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マイクロウェーブ・ニュース
2002年11〜12月号より
(抄訳 TOKAI)

欧州統一信号変調電磁波は非熱作用と神経作用の鍵である

□スイスの二人の研究者の発表
 変調された高周波の電磁波を使って、人間だけでなく鳥を対象とした実験で、非熱作用と神経作用(neurological effects)の原因であることが示された。
 チュ−リッヒ大学のピ−タ−・アケアマン(Peter Achermann)とアレクサンダ−・ボルベリ−(Alexander Borbely)は、携帯電話放射線が睡眠に影響を与えるという前回の実験を立証しさらに発展させた。
 二人の研究者は、最新の実験で九百メガヘルツ・1W/kgのGSM(欧州統一デジタル携帯電話システム変調)信号をテストボランティアの16人の若者に30分間照射したところ、睡眠状態に入る前と後で脳内の電気活動が変わることを発見した。しかし、一方で900メガヘルツの無変調連続アナログ電磁波の照射では、変化は見られなかった。
 アケアマンとボルベリ−は、デジタル信号を30分照射後、数時間脳内の電気活動に影響を与えたという自分たちの研究を「注目すべき発見」と自賛した。

□血液の流れも変化した
 二人はさらに、同じGSM信号を使って13人を対象に別の実験もした。
 その実験ではシュミレ−トされたヘッドセットに近い脳内部分で血液の流れが増大したことを発見した。血液の流れの変化はPETスキャン(走査線画像)で示されたが、記憶活動に大きな役割を果たす脳の部分で起こったという。
 「ボルベリ−の脳波図(EEG)結果は非熱作用として解釈されるべきだ。それは連続電磁波の曝露では見られないからだ。」ニ−ルス・クスタ−(Niels Kuster)は語った。クスタ−はチュ−リッヒにある学会内のIT研究財団の責任者であり、かつボルベリ−チ−ムの一員である。

□もう一つは鳥の脳の実験
 それとは全く別に、鳥の脳にGSMを通常の3.5倍平均で照射し、脳内の神経活動率の増大を発見した研究グル−プ、ロバ−ト・ベアゾン(Robert Beason)とピ−タ−・ゼム(Peter Semm)がある。二人の実験では、いくつかの細胞でその活動率は減少した。しかし、ここでも変調しない信号では変化はなかった。
 ベアゾンは「私たちは一般化できる反応を発見した。すなわち、レセプタ−(受容体)はひとつのものではないということだ。またGSMの出力はあまりのも低いで熱作用ではない。」と語った。
 おなじ研究でベアゾンとゼムは、キンカチョウの脳内で0.05W/kgのSARを計測した。ベアゾンはオハイオ州サンダスキ−の農業全国野生研究センタ−局に12月1日から参加した。ゼムはドイツ・フランクフルトのゲ−テ大学に所属しているがコメントはとれなかった。


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