海外情報

マイクロウェーブ・ニュース
2002年7〜8月号より
(抄訳 TOKAI)

<ドイツでは携帯電話のSAR値低下の促進と予防策をとるようメ−カ−に求めている>

□電磁波吸収比(SAR)0.6W/kgを推奨
 ドイツ政府はSAR(電磁波吸収比)の低い携帯電話を使うように推奨している。具体的には、組織10g当たり0.6W/kg以下のSAR値の携帯電話に対して「環境にやさしい製品」と認定し“ブル−エンジェル(青い天使)マ−ク”を貼ることで推奨しようというものだ。
 このSAR値0.6W/kgは、ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドライン値2.0W/kgより3倍以上厳しい値だ。
 ブル−エンジェルマ−クは環境にやさしいと認定した製品に貼られるマ−クで、ドイツでは消費者の環境意識が高く、このラベルが貼られているとよく売れる。
 ドイツ政府放射線防護局のヴォルフラムライ・ケ−ニッヒは「私たちの目的は携帯電話に予防政策を採用することでリスクを最小にすることにある」と語っている。

□携帯会社はこれを拒否
 環境省はこの方針を6月14日に発表し、環境省と放射線防護局は各メ−カ−にラベル推奨に参加するよう求めている。環境省が進めている環境にやさしい商品へのラベル計画は「政府・労使・消費者・環境市民団体」から成る13人のメンバ−で委員会が構成され、その委員会がどの製品にラベルを貼るか決める。環境省は予防原則を考えて携帯メ−カ−が製品づくりをするためのインセンティブ(経済誘導策)を与えようと「ラベル計画」を進めている。しかし携帯電話メ−カ−は「ラベル貼りは不適切でナンセンスなこと」として参加を拒否している。モトロ−ラ・ノキア・シ−メンス・ソニ−エリクソンが加入している業界団体「BITCOM」は、「環境省のラベル貼り等の予防策は科学的根拠がないし、ラベルのない携帯電話は有害な電磁波製品とみなすもので問題だ。ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のSARガイドライン値2.0W/kg以下なら安全だ」と声明を出した。

□すでにドイツのケ−タイの15%がクリア
 “ブル−エンジェルマ−ク”は環境省がコントロ−ルしているが、そのブル−エンジェルのホ−ムペ−ジでは、「ICNIRPの値が問題だというのでなく、予防原則の観点からもう一歩踏み込んでより電磁波の低い携帯電話を推奨することで電磁波曝露を最小化したほうがいいと考えている」と声明を出している。ドイツ放射線防護局によれば、ドイツで売られている携帯電話の15%がすでにSAR値0.6W/kg以下であるという。


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