電磁波問題に関する意見書と今後の取組みについて

日本弁護士連合会
公害対策・環境保全委員会
委員:峰真

 日本弁護士連合会(日弁連)は、2012年9月13日付けで、電磁波問題に関する意見書を取りまとめ、同年9月19日に環境大臣、経済産業大臣、厚生労働大臣及び同年9月20日に総務大臣あてに提出しました。
 この意見書は、日弁連の中にある公害対策・環境保全委員会が中心になって取りまとめました。5年ほど前に市民団体からの強い要望があったことなどを受けて、公害環境委員会で電磁波の問題に取り組み始め、2010年4月に日弁連主催で「暮らしの中の電磁波」と題してシンポジウムを開催したところ、約300人が集まり市民の電磁波問題に対する関心の高さを改めて感じました。
 そこで日弁連では、国に対し電磁波問題に関する意見書を出す必要性を感じ、その後も調査・研究を続け、2011年3月には、スウェーデンとスイスに海外調査を行い、その成果も踏まえて意見書を作成しました。
 今回の意見書の意見の趣旨は、(1)電磁波に関する新たな規制枠組みの創設、(2)電磁波の公正な研究の促進、(3)電磁波過敏症の方々への対策などの3点を求めるものとなっています。さらに、(1)は公正な電磁波対策組織の創設、予防原則の観点からの暫定的規制の実施、電磁波施設の設置手続きへの住民参加と施設の場所についての情報公開という内容となっています。
 詳細な内容については、日弁連のウェブサイトで公開している意見書をお読みいただきたいのですが、この意見書の基本的な姿勢は、ICNIRPガイドライン以下の強度の電磁波による健康影響に関しては、科学的因果関係が証明されたとまではいえないが、予防原則や人権保障の立場から、もっと積極的な対策をとるべきだということです。特に、成長段階の子供たちへの健康被害を防止する必要性、ということを非常に重視しました。
 今回の意見書は、国に対して、予防原則と人権保障の観点から、電磁波問題への対策を正面から意見するものであり、日弁連だからこそできる、非常に意義あるものだと思います。  さらに日弁連では、この意見書の内容をご報告するとともに、今後わが国で電磁波の問題にどのように取り組むべきかを考えるため、平成24年12月15日、千代田区立日比谷図書文化館において「電磁波問題シンポジウム 〜予防原則と人権保障の観点から」を開催いたしました。
 日弁連では、今回の意見書の提出及びシンポジウムの開催で電磁波問題への取り組みを終えるのではなく、今後も検討を続けていきたいと考えていますので、今後ともよろしくお願いします。


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