<海外情報>

(抄訳:TOKAI)

米国で国際消防士連盟が基地局健康影響研究に資金援助を検討

消防署の携帯電話アンテナは心配

PRニュ−スワイア−
2005年4月7日

□米国とカナダの85%の消防士を組織する団体
 消防士の国際団体である国際消防士連盟(IAFF)は、携帯電話基地局を消防署に設置することによって、基地局電磁波が消防士の健康に有害な影響を与えるのか否かを明確にするための研究に、資金提供しようと検討している。
 IAFFは米国とカナダの消防士や救急医療士の85%が加入している団体だ。
 「現在、消防署に設置されている携帯電話基地局が、有害がどうかという問題を扱っている科学的な研究はない。隊員の健康問題からすれば、そうして研究は必要だ。」と、IAFF理事長のハロルド・A・シャイトベルガ−は語った。

□ただでさえ消防士は危険なのに
 「消防士は仕事自体が危険性が高いが、それに加えて、低量とはいえ基地局から出るマイクロ波を浴びるという、余計な危険性を消防士は受けたくない」と、シャイトベルガ−理事長は研究資金拠出の理由として述べた。そして、マイクロ波の健康への影響について解明されるまで、IAFFとしては、これ以上の携帯タワ−やアンテナを、消防署およびその近辺に建てさせないように考えている、としている。
 世界の多くの政府や携帯会社は、無線周波数電磁波が健康リスクの原因だとする証拠はまだ出ていないとしている。しかし、それらの見解は、基地局からの低量無線周波数電磁波を、一般市民が連続的に被曝したケ−スを根拠にしたものではないことに気づくことが重要だ。(訳注:動物実験とか細胞実験の類の証拠を根拠にして、各国の政府や携帯会社は論を展開しているのすぎないということを言いたいのだと思う)。
 シャイトベルガ−理事長は言う。「マイクロ波による健康影響や安全性に対して懸念している、批判的な見解も存在している。私たちは携帯電話業界のバイアスがかかった見解でなく、本当の答が欲しいのだ」。

□本当の研究結果はまだ先の話だ
 この問題に関する既に出た研究結果は、まだ5年ほどでしかない。ほとんどが携帯電話は安全だというものだ。しかし、IAFFが心配しているのは、毎日、基地局で何年間もずっと直接電磁波を浴び続けることによる生体への影響だ。(訳注:たったの5年ほどでわかるはずかない、ということを言いたいのであろう)。
 IAFFとこの問題のための医療チ−ムは、もっとも精度の高い科学的研究とは、基地局のある消防署とない消防署との比較とか中枢神経や免疫組織や新陳代謝などの生体機能に、マイクロ波がどう影響するか見極めることが必要だと考えている。

□非熱作用にも注目
 低レベルのマイクロ波の被曝による生物影響は、健康への悪影響を引き起こす要素になりうることがわかっている。国際的に定評のある専門家たちは、デジタル型の携帯電話やアンテナで使われるマイクロ波送受信機は、動物やヒトの細胞に重要な影響を与えることを実験室実験で示している。
 また、とても低量(レベル)なため熱作用は引き起こさないが、“非熱作用”レベルの健康影響をもたらすことを示す疫学証拠として、腫瘍増加変化・小児白血病増加・睡眠パタ−ン変化・頭痛・神経的変化・記憶力低下・学習能力低下・血圧増加等、があることが発見されている。
 IAFFの研究は、こうしたマイクロ波による生体影響と消防士や緊急医療士の健康との因果関係を、はっきりさせることを目的で行なわれるであろう。
詳細は http://www.iaff.org/


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