導入のため、人事院が担当していた給与、昇進・降格を各省庁が独自の判断で決定できるように転換するのが最大の特徴。スト権をはじめとした労働基本権付与については、「公務員制度全体を抜本的に改革するに当たって、労働基本権の制約のあり方との関係も慎重に検討する必要がある」と議論の必要性を指摘するにとどまった。 

 政府は参院選前の6月に、この大枠案をもとに公務員制度改革の基本設計案をまとめる方針だ。

 現行制度では、人事院が昇進のスピードさえ規則で細かく規定し、年功序列・横並び主義との批判を受けていた。大枠案は民間並みの信賞必罰人事を行うため、公務員の役職や給与を級別に定めた「級別定数」の廃止と、公務員の昇格などに関する人事院の事前承認、協議の廃止の2点を盛り込んだ。人事院の役割は事後チェックにとどめる。

 各府省は「職務遂行能力」「職責」「業績」などに分けて判断し、給与に能力、実績を反映させる。各府省に対し、総定員、総人件費の枠内で、柔軟に組織・人事制度を設計できる権限も与える考えだ。

 官僚の天下りでは、退職後2年以内の本省課長級以上を対象とした人事院の事前承認事務を廃止し、各大臣が直接、承認する制度に改め、再就職後の出身官庁への働きかけを禁止する行為規制を設ける。特殊法人などを渡り歩き、短期間に高額の退職金を受け取ることも制度的に禁止する。

 大枠案はまた、内閣、首相を支える「国家戦略スタッフ群」(仮称)の創設を提言。各省庁横断で内閣官房、内閣府に優秀な官僚を集めて総合的な政策決定にあたらせるほか、民間からの人材起用の必要性も強調している。 【中川 佳昭】

公務員制度改革、
人事院制度見直しなど柱に

2001年3月27日 読売新聞 夕刊

 政府は27日午前の行政改革推進本部(本部長・森首相)で、公務員制度改革の大枠を決定した。信賞必罰の人事制度の確立などのため〈1〉人事院が担っている国家公務員の人事・給与を各省庁が独自に決定できる制度を整備する〈2〉公務員への労働基本権付与を検討する――などが柱。政府はこの大枠をたたき台として、6月までに新制度を基本設計し、その後、国家公務員法などの改正を行う方針だ。

 人事院制度の抜本見直しについては、硬直的な給与・人事体系を改めるため、公務員の役職や給与をあらかじめ等級ごとに定める「級別定数」を廃止。

 各省庁の判断で有能な職員を抜てきしたり、総人件費の枠内で独自に給与設定のできる仕組みを構築する。

 能力と業績の双方を基準とする新たな人事評価システムの導入も盛り込んだ。

 人事院制度を見直すことに伴い、同制度が代償措置となっていることで現在は制限されている労働基本権の回復についても、「十分検討する」とし、労働基本権付与を今後の検討対象として明示した。

 民間企業への天下りについては、退職後2年以内の本省課長級以上を対象とした人事院の事前承認制を廃止し、閣僚による直接承認制に改める。地方公務員制度についても、「国家公務員の見直しに準じた見直しが必要」とした。

 ◆公務員制度改革大枠の骨子◆

 ▽職務給原則に基づく給与制度を廃止し、各省庁が総人件費の枠内で組織・業務の特性に応じた給与設定ができる仕組みを基本とする。級別定数制度は廃止。

 ▽新たな人事評価システムを導入。降任・免職の基準や手続きを明確化する。

 ▽営利企業への再就職には、人事院の事前承認制度は廃止し、承認基準を設けて閣僚の直接承認を必要とする。再就職後の行為規制を導入。

 ▽民間企業からの任用を円滑に行うため、任期付き任用制度を見直す。ポストへの公募制を導入。

 ▽国家公務員法などの改正を行う。制度改革の検討の中で、労働基本権の制約のあり方との関係も十分検討する。

 ▽地方公務員制度については、地方自治体の本旨に照らし、国家公務員制度の抜本的な見直しに準じた見直しが必要。



人事管理、閣僚の裁量に

公務員制度改革の大枠決定


2001年3月27日 朝日新聞 夕刊


 政府は27日午前の行政改革推進本部で、公務員制度改革の「大枠」を決定した。各府省が組織や人員配置を柔軟に変えられるように、本給ランクごとに人事院が定数を決める「級別定数制度」の廃止を明記した。「天下り」については、各閣僚の承認を必要とするなど「政治主導」による人事管理を打ち出した。

 大枠は橋本龍太郎行革担当相が同日の行革推進本部で報告。これを受けて、政府の行政改革推進事務局は6月末に「基本設計案」をまとめ、国家公務員法などの改正作業を進める。橋本氏は「現行法はフルモデルチェンジの時期を迎えている」とし、大幅改正を視野に入れている。

 人事院は、サラリーマンの本給ランクに当たる「級」ごとに職員定数を決めている。財務省(旧大蔵省)が予算査定権を握ってきたように、人事・組織の査定権は人事院が握ってきた。大枠は、これを総人件費の枠内で各閣僚の裁量にゆだねる、というものだ。

 また、中途採用や民間企業への再就職について、人事院による事前承認・協議制度の廃止も検討する。このうち「天下り」については閣僚の直接の承認を必要としたうえで、再就職先との関係を公表する。国民の監視にさらすことで「歯止め」をかける狙いがある。出身省庁との不正な癒着を制限する「行為規制」の導入も盛り込んでいる。

 給与も、(1)職務の遂行能力(2)職務責任の大きさ(3)具体的業績――の3つに分けて決める。現在は官職に基づく職務と勤続年数などに応じて給与が決まっているが、「競争原理に乏しく年功序列的で硬直的な人事システムをまねいている」との反省に基づくものだ。

 国家公務員試験の区分でキャリア、ノンキャリアに分けられる任用システムの改革も提案。事務官、技官など採用段階の区分にとらわれず、能力本位でポストに就けるようにする。

 一方、自民党内に出ていた「公務員のスト権保障」問題は「公務員制度全般にわたる抜本的な改革の検討をするなかで、労働基本権の制約のあり方との関係も十分検討する」という表現にとどまった。


公務員も「実力給」導入へ

2001年3月27日 日本経済新聞 夕刊


 政府は27日午前の行政改革推進本部(本部長・森喜朗首相)で公務員制度改革の大枠を決定した。(1)ポストと勤続年数で自動的に給与が決まる現行の職務給制度を廃止し、能力や業績を反映した新たな給与制度を導入する(2)閣僚を「人事管理権者」と位置づけ、各省に割り当てられた総定員・総人件費の範囲内で課や室を機動的に改編できる権限を付与する――などを盛り込んだ。このため国家公務員法などを改正する。焦点となっていた公務員へのスト権付与は今後の検討課題とした。

 公務員制度改革は特殊法人改革と並び、昨年12月に閣議決定した「行政改革大綱」の最大の柱。政府は6月に新たな公務員制度の基本設計を取りまとめた後、国家公務員法など関連法案の改正作業に着手する。

 給与に関しては、「職務遂行能力に基づく部分」(能力給)、「職務の責任の大きさに基づく部分」(職責給)、「具体的に上げた業績に基づく部分」(業績給)をバランス良く反映した新たな制度の創設をうたった。


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