衆議院内集会「電磁波による健康被害の実態」

□電磁波から健康を守る全国連絡会が主催
 2010年4月9日(金)に、電磁波から健康を守る全国連絡会主催で、永田町衆議院第二議員会館第1会議室に於いて、「電磁波による健康被害の実態〜医師による調査報告」と表題した集会が行われました。集会の後は、交流会と関係省庁との話し合いが開かれました。

□最大の会議室に満席の参加者
 集会の司会は電磁波から健康を守る全国連絡会・代表世話人が行い、国会議員3名と秘書11名を含め、約110人が参加しました。会場は100人が入る広さでしたが、席が足りなくなり、立っている人も出る盛況ぶりでした。メディア関係者も5人来ました。
 その後の交流会と省庁との話し合いにも、約60名が参加しました。

□携帯基地局電磁波の恐ろしさを報告
 集会ではじめに報告されたのは、沖縄県那覇市在住の元看護師で、以下のように発言されました。
 家族は夫と子供3人の5人家族です。平成20年末まで看護師として働いていましたが、居住するマンション屋上に建設された、携帯電話基地局から出る電磁波の影響で体調を崩し、働き続けることが困難になりました。私たちは、平成9年から平成12年までは栃木県の自治医科大学にいました。主人が医学研究の関係で、自治医科大学に勤めていたからです。平成12年から沖縄に戻り、このマンションに住むようになりました。10階建てマンションで、当初は3階の賃貸に入居しました。その時800メガヘルツの基地局が建ちました。当時は、電磁波など言葉は全く知りません。マンションに入ってすぐに、長女が鼻血を出し、次に夫が続き、さらに長男も不整脈になりました。しかし、電磁波が原因とは考えませんでした。平成16年12月に、最上階の10階に引っ越ししました。
 平成17年6月頃から、急に、手の痺れと全身の発汗や口が乾く症状が出ました。同年9月頃から、体重が10キロ減りました。右肩から痛みが出て、寝られない状態になりました。MRIやCTや採血等で検査をしましたが、異常なしという結果です。医者からは、精神科に行けと言われました。家族の世話があるので休んでいられませんが、医者から強く言われたので、平成18年5月まで約8ヵ月入院しました。
 平成20年3月、アンテナが増設され2ギガヘルツの基地局が稼働しました。それから家族全員に激しい症状が出ました。私の右手に、びりびり電流が流れるような感じで、右手は使えなくなり、耳鳴り、ろれつ難、さらに、車の運転がわからなくなってしまうほど、記憶が飛んだり、電話の途中で眠ってしまうようになりました。
 平成20年10月に上を見たら基地局が見え、もしかしたらこれが原因かもと、初めて気づきました。10月26日、基地局が原因と確信し、車2台に3日分の衣服を子供たちの学用品を詰めて、ウィ−クリ−マンションに引っ越しました。引っ越して数日で長女の鼻血は止まり、次女の耳鳴りは治り、三女の鼻血も止まりました。長男の脈も正常の70代に戻りました。私のろれつ難も耳鳴りもなくなり、約3年使えなかった右手も動きだしました。

以上、本当に恐ろしい話でした。さらに、以下のように報告は続きます。


□マンションに戻って基地局撤去へ
 ウィ−クリ−マンションに避難し体調が回復したことで、こんどは別の賃貸マンションに同年(平成20年)11月16日に引っ越ししました。まだ元の分譲マンションには戻れませんでした。そこで夫と相談して、このひどい状況を分譲マンションの人たちに伝えなくては思いました。しかし、総務省が、電磁波は大丈夫だと言っているので、誰も信用しないことが考えられます。そこで、知人のアドバイスもあり、マンション管理組合理事会に話を持っていったところ、理事長が基地局会社のKDDIに申し入れることを快諾してくれ、KDDIが電磁波測定することになりました。もちろん、結果は基準値内で問題無いということでした。
 マンション住民たちに、説明会をしたいと何回か申し入れ、平成22年1月に実現しました。そして、住民アンケ−トを実施したら、他の住民にも多くの症状が出ていることを知りました。
 平成22年2月に、KDDIにアンケ−ト調査の結果を見せ、ついに、同年6月に、アンテナからの電磁波が止まり、同年8月に、基地局撤去に至りました。

□学者の立場から被害報告
 さらに、医師で分子生物学者であるおつれあいが、電磁波と生体の関係を話されました。以下にそのお話の概要を示します。
 人間の視覚、聴覚、味覚といった五感や運動は、脊髄から出る神経電流によって制御されています。神経は蜘の巣のような形の細胞で体の隅々まで繋がっています。神経細胞を細かく見ると、長い軸索があり、その中を電気が通っています。その先からは神経伝達物質が出ています。神経細胞は電気信号を伝えることでその機能を果たしているのです。多くの細胞に電位が存在し、細胞内のイオンの出し入れを電位差を使って行なっているのです。電位はマイナス60ミリボルト程度で、ピュッと上がってすぐに戻ります。
 心臓の拍動も電流で起こっています。人体には、このように直流電流が流れているわけです。地球磁場の中で人間は生活していますが、人の細胞の電流は地磁気の影響を受けないようになっています。しかし、基地局からの電磁波は自然界に存在しないし、かつ強力なのであり、さらに交流です。交流は常にプラスとマイナスの間を変化しています。基地局からの電磁波は人体内の電位差60ミリボルトから比べると大きいので、細胞は基地局からの電磁波の影響を受けるのです。
 私たちのマンションは47世帯あります。800メガヘルツの時と2ギガヘルツでは、症状が同じのものもあれば違ってものもあります。2ギガヘルツのほうが症状はひどいようで、目に黒い点が飛んで(飛蚊症)視力障害が出たり、かなりひどい視力低下になったりします。800メガヘルツの時はなかった症状としては、倦怠感、イライラ病、精神錯乱があります。
 2ギガヘルツ増設後に、倦怠感は27例ありましたが、撤去したらゼロになりました。800メガヘルツに10年以上曝されていたので、症状が抜けるのには時間がかかると思いますが、170例あった症例が撤去後に22例まで減り、8分の1以下になったということです。
 住民の症状以外にも、メダカや金魚が死んだというものあります。
 子どもが一番電磁波の影響を受けやすいと、私は思っています。未来の子どもたちために、私たちは何をしたらいいのかと、基地局問題で考えたいと思います。

□有意義だった交流会
 集会では、VOC-電磁波対策研究会・代表が「電磁波過敏症のアンケ−ト結果と諸外国の動向」を報告しました。
 引き続く交流会は、電磁波から健康を守る全国連絡会・代表世話人が司会を行い、普段は顔を合わせる機会が少ないので、交流会の意義は大きいかったと思います。

□省庁との話し合い
 集会の最後は、大河原雅子議員の司会による、省庁との話し合いです。
 中央省庁の人たちは現場を知らず、文献や、あるいは役所や事業者との情報交換を主にして、施策を進めていますので、こうしたお役人に現場の声を届ける機会として、話し合いの場が設けられました。
 1時間という短い時間であり、さらに、慎重になる役人の体質のため、歯痒かったです。お役人は、電磁波のリスク影響は文献で見る限り確認されていませんと逃げるだけでなく、最初に示したように、深刻な被害を聞いているのですから、現地調査をするとか、疫学調査の検討を開始するなどと、前向きの姿勢を見せて欲しかったと思います。今後も粘り強く取り組んでいきましょう。


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