電磁波研会報・第8号 2001.1.21発行


米国で携帯電話大規模集団訴訟起こる 〜超大物弁護士ピ−タ−・ アンジェロスが乗り出した〜 □第二のアスベスト訴訟となるか  頭部に密着させて使用する携帯電話から 出る電磁波の影響で脳腫瘍になるという不 安は世界的に共通している。「訴訟の国」 アメリカではすでに何件か患者や遺族から 訴訟が起こされているが、いままでのは個 人レベルの訴訟であった。  2000年12月6日、弁護士ピ−タ−・アン ジェロス(Peter Angelos)はジョアンヌ・ ス−ダ−(Joanne Suder)弁護士と携帯電話 訴訟で共同行動をとる契約を結んだことで 携帯電話訴訟は新たな局面に入った。  というのは、ピ−タ−・アンジェロスと いう人物が過去にタバコ訴訟とアスベスト (石綿)訴訟で勝利し、両業界から数十億 ドル(数千億円)勝ち獲った超大物弁護士 だからである。 □集団訴訟の威力  集団訴訟(class action)は日本にない制 度でここで勝つと訴訟していない人でも同 じ要件を満たしていてかつ申し出れば損害 保障が受けられるという制度だ。だから米 国ではタバコやアスベストによる肺がんの 損害賠償で天文学的な金額が出るのだ。 □携帯電話訴訟で勝てると見たか アンジェロスは本部事務所はボルチモア にあるが6州で110の弁護士・法律事務 所を抱える大弁護士である。 この訴訟は昨年8月、内科医師クリスト ファ−・ニュ−マンが脳がんになったのは 携帯電話が原因だとして、 送電鉄塔や携帯電話鉄塔は地震に弱い!!    鳥取県西部地震で送電鉄塔は倒壊した  昨年(2000年)10月6日に発生した鳥取 西部地震で中国電力の送電線が倒壊してい たことが会員の方からの写真も含めた情報 提供で判明した。             送電線が台風等で倒壊することは知られ ているが、あらためて建設側の「安全性」 がいかにいい加減かがわかる。と同時にい ま“雨後のたけのこ”のように周辺の住民 に知らせることなく建設している携帯電話 中継鉄塔の倒壊の可能性も心配である。  □十分な調査をした、というウソ      電力会社は送電線建設にあたって、@ボ −リング調査をはじめ多角的な調査をし安 全性を確認し、活断層の疑いのある地形の ところは避けているAそのうえで鉄塔の基 礎床盤部は強化しているので倒壊の危険性 が発生したり増大することはない、と建設 前は住民に説明する。  しかし鳥取西部地震での事態はこの主張 に科学的根拠はないことを明白に示した。  そもそも技術に絶対はない。ロスアンゼ ルス大地震で高架高速道路が倒壊した時、 日本の建設省やゼネコンは「日本の技術は 優秀なので日本では倒壊はありえない」と 豪語したが阪神大震災でこれが見事に覆さ れた。 □だれが責任をとるというのか 地震・台風等の自然災害が起こった時に いつも出てくるのが「不可抗力」とか「当 時の知見では知り得なかった」という言い 訳だ。しかし地震列島で台風や集中豪雨な ど地盤を軟弱にする要素の多い日本の風土 を考えれば「危険の可能性のあるもの」は なるべく避けるのが賢明な道である。それ でも建設せざるを得ないならば、周辺住民 に対し徹底した情報公開と事前同意をとる という民主主義のル−ルが必要である。 それがなく、それでいて責任もとらない のである。だとしたらやはり住民が声を上 げていくしかないといえよう。 朝日新聞 2000年11月15日   エリザベス女王は   ケ−タイがお嫌い!  右記事のように英国のエリザベス女王はバッキング ガム宮殿など王室関係5施設で携帯電話の使用を原則 として禁止した。  事務方の緊急連絡の際は使用は許される。これに対 し、われらがモリ首相は「IT革命」にもっぱら熱中 している。携帯電話が「不要不急の時のみ使用可」と なったら、いかに携帯電話などなくても暮らせること がわかるであろうに。「ベンリならいい」でいいのだ ろうか。環境を守るということは、ある意味の不便さ を当たり前とする暮らし方のなかに答えがあるはずな のだが。でもあのモリさんには理解できないかも。 『チャイニ−ズドラゴン』1999年12月10日→  70年代後半から80年代初めにかけて、オフィ スに登場したVDT(パソコン・ワ−プロなど表示 画面をもつコンピュ−タ機器)が原因で従事してい た女性に異常妊娠・異常分娩が多発した。その後V DTからの電磁波漏洩を少なくしたり、従事時間の 規制や妊産婦の従事禁止などの規制措置が次々と欧 米で行われ始めた。  この記事だけでは全体がわからないが、急速なO A化に中国社会が健康面での対策が遅れているなら ば、こうした事態が広範に起こりうるといえよう。  ちなみに日本では1985年に労働省が「VDT健康 ガイドライン」をつくったが、ほとんど有名無実化 している。  日本では労働組合や行政が本格的なVDT健康調 査をしていないので、実態が明らかではないが多く の労働者がVDT症候群で悩んでいて決して中国の 事態を対岸の火事と見てはならない。  VDT労働は眼精疲労や不定愁訴・異常妊娠等、 多岐の症状を引き起こすが、その原因の中心にVD Tから出てくる電磁波がある。     携帯電話中継基地局からの電磁波は      距離がかなり離れても減衰しない   携帯電話中継基地局(アンテナ)から出る高周波電磁波はアンテナの水平方向から  数度下げて照射されており、大体基地局から150メ−トル前後(100〜200メ  −トルの範囲)がもっとも電力密度(あるいは電界強度)が高くなるといわれてきま  した。   ところがこんど某携帯会社が住民説明会で出してきた「実測値」は従来の通説とは  異なるものでした。そこでその数値を公表します。       携帯中継基地局(アンテナ)鉄塔(高さ50メ−トル)からの               距離と電界密度(実測値) 鉄塔からの距離,   電界強度実測値,, 鉄塔からの距離,  電界強度実測値   直下,   0.005V/m,,  100m,  0.011V/m   5m,   0.006V/m,,  200m,  0.016V/m  10m,   0.008V/m,,  300m,  0.023V/m  20m,   0.002V/m,,   500m,  0.022V/m  30m,   0.006V/m,,   1km,  0.012V/m  50m,   0.015V/m,,   2km,  0.008V/m ,,,,   参考 郵政省電波防護指針値 47.5V/m      (したがって某携帯会社は、実測値は防護指針値の数千分の1から       1万分の1以下だから安全だと強弁しています) ここでわかったこと, ,        1直下より20m地点のほうが高い。        2最大値は300m地点で500m地点が次に高い値。        31km離れても100m地点より高い値である。        42km離れても30m地点より高い値である。        5郵政省防護指針値の5千分の1ということは「ザルツブルグ         の規制値は1万分の1」からすると、かなり高い値であり、         非熱作用の観点からすれば“安全”とは言えないこと。   (電界強度と電力密度の関係ついて詳しい人は事務局まで情報教えてください) これが(以下3ペ−ジ)文部省の「圧力」に抗議し廃刊になった電磁波記事です!,,,,,,    『教育と施設』(第68号・最終号)より    (会報6号20ペ−ジ参照),,,,,,                    (抄訳・TOKAI) 海外情報 MWN(マイクロウェ-ブニュ-ス)2000年11・12月号より 極低周波電磁波は弱くても遺伝子発現を変える影響をもつ  発がんプロモ−タ−の可能性を意味するのかも (ミシガン大トゥロスコ博士研究) 40〜50ミリガウスレベルの磁場で  「極低周波電磁場(ELF・EMF)は 40〜50mG(ミリガウス)のレベルで遺伝子発現 追試がを変更し、なんらかの方法で発がん(腫瘍) んリスプロモ−タ−(がん・腫瘍の発生を促進する役割のもの)のよう IARCの委員会が開催さに振舞う」と米国ミシガン大のジェイムズ・ でに追試が完成される必要トゥロスコ(James Trosko)博士の研究所が た。 新研究論文を出した。  MWNに対しトゥロスコはこう語ってい る。「私は極低周波が生物学的な影響をも つことに懐疑的な立場だったが、25回も 実験を繰り返した結果、極低周波電磁場は TPAのような化学的な発がんプロモ−タ −と似た属性をもつことがわかった」。そ して、彼は電磁場が発がんプロモ−タ−と して確定するにはなお多くの研究が必要で あることも強調した。          今回の研究は注目されている        トゥロスコは遺伝子発現に電磁場が影響 を与えていることを認めた。もしトゥロス コ研究が追試でも確認されれば長年争われ サ−だてきた「電磁波の生体への影響論争」を静 研究をめる方向に向かうかもしれない。 、EP トゥロスコの研究が多くの研究者に注目 ない。されているのは二つの理由からである。一 磁波のつは、今回の遺伝子発現への影響が40〜50 からEmGという低いレベルで生じたこと。もう ろう)一つは、トゥロスコらの研究チ−ムが国際 あるF的にも知られたメンバ−だからである。ト 門の責任者ラゥロスコは日本の広島にある「放射線影響 Owen)博士は研究財団」の前研究チ−フで、がん研究者 行わない」とでは有名な人物だ。チ−ムメンバ−の山崎 ひろし博士(関西学院大)はフランス・リ オンにあるIARC(国際がん研究所)の段階的発 を4日間がんに関する研究班の前チ−フであった。 実験をしあのレパチョリもコメント        化を妨げ WHO(世界保健機関)EMFプロジェクト責任 者のマイケル・レパチョリ博士は「これは 重要な研究であり、確証が欲しい。そのた めに同じように信望のある研究所で 必要だ。2001年6月に『EMFのが ク』を検討する れるが、それま がある」と語っ た。 当然疑問派もいる しかし早くもこのトゥロスコ研究に疑問 を呈している人たちも何人かいる。米国サ ン・アントニオのブルック空軍基地のRF /MW(高周波電磁波=ラジオ波/マイクロ 波)研究チ−ムのジョナサン・キ−ル(Joh nathan Kiel)博士は『生物電磁学会報』(B ioelectromagnetics Society Newsletter) 7・8月号の意見欄で「トゥロスコ研究は “見せかけの現象”の一例」として紹介し ている。 米国内に追試をする研究所はあるのか? トゥロスコ研究はカリフォルニア州パロ ・アルトのEPRI(電力研究所)がスポン った。レパチョリはEPRIがこの 継続するのがいい、と言っているが RIが引き受けるかどうかはわから (訳者注:トゥロスコは実験前は電 生体への影響を信じない人物だった PRIが研究資金を提供したのであ 米メリ−ランド州ロックヴィルに DA(食品医薬品局)放射線生物学部 ッセル・オ−ウェン(Russell 「今はどんな極低周波研究も 語った。 トゥロスコらは、未熟で異常な赤血球細 胞に10mG〜10Gの60ヘルツ磁場 照射し細胞分化の過程を監視する た。発がんプロモ−タ−が細胞分 る能力があるからだ。(結 果はクロ)。  スウェ−デンのTCOが  携帯電話のSAR(エネルギ−吸収比)で  ガイドライン設定の準備中    〜今年3月に発表予定〜 VDTで知られたTCOガイドライン,  スウェ−デンのホワイトカラ−(事務系) 労働者の労働組合連合組織「TCO」が携 帯電話からの放射線(電磁波)基準を提案 しようとしている。  TCOはVDT(パソコンやワ−プロな ど画面をもつコンピュ−タ機器)から出る 電磁波の規制基準を設けたことで世界的に 知られている。そのTCOが今度は携帯電 話でも同じように防護基準を設ける、とT COの啓発部門ヘッドのヤン・ル−ドリン グ(Jan Rudling)が明らかにした。 米国より厳しい基準値となるであろう  TCOはSAR(右注参照)の基準値は まだ明らかにしていないが、米国SAR基 準値(組織1g当たり平均1.6W/s)や ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)の基準値(組 織10g当たり平均2.0W/s)より厳しい SAR基準値になるであろう。  「米国や欧州の基準値よりはるかに低い ものとなる」とシカゴにあるTCO情報セ ンタ−のクレア・ホビ−(Clare Hobby)は断 言した。そして市場に出回っている携帯電 話のSAR値が厳しいのから甘いのまで様 々であることをホビ−は指摘した。 VDTとケ−タイの違いはどこか  VDTと携帯電話の大きな違いは、VD Tは副次的に放射線(電磁波)が出るもの で原則的にはゼロ基準値にすることが可能 である。これに対し無線電話は信号波を放 射しなければ機能しないことである。その ため「TCOは厳しい基準値を求めるが、 無線電話の機能の効力を危うくすることま では望んでいない」とホビ−は答えた。  TCOはSAR値の計測方法についても 決めるであろう。CENELECやIEE E(米国電気電子技術者協会)も計測方法を決めている ので。「どんな計測のための実施要綱(プ ロトコル)を使うとしても、(行政や企業 から)独立した研究所がTCOの評価を得 るため携帯電話の測定するであろう」とホ ビ−は語った。 SARとは(事務局注) 特異吸収比が正しい訳。高周波は熱効果 しようとしている。, が明らかなため生体組織にどれだけ電磁 波が吸収されるかを考える必要がある。 特に携帯電話は頭部に密着して使用する のでこのSAR値(吸収比の値)が重要 になる。高周波はホットスポット効果( 熱集中効果)があるため電磁波の吸収量 を単位体重当たり(例えば生体組織1g または10g)で吸収する熱量(W=ワッ ト)でSARは表す。 SARの測定は実際には困難で対象の 物体によって吸収量は異なる。(大人と こども、男と女、個々の頭の形でも異な る)。組織1g当たりの方が組織10g当 たりより正確と言われており、「局所ピ −ク」より「局所平均SAR」の方が厳 しいが、日本の郵政省は「組織10g当た り」と「局所平均SAR」を採用してい る。 TCOのVDT基準の経過 VDTに対するTCO規制基準は1992年 に初めて出た。これは、VDT端末機から の放射線(電磁波)が健康に悪影響するの ではと考えられる科学的な不確定要素の存 在や人々の広範な不安が広まったためであ る。この基準づくりはTCOのル−ドリン グの前任者であったパ−・エリック・ボイ ビ−(Per Eric Boivie)の発案だった。 ボイビ−は1990年に出たスウェ−デンの VDTガイドラインである「MPR−U」 の策定に中心的な役割を果たした人物であ る。「MPR−U」は事実上、世界標準の 基準になった。 「MPR−U」をコンピュ−タメ−カ− が厳密に守るようにするため、ボイビ−は 「人体への安全な」数値よりむしろ「実行 可能な」数値になるような「MPR−U」 数値基準を要求した。(つまり「安全」な 厳しい数値をつくってもメ−カ−が達成で きなければ意味がないので、メ−カ−が技 術的に到達可能な数値を要求した)。  しかし一方で、ボイビ−はVDTから出 る電磁波は少なければ少ない程いいと考え ていたので、国内一般の基準である「MP R−U」より明確に厳しいTCO基準を作 るよう導いたのである。TCOは1995年と 1999年に基準値を改訂した。 TCO基準も世界に広まっている  「MPR−U」もTCOも共に強制基準 でなく自主的基準であるが、コンピュ−タ メ−カ−は無視できない。TCOには15 0万人の労働者が加盟しているがその多く は政府に雇われている。そしてVDTの国 内市場の多くを占めているのが政府だ。  今日、欧州で売られるVDTの50%〜60 %、そして米国で売られるVDTの35%〜 40%はTCOの基準保証がついている、と ル−ドリングは語った。TCO保証のない VDTも「MPR−U」の基準はクリアし ている。 携帯電話のTCO基準もうまくいくか 「TCOが設定する携帯電話の新しいガ イドライン値もVDTでの成功と同じよう にうまくいく」とボイビ−は語った。現在 ボイビ−はストックホルムで労働健康コン サルタントをしている。 TCO啓発部は携帯電話の新しい基準の 草案を2000年12月初めに完成させる予定で ある。その後、携帯電話メ−カ−など利害 関係者の意見を聞くことになる。そのうえ で、2001年3月22日〜28日にドイツのハノ −バ−で開催されるIT貿易ショ−「Ce BIT」で公表する段取りである。 VDTでのTCO基準と同じく、携帯電 話の基準でもSAR値だけでなくエネルギ −効率、人間工学手順、再生資源化率につ いても基準として入るであろう。 「携帯電話へのTCOの関心は強まって いる。それは職場での携帯電話普及が爆発 的にすすんでいるからだ。携帯電話を仕事 上のツ−ルとしている労働者の数は急速に 増えている」とル−ドリングは語った。                 ドイツ外相の搭乗機がケ−タイの乱電磁波で着陸に支障?  ベルリンのテ−ゲル空港に着陸しよう とした飛行機を妨害したのは携帯電話か ら発信された乱雑電磁波(干渉)のせい かもしれない、とパイロットは見ている。 この飛行機にはドイツの外相ヨシカ・フ ィッシャ−(Joschka Fisher)が搭乗して いた。                 ドイツの新聞記事によれば、その飛行 機エアバスA310の着陸装置がおかし くなったのは最後の着陸態勢に入った段 階だった。               有視界飛行が難しい状態だったので、 パイロットは地上から5百メ−トルの高 さで降下を止めた。           2回目の着陸態勢では装置に異常はな かったのでそのまま機は着陸した。    乗客を降ろした後、機体のナビゲ−シ ョンシステムをチェックしたがどこにも 問題はなかった。そのためその機はベル リンからケルンの機体基地に戻された。 『Berliner Morgenp ost』(ベルリナ モルゲンポスト)の9月20日付け は「携帯電話からの飛行機の自動操縦へ の妨害の多くは、フライトの始まりに短 く起こる。そのため乗務員は乗客にすべ ての電子機器の電源を切るよう指示して いる。」と報じている。 一方、航空機を管制しているドイツ空 軍は、携帯電話が原因で着陸に支障が起 きたという“証拠はない”という。 航空会社「ルフトワッフェ」(Luftwaf fe)のスポ−クスマンは「原因究明は徹 底的に行ったが、なにが原因かは特定で きなかった」と語った。 米国や英国では搭乗口を通過したら民 間航空機では機内での携帯電話使用は制 限される。 (事務局注:ドイツでは着陸時での携帯 電話使用がOKなのでしょうか?どこで も空軍というのは犯罪的ですね) 携帯電話からの電磁波は脳内深部で持続性の影響を生体に与える              〜スイスの研究チ−ムが発表〜 持続性の発見は初めて  スイス・チュ−リッヒ大学のピ−タ−・ アケアマン(Peter Avhermann)博士グル− プは論文で、移動電話(携帯電話)からの放 射線(電磁波)は被爆後もしばらく持続す る脳機能の変化を引き起こすことを初めて 示す研究を行ったと発表した。すなわち起 きている段階で電磁波を被曝させ、その後 被験者が眠っている時の脳波図(EEG) を見ると変化することがわかったのだ。 「この変化を引き起こす部分は脳内でも深 い部分である」とアケアマンは語った。  被験者に就寝前の30分間、GSM波(欧 州統一の携帯電話デジタル電磁波)を浴び せ、脳波図(EEG)が変化するのを観察 する実験でそれが明らかになった。     『NeuroReport』(神経学レポ-ト) るとい10月20日号で発表されたのだが、アケアマ ンらは今回の研究結果は(携帯電話電磁波 が)血圧や心臓速度と同様に睡眠や認識機 能のような生理学的、心理学的変化効果を もたらすという前回の研究報告を支持する と結論づけた。              このアケアマンらの指摘を評価し『Ne uroReport』の同じ号の論説でカ ナダ・マックギル大学(McGill)モントリオ −ル神経学研究所のマイケル・ペトライズ (Michael Petrides)博士が「この研究結果 は、携帯電話から出る電磁場を短い期間被 曝しても脳生理機能に影響が出ることを示 している」と書いている。        脳内の視床部分と関係           この効果(影響)を生む脳の組織は、灰 白質(脳内の神経組織)や大脳皮質つまり より高レベルのメンタル機能を管理する脳 の「外側部分」ではないように見える。ア ケアマンは「RF/MW(高周波=ラジオ波・マイ SM波クロ波)は視床のような深い部分に影響を与え の上に電磁ているように思える」と語った。  「視床(ししょう)」は大脳皮質の下に の側面に集ある脳幹にあり頭蓋骨から数センチメ−ト ルの所にある。視床は心臓の鼓動や意識と 関係なく動く機能に関係している器官だ。 今回の研究は、大脳皮質より下の部分がも っとも電磁場を感じる組織、ということを 示したのかもしれない。 今回の組織の感度は明白なものだったが この効果が一般の携帯電話にも同じ効果を 示すかどうかは明らかではない。今回の実 験で使われた高周波(RF/MW)は通常の 状態よりより放射線(電磁波)が脳内部に 曝露されるように設計されているからだ。 直接この部分の研究を行ったのは同大学 のアレクサンダ−・ボ−ベリ−(Alexander Borbely)博士グル−プであるが、このグ ル−プメンバ−は睡眠研究では世界トップ レベルの研究者として知られている。彼ら が観察した脳波図(EEG)の変化は、睡 眠中にGSM波を浴びせて変化を見るとい う前回の研究と同じ変化が見られた。 EEG変化は睡眠後3時間も続いた 今回の研究で見られた効果は高周波(R F/MW)を曝露された後に起こったが、こ れは“一時的”なものと彼らは見ている。 脳波図(EEG)反応の増加は研究対象と した3時間の睡眠時間の間続いた。眠りに つくに必要な時間や、睡眠の質、あるいは 睡眠の進行状況(夢を見ていることを示す 早い目の動きとしてのREM〔急速眼球運 動〕)においては変化はなかった。 アケアマンはこう言った。「私たちの研 究が携帯電話使用者に関係するかどうか評 価するのは難しい」。彼らの論文でも「健 康に悪影響あると結論づけるには早急だ。 まだ基本的なメカニズムが解明されていな いからだ。」と述べている。 高周波は頭の横側に集中するのだが 前に行った実験では、脳の左右両方を同 じように照射するため頭の上からGSM を浴びせた。今回の実験では耳の上に電磁 場を集中させた。高周波(RF/MW)は携 帯電話のアンテナに一番近い頭の側面に集 中してあたるので、脳の横側でEEG(脳 波図)の効果を見ようとしたためだ。  驚いたことに、アケアマンらは脳のどち らの側に高周波を浴びせてもEEG変化は 両側とも均等であることを知った。この釣 り合った効果は、大脳皮質の下つまり脳の 中央部の構造と関係していることを示して いるのかもしれない。          視床はもっとも電磁波を感じる部分     このことは被験者のEEG(脳波図)で 見られる変化の型でも裏付けられる。前回 と今回の両方の実験でRF/MW(高周波) は、深い眠りの段階で出てくるEEG信号 の型である“sleep spindles”(睡眠の軸) のところでEEGのパワ−は増加した。ア ケアマンらは「視床は“sleep spindles” 生成と深く関係しているので、視床こそE MF(電磁場)をもっとも感じる部分なの だ」と指摘した。             『NeuroReport』論文では論 じなかったが、曝露評価からのデータはこ の仮説を補強している。頭部モデルで行っ た曝露測定では、皮質の下の部分で高い吸 収値を示した。それは大脳皮質の数値を超 えていたかもしれない。 脳のこの部分がもっとも影響を受けるこ とを示す3つの証拠がある。1つはEEG (脳波図)の変化が脳の両サイドで均等だ ったこと、2つはEEGの変化の型、3つ はこの実験で使われた電磁波の曝露がもっ とも大きかったのがこの部分であったこと だ。 アケアマンらはEEG(脳波図)効果を コントロ−ルするパラメ−タ−を明確にす るため、特別な電磁場の強度・周波数・変 調といった研究をさらに行うことを提案し た。アケアマンは「行動のメカニズムを調 べるためもっと研究が必要だ。動物研究は そのために有効かもしれない」と語った。 前回の実験で見られた睡眠を軽くする効 果(眠ってから目を覚ますまでの時間を短 くする効果)は今回は見られなかった。彼 らは前回出た効果は「慣れないセッティン グという環境が被験者の睡眠を妨害するほ うに働いたのでは」とみている。同じこと は、被験者が早く眠りにつかすために夜の 睡眠を4時間までに制限するというプロト コルの変化を見る実験でも出た。        ミッキ−マウスはケ−タイのCMに使わせない   〜携帯電話の健康不安が払拭されていないのでイメ−ジダウンするから〜  ウォルト・ディズニ−社は、携帯電話 とのコマ−シャルキャラクタ−ライセン ス契約を破棄することにした。      11月22日、ディズニ−社は「お客様の 幸福や健康がなにより大切」とする新し い方針を会社の方針としていくことを明 らかにし、「携帯電話が健康リスクがな いとするはっきりとした証拠が示される まで」、ミッキ−・マウスを携帯電話の、 コマ−シャルキャラクタ−として登場さ せないことにした、と発表した。                        ディズニ−社は『ABCニュ−ス』が 「携帯電話と子ども」の特集を全米で放 映する前日にこの記者会見を行った。  (ちなみに米国テレビ局会社ABCのオ −ナ−はディズニ−社である)     英国オッスフォ−ド大学のコリン・ブ レイクモア博士はABCテレビに対し、 「携帯電話を子どもに売るのにミッキ− ・マウスを使うのは無責任だ」と言って いたし、オ−ストラリアや米国でもこう したコマ−シャルに対し論争が起こって いた。ブレイクモア博士はイギリス「ス チュア−ト委員会」のメンバ−だった人 だ。(スチュア−ト委員会は昨年5月、 子どもはケ−タイを使うべきでないしケ −タイ会社も子どもに売るべきでないと の勧告を出した) ミルウォ−キ−州のウィスコンシン医 科大ジョン・モ−ルダ−博士(しばしば 業界のコンサルタントもする)は、AB Cテレビに「ケ−タイの子どもへのリス クを示す証拠はない」と語った。      IARC(国際がん研究機関)    がんリスク評価に向け6月に会合もつ               〜フランス・リオンで〜 SHEET6 静電磁場と極低周波がテ−マ  国際がん研究機関(IARC=Internat ional Agency for Research on Cancer)は 今年6月19日〜26日、静電磁場と極低周波 電磁場によって起こるがんリスク評価のた めのワ−キンググル−プをフランスのリオ ンで開催する。              被曝(exposure)、線量測定(dosimetry)、 疫学(epidemiology)、動物実験(animal ex periments)や関連デ−タに関してすでに刊 行された研究論文のレビュ−(再吟味)を 行うため20人〜25人の専門家を招き、人の 発がんリスク評価に関するIARCモノグ ラフ(研究論文)のための草稿をつくるた めのワ−キンググル−プ会合としてリオン 会議はもたれる。リオン会合でそれぞれ持 ち寄った論文は討議され、モノグラフの最 終報告として合意に達するまで中身は詰め られる予定だ。             すでにNIEHSは評価した NIEHS(米国立環境健康科学研究所) は1998年にEMF(電磁場)レビュ−を行 い、6月のIARCリオン会合と同じプロ セスをたどった。NIEHSのワ−キング グル−プはIARCの「発がん評価クライ テリア(基準・尺度)」を使ったが、極低 周波(ELF EMF)を「2B(発がんの 可能性あり)」と結論づけた。 リオンにあるIARCのロバ−ト・バ− ン(Robert Baan)博士はMWNに「政府の 代表や規制(行政)機関やその他の組織な どこの議論に参加したい人や機関を歓迎す る。終了後の会合報告のサマリ−(概要) は会合終了後すぐにIARCのウェブサイ トに載せる。」と語った。 WHO(世界保健機関)は、2002年に静 電磁場と極低周波電磁波の「非がん健康影 響(発がんではない)の評価に関するタス ク(作業)グル−プ」をつくる予定だ。                    ティ−ンエイジャ−(10代)にとってケ−タイはタバコに代わるものか?  イギリスの市民団体「喫煙と健康アク ション(Action on Smoking and Health) 」の責任者クリ−ブ・ベイツ(Clive Bat es)とマンチェスタ−大学の疫学者アン ・チャ−ルトン(Anne Charton)博士は、 「10代(ティ−ンエイジャ−)はタバ コの代わりに携帯電話はなりうるか?」 と考えている。             「私たちは、ケ−タイは10代を大人 ぶらせ、個人的にも社会的にも反抗的に もさせ、仲間を結びつけ大人になりたい という熱望を満たす商品としてタバコの 有力な競合商品になるものと主張してい る。」と『英国医学ジャ−ナル(British Medical Journal)』の11月4日号に書 いている。              英国の15歳で「1週間に少なくても1 回タバコを吸う」比率は1996年が30%だ ったが1999年は23%に減った。この比率 の変化は劇的なまでにケ−タイと関連し ているとベイツとチャ−ルトンは書いて いる。すなわち15歳〜24歳のケ−タイ人 口は1997年以来年々倍増し現在は70%を 超えた。 ジェラルド・ハスティングズ(Gerard Hastings)博士(グラスゴ-のタバコ管理研究センタ-所長) は「この考えは推測でしかないがあたっ ているだろう。子どもたちはタバコを吸 うのと同じ社会的理由からケ−タイを使 うのに気付くであろう。タバコもケ−タ イも“かっこよく"“さまになっている"と 見える品だ」とBBC(11月3日)で言った。 読者からの声 ◎電磁波を防ぐ建材はどんなものがあるか  近くに携帯電話中継基地局と送電線がある。なにか対策をとりたいが、どんな建材 をつかえば防御に有効か。そういうものがあるのかということと、いくらぐらいかか るのか教えてください。(A県Bさん) 電磁波を防ぐ材質としてアモルファス合金等の材質があり、電磁波 暗室(電磁波をシャットアウトした部屋)や宇宙船など特殊な目的に使われていると 聞きますが、一般住宅には高価なため実用的ではありません。 それと、電磁波には低周波と高周波のように周波数によって性質が異なります。と くに家庭電器製品や送電線で使われる50ヘルツや60ヘルツの極低周波電磁波の磁 場はコンクリ−トも突き抜けるため対策は容易ではありません。また極低周波は一般 的に出そうとして放射するのでなく「漏洩」してしまうものです。一方。携帯電話本 体や中継基地局から出る高周波(マイクロ波・ラジオ波)は「照射」というか「放射」 というか意図的に周辺に向かって出すものであり、基本的に遮蔽すると機能そのもの が効力を失ってしまいます。 それらを総合した上で言えば、低周波磁場は防ぐことが困難で、低周波電場と高周 波は防ぐ方法がありますが、高周波は乱反射する性質のものなので完璧に防ごうとす れば全部を覆うことになり、その機能を停止することになります。また鉄や鉛で例え ば部屋を囲んだ場合、人間にとって大事な電磁波(例えば自然界に存在する地球磁場) までシャットアウトしてしまうためそこから起こるマイナス面も考慮しなければなり ません。 ですから、電磁波対策は「距離を離す」(ただし携帯電話中継基地局はやや違う要 素がありますが)、「被曝時間を減らす」ことが基本なのです。とくに寝ている本人 の頭部から電気器具や配線(コ−ド)を最低でも1メ−トル離すことは今日からでも できる対策です。 ◎VDTの説明とどんな電磁波が出るのか VDTという言葉がこの会報に出てきますが、いまひとつわからないので説明して ください。それとVDTからはどんな電磁波が出るのですか?よく言われるマイクロ 波だけですか?(C県Dさん) VDTは「ヴィ−・ディ−・ティ−」と発音し(アルファベットの まま)、「Visual Display Terminal」(視覚で見せる端末機)の頭文字からとった言 葉です。つまり画面表示機能(ブラウン管にせよ液晶にせよ)をもったコンピュ−タ 機器の総称です。具体的には大型汎用コンピュ−タの端末機(銀行やJR緑の窓口に あるコンピュ−タオフコン)・パソコン・ワ−プロなどです。 VDTは「電磁波のデパ−ト」と言われるようにそこから様々な種類の電磁波が出 ています。具体的には、極低周波・低周波・マイクロ波・ラジオ波・赤外線・紫外線 X線・静電気などです。 しかもVDT操作は至近距離で行うため、人体への影響は少なくありません。私(事 務局長)は1980年代半ばに労働組合全国組織・総評(当時=現連合)が行った「VD T健康調査」(世界最大規模のアンケ−ト調査・対象1万5千人)の実施側メンバ− の一人でした。当時でもVDTによる健康破壊は相当進んでいました。現在はもっと 健康影響が出ていると思いますが、労働組合が取り組まないため「個人の問題」にす りかえられてしまっています。ただVDTからの電磁波漏洩防御技術もすすんでいる のも事実です。しかしVDTの健康影響はなくなりません。 小田原市議会、加藤さんの陳情を採択せず 小田原市在住の加藤さんが次ぺ−ジに掲載したPHSに関わる陳情書を小田原市議 会に提出していましたが、審議の結果「不採択」となりました。 加藤さんは「陳情書の内容は正論であり、財政に負担をかけるものでも、善悪の判 断を下すものでもないので(陳情書を通すことは)無理がないと思っています。(市 の)教育総務課に学校敷地内の基地局の撤去を求める発言があるながら、不採択にな ってしまった理由が分からず、納得できません。裏付け資料も十分に提出したつもり ですが、(議員の方が)お目通しいただけたのかも疑問に思わざるを得ません」と感 想を述べています。 読者の皆さんに参考になると思いますので掲載します。 2000年10月22日 神奈川新聞 横浜市磯子区氷取沢で携帯中継塔に反対し住民ががんばっています。ご支援を! ブラジル邦字新聞 2000年7月25号『オ・エスタ−ド・デ・サンパウロ』 宮崎日日新聞 2000年12月23日 会報4号の4ペ−ジ〜7ペ−ジで紹介した九電送電線問題関連の記事です。 日経 2000年11月16日 ↓ 今号の13ペ−ジの内容に対応した記事です。 「子どもが欲しがるから」とケ−タイ持たせていいのでしょうか。あなたの 子どもが頭痛持ちになってから後悔しても遅いんです。 日経 2000年11月18日 ↓ ケ−タイ中毒のような最近の子どもたちの姿がよく表れています。ケ−タイ が健康に影響ないのならこんなエピソ−ドも笑って済むのかもしれませんが。 『おそい はやい ひくい たかい 』(ジャパンマシニスト)NO.8より  毎日2000年12月2日  毎日2000年11月27日    『会報』購読料お支払いのお願い  会報購読料は年間2千円です。今期納入の代金 は99年11月(1号)から2001年3月(9号予定)ま での分です。来期からは4月から翌年3月までを 1年とする正常な形になります。ひきつづきご講 読いただきたいと存じますので、来期分を同封の 払込み用紙にてお支払いください。よろしくお願 いします。       電磁波問題市民研究会 編集後記


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