安部による名誉毀損裁判の判決
安部英が保田行雄弁護士・新潮社を名誉毀損で訴えた裁判の判決
平成13年7月30日判決言渡 同日判決原本領収 裁判所書記官
平成8年(ワ)第13877号損害賠償等請求事件
口頭弁論終結日 平成13年4月23日
判 決
原 告 安部 英
上記訴訟代理人弁護士 弘中惇一郎
同 飯田正剛
同 坂井 眞
同 加城千波
被 告 株式会社新潮社
上記代表者代表取締役 佐藤隆信
上記訴訟代理人弁護士 舟木亮一
被 告 保田行雄
上記訴訟代理人弁護士 鈴木利廣ほか79名
| 主 文 | |
| 1 | 被告株式会社新潮社は,原告に対し,金300万円及びこれに対する平成8年4月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 |
| 2 | 原告の被告株式会社新潮社に対するその余の請求及び被告保田行雄に対する請求をいずれも棄却する。 |
| 3 | 訴訟費用は,これを10分し,その9を原告,その余を被告新潮社の負担とする。 |
| 4 | この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 |
事実及び理由
| 第1 請求 |
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| 1 | 被告株式会社新潮社は,原告に対し,金1000万円及びこれに対する平成8年4月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 |
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| 2 | 被告らは,原告に対し,連帯して,金2000万円及びこれに対する平成8年4月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 |
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| 3 | 被告株式会社新潮社は,原告に対し,別紙(1)記載の「判決の結論の広告」を朝日新聞全国版社会面記事下の14センチメートル2段のスペースに,判決の結論の広告の8文字は3号活字,その他の部分は10ポイントをもって掲載せよ。 |
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| 4 | 被告らは,原告に対し,連帯して,別紙(2)記載の「判決の結論の広告」を朝日新聞全国版社会面記事下の24センチメートル2段のスペースに,判決の結論の広告の8字は3号活字,その他の部分は10ポイントの活字をもって掲載せよ。 |
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| 第2 事案の概要 |
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| 本件は,原告が,被告株式会社新潮社の発行する週刊誌である週刊新潮平成8年3月7日号,同月21日号,同年4月25日号において,「エイズ薬害で『ミドリ十字』の殺人被疑者たち」,「元凶は血友病の権威」,「大量殺人の被疑者たち」,「血友病の大権威『安部英』がエイズ薬害で得た利益」等の見出しの下,原告が,エイズウイルスで汚れた血液製剤を使い続けた(3月7日号),刑事裁判に付されて当然の犯罪者である,腐った学者が仕出かした前代未聞の凶悪犯罪と知るべきである(以上,3月21日号),患者のことをこれっぽっちも考えていない人間(4月25日号)などの内容の記事を掲載されたことにより,その名誉及び名誉感情を毀損されたとして,記事を発行している被告株式会社新潮社及び記事の情報提供者である被告保田行雄に対し,不法行為に基づき損害賠償及び判決の結論の広告掲載を求めた事案である。 | ||
| 1 | 前提事実(証拠等によって認定した事実は末尾に当該証拠等を掲記する) |
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| (1) 当事者等 | ||
| ア | 原告は,医学者として血液学,とりわけ,血液凝固,繊維素溶解現象,血栓症,血友病等を専門にし,また臨床医として多くの患者の診療に携わってきた。原告は,昭和58年6月から翌年3月までの間,厚生省が設置した「後天性免疫不全症候群の実態把握に関する研究班」(以下後天性免疫不全症候群を「エイズ」といい,研究班のことを「エイズ研究班」という)の主任研究者(以下「班長」という)の地位にあった。 |
| イ | 被告株式会社新潮社(以下「被告新潮社」という)は,書籍及び雑誌の出版等を目的とする株式会社で,週刊誌「週刊新潮」(以下「本件週刊誌」という)を発行,販売している。本件週刊誌の実売部数は約60万部である(丙60)。 |
| ウ | 被告保田行雄(以下「被告保田」という)は弁護士であるが,血友病患者であり,平成元年に提訴された東京HIV訴訟の原告訴訟代理人(弁護団事務局次長)を務めていたほか,現在,東京ヘモフィリア(血友病)友の会(以下「東友会」という)会長,全国ヘモフィリア友の会会長代行の職にある。 |
| (2) | 血友病及び血液凝固因子製剤(以下「血液製剤」という) |
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| ア | 血友病 |
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| (ア) | 血友病とは,血液中に含まれている血液凝固因子が先天的に欠乏しているか,血液凝固因子に機能の異常があるため,出血した場合に血が止まりにくくなる遺伝性疾患をいう。人間の血液の止血に働く因子は12あるが,そのうち第[因子が先天的に足りない疾患を血友病Aといい,第\因子が足りない疾患を血友病Bという。 |
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| (イ) | 血友病の主な治療方法は,欠乏している血液凝固因子を補充する補充療法である。この補充療法のための製剤として,人の血液から作った血液製剤がある。 |
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| イ | 血液製剤(乙44) |
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| (ア) | 昭和45年,血友病A患者のための血液製剤として,個人の血液あるいは血漿をもとに作製される低濃縮の凝固因子製剤であるクリオプレシピテート(以下「クリオ」という)が製造,販売された。 |
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| (イ) | 昭和53年,非加熱濃縮第[因子製剤(以下「非加熱第[因子製剤」という)が,製造,販売された。非加熱第[因子製剤は,2000人から2万人の血漿をプールして作られることから,ウイルス感染の危険が高い。厚生省は,昭和58年2月,血友病患者又はその家族が,非加熱第[因子製剤を自己注射する家庭療法に対し,健康保険の適用を認可した。 |
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| (ウ) | 血友病B患者には,クリオに相当する血液製剤は存在しない。血友病B患者の治療には,昭和58年当時,非加熱濃縮第R因子製剤(昭和47年厚生省承認)が用いられていた。 |
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| (エ) | 昭和58年当時,日本における非加熱第[因子製剤の90パーセント以上は,アメリカ合衆国(以下「米国」という)からの輸入製剤か,輸入された血漿により製造されたものであった。 |
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| (オ) | 非加熱第[因子製剤を加熱処理したものを加熱第[因子製剤という。 |
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| (3) | エイズ |
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| ア | エイズは,ヒト免疫不全ウイルス(HIV,以下「エイズウイルス」という)が,リンパ球に感染して,免疫機能を低下,破壊することによって引き起こされる疾患である(乙96)。 |
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| イ | 米国厚生省のヘクラー長官は,昭和59年4月23日,米国国立衛生研究所(以下「NIH」という)のロバート・C・ギャロ博士(以下「ギャロ博士」という)らの研究チームが,エイズの病原体と見られるHTLV−Vを分離することに成功したと発表した。これにより,エイズウイルスに対する抗体検査が可能になった。 |
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| ウ | エイズウイルス感染(エイズウイルス抗体陽性を意味する)後,エイズ発症までには長期間を要する。発症すると,発熱,下痢,体重減少などの症状に始まり,カリニ肺炎などの日和見感染,カポジ肉腫などの悪性腫瘍を発症する。発症者の50パーセント以内が数年内に死亡するといわれ,現在でも決定的な治療法は解明されていない。 |
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| (4) | 被告新潮社による記事の掲載(甲1ないし3) |
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| ア | 被告新潮社は,平成8年2月29日,本件週刊誌平成8年3月7日号を発売した。同号の記載内容は別紙(3)記載のとおりであり,同号128頁ないし132頁には,下記の内容の記事が掲載されている(甲1)。 |
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| 記 |
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| (ア) | エイズ薬害で「ミドリ十字」の殺人被疑者たち(128頁及び129頁大見出し) |
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| (イ) | 血友病患者の四割,約二千人が薬害エイズ患者―。菅直人厚生大臣の指示でようやく公表された内部資料によって,エイズ感染の危険を知りながら,厚生省が非加熱血液製剤の使用を認めていた事実が明らかになった。それは非加熱第[因子製剤の最大手メーカーだった「ミドリ十字」を救済するための措置でもあったのだ。血友病の権威である安部英・帝京大副学長と厚生官僚は,なぜその事実を公表しなかったのか。(128頁リード部分,ミドリ十字とは,株式会社ミドリ十字を指す。以下「ミドリ十字」と略称する) |
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| (ウ) | 元凶は血友病の権威(128頁小見出し) |
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| (エ) | 「ミドリ十字」を救済した戦犯たち(原告の顔写真の掲載,安部英,郡司篤晃,松下廉蔵の各氏,129頁) |
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| (オ) | 強引にエイズ研究班の結論を緊急輸入の見送りにねじ曲げたのが,班長の安部英氏(79)なのである。(130頁第3段15行目ないし18行目) |
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| (カ) | 「加熱製剤の技術が一番遅れていたミドリ十字を助けるために,安部さんは治験期間を遅らせるということまでやっている。その見返りとして安部さんの私的な財団に金が流れているといわれ,重大な関心をもって調べました。財団の口座がある銀行の支店に内内に問い合せたところ,“金の出入りが余りにも巨額で怖くて言えない”とのことでした」(130頁第5段3行目ないし14行目) |
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| (キ) | 研究班での会合での発言,ミドリ十字との密接な関係,血友病の権威という立場を考え合わせれば,誰がエイズ・ウィルスで汚れた血液製剤を使わせ続けたかは明らかだろう。(130頁第5段21行目ないし131頁第1段4行目,131頁第2段1行目) |
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| イ | 被告新潮社は,平成8年3月14日,本件週刊誌平成8年3月21日号を発売した。同号の記載内容は別紙(4)記載のとおりであり,同号55頁ないし58頁には,下記の内容の記事が掲載されている(甲2)。 |
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| 記 |
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| (ア) | エイズ薬害大犯罪に被害者給付金が月「15万円」とは(55頁大見出し) |
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| (イ) | 国と製薬会社,そして安部英・前帝京大副学長らによって「死の宣告」を下された薬害エイズ患者―。被害者に何の落度もないことは言うまでもない。だが,裁判所の和解案で提示された給付金は月額たったの15万円という瑞金だった。利害と打算で大量殺人が行われた構図の中で,その金額はおよそ信じ難い。この際,大罪を犯した加害者たちの身ぐるみ剥がしてでも,最大限の補償をすべきではないか。(55頁リード部分) |
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| (ウ) | 大量殺人の被疑者たち(原告顔写真,右から松下廉蔵,安部英,郡司篤晃の各氏,55頁) |
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| (エ) | 「一番の黒幕が,エイズ研究班の班長だった安部英氏であることはもはや間違いありません。83年7月に開かれたエイズ研究班の会議では,非加熱処理製剤の使用を見合せる方向で話が進んでいたのに,それを1週間でひっくり返した張本人ですからね。彼は刑事裁判に付されて当然の犯罪者ですし,すでに殺人罪で告発されていますが,少なくとも10年ぐらいの実刑に問われて当然だと思います」(58頁第2段26行目ないし31行目,同第3段16行目ないし24行目) |
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| (オ) | 「現在,安部氏を殺人と殺人未遂,郡司氏を偽証罪で告発し,検察にも受理されていますが,4月以降の人事では薬害エイズ担当を配置していただけるようで,今後も当時の薬務局長,ミドリ十字の社長や工場長なども次々と告発していきたいと考えています。安部氏については殺人や殺人未遂が無理でも傷害致死,少なくとも業務上過失致死では罪に問えると思いますよ。殺人罪ということになれば,大量殺人ですから,死刑もあり得るでしょう」(前出の保田行雄弁護士)(58頁第4段31行目ないし33行目,同第4段1行目ないし14行目,以下「被告保田発言部分1」という) |
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| (カ) | 腐った役所と腐った企業,そして腐った学者が仕出かした,前代未聞の凶悪犯罪と知るべきである。(58頁第5段18行目ないし21行目) |
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| ウ | 被告新潮社は,平成8年4月18日,本件週刊誌平成8年4月25日号を発売した。同号の記載内容は別紙(5)記載のとおりであり,同号134頁ないし137頁には,下記の内容の記事が掲載されている(甲3)。 |
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| 記 |
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| (ア) | 血友病の大権威「安部英」がエイズ薬害で得た利益(134頁,135頁大見出し) |
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| (イ) | テレビカメラに掴みかかるこの御仁の凄まじい形相は,エイズ薬害のすべてを物語っている。帝京大学名誉教授の安部英氏(79)―。感染者2千人,すでに400人の死者を出した史上最大の薬害事件で殺人罪の告訴を受けたこの血友病の大権威は,晩節にその人格の最も醜い部分をさらけ出してしまった。安部氏が,「血友病患者を犠牲にして」(原告弁護団)まで得たという“利益”とは何だったのか。(134頁リード部分) |
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| (ウ) | 各テレビ局のカメラクルーに向かって,人間とは思えない形相で掴みかかり,インタビューに生出演したテレビでも,自らに非のないことを稻々(とうとう)としゃべり続けた。しかし,彼が主張する“正当性”は,どうにも理屈が通りそうにないのだ。いや,どう考えても,患者の生命を第一に考えた医師の行動とは思えないのである。(134頁第1段6行目ないし19行目,同第2段1行目) |
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| (エ) | 自身も血友病患者で,かつ原告弁護団のメンバーである保田行雄弁護士がいう。 「安部という人間は,患者のことをこれっぽちも考えていない人間です。実際,血友病患者の会の席上,私の目の前で,“エイズに感染したかどうかなんてことは聞かないで,とにかく自分にすべて任せてくれ。決して悪いようにはしないから”などと,平然と言い放ちました。しかし,その結果がどうなったかは,ごらんの通りです。とにかく,ミドリ十字のために最大の便宜をはかり,その見返りに巨額の金を得ていたのが安部なんです。その責任は大きすぎるほど大きいんです」(134頁第4段10行目ないし26行目,以下「被告保田発言部分2」という) |
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| (オ) | 驚くべき二面性(136頁小見出し) |
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| (カ) | かつて安部氏と関わったある血友病患者(四六)の述懐。 |
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| 「彼は自分のいうことを聞く患者には丁寧でやさしい。しかし,何か気に入らないことがあるとコロッと変って敵意むきだしになる。そういう二面性のある人なんです」(136頁第3段5行目ないし12行目) |
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| (キ) | 「問題は安部氏がそのお金を製薬会社の便宜をはかる見返りに得ていることなんです」と,前出の原告団メンバー,保田行雄弁護士がこう告発する。 「これは,私自身が当時の外資系メーカーの担当者から直接聞いたことなんですが,安部氏は加熱血液製剤の承認が出る段になって,すでにこれを開発済みだった外資系メーカーに対して,治験(臨床試験)に必要な量以上のサンブルを要求し,さらに製法などの資料提供まで要求したそうです。そして,安部氏はそれをミドリ十字に流したというんです。おかげで開発が遅れていたミドリ十字はそのデータで短期間での開発を果たすことになる。その見返りとして,財団への寄附金など,巨額のカネが動いたわけです。しかも,当の外資系メーカーに対しても安部氏は治験の対価としての金を要求したという。金はとられるわ,データはとられるわで,外資系の恨みは相当なものがあったと聞いています」(137頁第2段14行目ないし第3段13行目,以下「被告保田発言部分3」という) |
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| (5) | 記事の分類 |
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| 前記記事は,その内容,性質を考慮すると次のように分類することができる。 |
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| ア | (4)アの(オ),(カ)を併せて,以下,本件記事1という。 本件記事1は,原告がエイズ研究班の結論を変え,その見返りとして金銭を得たこと等を摘示している部分である。 |
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| イ | (4)イの(エ),(オ)を併せて,以下,本件記事2という。 本件記事2は,原告がエイズ研究班の結論を変え,そのことについての刑事責任に言及する被告保田のコメント等を掲載した部分である。 |
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| ウ | (4)ウの(エ),(キ)を併せて,以下,本件記事3という。 本件記事3は,被告保田の発言として,原告は患者のことを一切考えない医師である等と原告の行動等について摘示している部分である。 |
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| エ | (4)アの(ア),(イ),(エ),イの(ア)ないし(ウ),(カ)を併せて,以下,本件記事4という。 本件記事4は,タイトル,見出し,写真,写真説明文により,原告の名誉ないし名誉感情が毀損されたか否かが問題となっている部分である。 |
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| オ | (4)アの(ウ),(キ)を併せて,以下,本件記事5という。 本件記事5は,原告がエイズウイルスで汚れた血液製剤を使わせ続けた元凶である等と摘示している部分である。 |
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| カ | (4)ウの(ア)ないし(ウ)を併せて,本件記事6という。 本件記事6は,『血友病の大権威「安部英」がエイズ薬害で得た利益』の見出しの下に記載した部分が原告に対する過酷な侮辱に当たるか否かが問題となっている部分である。 |
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| キ | (4)ウの(オ),(カ)を併せて,以下,本件記事7という。 本件記事7は,匿名という形での発言が,原告の名誉感情を毀損したか否かが問題となっている部分である。 |
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| (6) | 本件記事1ないし7の記載内容の公共性及び公益目的 本件記事1ないし7は,いずれも,血友病患者が非加熱第[因子製剤の使用により,エイズウイルスに感染し,多大な被害を受けたことを題材とするものであり,公共性及び公益目的を有するものである。 |
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| 2 争点 | ||||||
| 第3 裁判所の認定した事実 |
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| 第4 争点に対する判断 |
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| 第5 結論 | ||||||