特集・電車内のケータイオフ

(3)総務省の新指針案

報告者:電磁波問題市民研究会・編集担当

当会がパブコメを提出
 心臓ペースメーカーなど体内の医療機器(植込み型医療機器)が、携帯電話などの電波で誤作動しないための指針を見直すために、総務省・生体電磁環境に関する検討会にワーキンググループ(WG)が設置されたことを、電磁波研会報78号でお知らせしました。WGは、昨年10月に新しい指針案をまとめ、12月から今年1月までパブリックコメント(パブコメ)を募集しました。電磁波問題市民研究会は、パブコメを提出しました。

満員電車等では、「配慮」から「対処」へ
 総務省は、現行の指針を1997年に策定し、2000年度から、第3世代携帯電話など新しい技術による機器からの電波による影響を調査してきました。
 「ムーバ」などのいわゆる第2世代携帯電話サービスが昨年7月に終了。第3世代携帯電話などの実験では影響が出た距離は最大3センチメートルでした。また、植込み型医療機器の電磁波に対する耐性試験に関する国際規格では、携帯電話相当の電波を15センチメートルの離隔距離で受けても、動作に異常をきたさないよう定められているため、国際規格との整合性を考慮したとのことです。
 また、満員電車などに離隔距離を確保できない環境について、現行指針は「携帯電話端末等の電源を切るよう配慮することが望ましい」とあったのを、新指針案は「事前に携帯電話端末等が電波を発射しない状態に切り替えるなどの対処をすることが望ましい」に変更されています。この理由について、総務省の報道資料は「(配慮)の表現では、携帯電話端末からの電波に対するリスクを過剰に評価するおそれがあり、特に優先席周辺での携帯電話端末の取扱いについて、誤解を生じさせるとの意見が示されている」ためと説明しています。「過剰に評価」を避けてほしそうな半面、「配慮」よりは「対処」のほうがよりキッチリとした対応だと理解するのが自然であり、趣旨がわかりずらい説明ですが、電磁波から健康を守るには「対処」のほうが望ましいと言えます。
 なお、電波を発射しない状態とは、「機内モード」「電波オフモード」などを指しているようです。


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