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マイクロウェーブ・ニュース
2002年7〜8月号より
(抄訳 TOKAI)

国連世界保健機構事務局長とその配下との意見の違い

□ブルントラント事務局長は予防原則派
 グロ・ハ−レム・ブルントラント(Gro Harlem Bruntland)世界保健機関(WHO)事務局長は、前ノルウェ−首相で環境問題のオピニオン・リ−ダ−として活躍している人物だが、携帯電話に関して繰り返し「予防原則支持」発言をしている。
 というのも、彼女自身が携帯電話から4m離れても反応するほどの電磁波過敏症に罹っていることが関係しているし、ノルウェ−やスウェ−デンで彼女の見解は大きく報道されている。
 7月1日、オスロで開催されている「がん対策国際連盟会議」に関連した記者会見で「子供に携帯電話を毎日頻繁に使わせることにもっと慎重であるべきだ。それは携帯電話の人体へのダメ−ジがまだわかっていないからだ」と元小児科医であるブルントラントはコメントし、テレビで全世界にこの模様は流された。

□レパチョリらの意見は違う
 一方、WHO国際EMFプロジェクトの共同代表であるマイケル・レパチョリ(Michael Repacholi)とリ−カ・ケ−ファイツ(Leeka Khefeits)はブルントラントWHO事務局長と立場が異なり、「もっと研究が必要で、携帯電話電磁波が心配なら電話時間を少なくしたりハンズフリ−(イヤホン)を使うほうがいい」と予防原則までは踏み込んでいない。
 特に前から“企業寄り”と批判のあるレパチョリは携帯電話への予防原則採用には反対で子供の携帯電話使用制限にも反対の立場だ。
 携帯電話メ−カ−で構成する団体の「携帯電話メ−カ−フォ−ラム」(MMF=Mobile Manufactures Forum)は今年7月、「ブルントラントの見解は個人的なものにすぎず、WHOの公式的立場とは相容れないものだ」と声明を出した。
 商用周波数(極低周波)電磁場に関して、WHO国際EMFプロジェクト(計画)は昨年意見を転換し、「慎重なる回避」政策を是認したが「予防原則」の採用は依然として拒否している。

<写真>ブルントラント事務局長

<電磁波問題市民研究会からのコメント>
「慎重なる回避政策」(a policy of prudent avoidance)をさらに進めた考えが「予防原則」(the precautionary principle)である。


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