<海外情報>

(抄訳:TOKAI)

送電線近くの家庭調査で小児白血病が約1.7倍

オーストラリア・メルボルンの送電線周辺で子供を対象に調査

ヘラルド・サン
2005年7月24日

□送電線から600メートル以内に住む子供対象
 ブリティッシュ・メディカル・ジャ−ナルで発表された研究結果によると、高圧送電線から600メートル以内に住む子供を対象に調査したところ、小児白血病発症リスクが1.67倍であった。
 この研究は、オ−ストラリアのメルボルンの中心から30キロメートル以内にある26軒の家を対象に、極低周波電磁波を浴びた影響を調査したものだ。
 この研究結果を受けて、オ−ストラリア放射線防護・核安全庁(ARPANSA)はメルボルンの300軒の家を対象にした調査に乗り出す準備に入った。

□ARPANSAは新基準値検討
 極低周波電磁波の発生源は、高圧送電線・銅電線・水道金属管・家庭電器製品などである。極低周波磁場はミリガウスの単位で表される。
 タバコと肺がんの関係を証明した英国の科学者として知られる、リチャ−ド・ド−ル卿の研究もその一つだが、いくつかの研究は、4ミリガウス以上の浴びると小児白血病リスクは2倍になるとしている。
 オ−ストラリア国立衛生医学調査協議会ガイドラインは、1000ミリガウスを基準値としている。しかしAPRANSAは今、これに変わる新しい基準を起草中である。
 極低周波電磁波は、脳がん・乳がん・アルツハイマ−・慢性疲労症候群、等と関係がある。そしてWHOの国際がん研究所(IARC)は極低周波磁場を2B(発がん可能性あり)と分類している。
 ARPANSAの調査では、メルボルンの家の中の電磁波は、0.1ミリガウス以下〜10ミリガウスである。ARPANSA担当責任者のリンドセ−・マ−ティンは「EMFに大きな関心を持っているが、4ミリガウス以上で健康リスクがあるという決定的な証拠はない。今後新しい証拠が出された時は、平均曝露状態でどうだったかを詳しく知りたい」と語った。


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