人事院制度抜本見直し

公務員の昇進・給与決定、省庁に権限移す

行革相、23日表明

2001年3月23日 日本経済新聞 朝刊


 政府は22日、公務員制度改革に関連し、人事院制度の抜本的見直しを行う方針を決めた。人事院が担う国家公務員の人事・給与の決定に関する役割を各省庁に移し、それぞれが独自の判断で人材の抜てきや降格、免職といった信賞必罰を行えるようにするのが狙い。27日の行政改革推進本部で決める公務員制度改革の大枠に盛り込む予定で、橋本行政改革担当相は22日、こうした方針を森首相に伝え、首相も了承した。橋本氏は23日の閣僚懇談会で表明する。

 人事院は、戦後まもない1948年の創立以来、第3者機関として公務員の人事・給与の決定に大きな役割を担ってきた。その最も主要な機能にメスを入れる今回の改革は、公務員のあり方を根底から変革する可能性がある。

 具体的には、@公務員の役職や給与をあらかじめ等級ごとに定める「級別定数」の廃止A公務員の昇格などに関する事前承認制の廃止B退職後2年以内の本省課長クラス以上の天下りに関する事前承認制の廃止などを想定している。

 これにより各省庁が受ける制約は、定員・人件費の総枠だけとなる。閣僚はその中で、自由に組織・人事制度を設計できる。年功序列・横並びを排し、有能な若手を抜てきすることも可能になるわけだ。

 ただ、閣僚による恣意的な人事を防ぐため、見直しに当たっては、一定の基準も同時に策定する方針。勤務成績がよくない公務員を降任、免職するためには新たな基準を設ける。人事院は、その基準に適合しているかどうかを点検する機関に衣替えさせる考えだ。


解説 政治主導実現へ閣僚裁量広がる

 人事院の抜本改革は、省庁ごとの実情に即した「信賞必罰」の人事・給与を可能にすることで、公務員の意欲を高め、優秀な人材を確保するのが目的だ。同時に、人事・給与面での閣僚の裁量を広げ、政治主導を実現する狙いもある。

 今回の改革は、第三者機関である人事院を介さずに、「使用者」としての閣僚が「被使用者」の公務員の人事・給与を定めることを意味している。

 このため、国家公務員の任用や給与を規定する国家公務員法の改正が必要だ。

 人事院による給与の勧告という代償措置があることで制限されている労働基本権の問題もある。今回の改革で政府は団体行動権(スト権)など労働基本権の付与を検討する考えだが、これについては、政府・与党内に慎重論が根強い。橋本 氏も22日の首相との会談で、「すでに有形無形の抵抗が出ている」と述べた。今後、省庁側からの抵抗も予想される。 (政治部 鈴木雄一)


省庁横断で政策を立案

給与は実力主義に

公務員改革案の概要

2001年3月23日 日本経済新聞 朝刊


 政府の公務員制度改革案の概要が22日、明らかになった。省庁横断的な視点で政策を企画立案するために、各省の優秀な職員を内閣に抜てきし,国際貢献など国家的な課題を検討する特命チーム「国家戦略スタッフ」(仮称)を設ける。公務員の給与を「能力給」「職責給」「実績給」の3つの要素に分け、信賞必罰、能力・実績主義を徹底する。これによって組織に安住しているとの批判がある公務員に競争原理を導入する狙いがある。

 橋本龍太郎行政改革担当相と野中広務自民党行政改革推進本部長は22日、首相官邸に森喜朗首相を訪ね、改革案の概要を説明した。公務員制度改革は政府が昨年12月に閣議決定した「行革大綱」の柱。月内に大枠を決定、6月末までに基本制度設計を終え、秋以降、関連法などの見直しに着手する。

 人事・給与面では、実績をあげた職員を厚遇する一方、努力しない職員には厳しく対処する原則を明確にする。

 各省庁の一定数のポストについて職員からの公募制を導入、入省年次に関係なく、希望者が関心ある分野への配置転換を求めることができるようにする。

 公務員の給与は、俸給表に沿って自動的に上がる年功序列型の賃金体系となっている。これを経験や資格に比例する「能力給」、ポストの責任の重さに比例する「職責給」、期間中の業績を評価する「業績給」の三つの要素に分け、実力重視に切り替える。

 一方、公務員の服務規律も厳格化し、権限を背景とする「押しつけ型」の天下りの全面禁止も明記した。退職した中央省庁OBが、出身省庁に許認可や契約を依頼する行為を禁止し、違反した場合には刑事罰を科す「行為規制」も設ける。


公務員制度改革

内閣官房主導で

橋本行革相表明

2001年3月24日 読売新聞 朝刊


 橋本行革担当相は23日の閣僚懇談会で、人事院制度の抜本見直しなどを内容とする公務員制度改革の大枠を27日の行政改革推進本部で示す方針を説明した。公務員制度改革に関しては、内閣官房が他省庁より高い立場で内閣の政策調整を行うことを規定した「政策調整システム」を初適用する考えを示し、自らの主導で改革を実現させる意欲を明確にした。

 これを受け、野中広務自民党行革推進本部長は23日午後、連合の榎本庸夫公務員労働組合連絡会代表委員と国会内で会談し、制度改革の大枠を説明するとともに理解を求めた。榎本氏は「抜本的な改革を行うのであれば、公務員に労働基本権を認めるという前提にたって制度設計をしてほしい」と強調した。


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