海外情報

(抄訳 TOKAI)
マイクロウェ-ブ・ニュ-ス2002年5〜6月号より

ザルツブルグ基準値の議論活発化

オーストリア・ザルツブルグ周辺の実測測定調査を巡って

 オ−ストリアの環境都市ザルツブルグはモ−ツアルト生誕地としても知られる町だが、高周波基準値「0.1マイクロワット/cm2」でも知られている。
 このザルツブルグ基準値はいわば紳士協定で法的強制力をもつものではない。
 このたび、オ−ストリア調査センタ−・ザイベルスドルフ(ARCS)とスイス通信局(BAKOM)がザルツブルグの携帯中継基地局周辺の高周波無線波量を計測した。その結果、13地点でザルツブルグ基準値(40ある基準要素のうちの一つ)をオ−バ−した。

□だから「現実的でない」という意見
 測定調査を依頼したスイス政府は「(ザルツブルグ基準をオ−バ−したことで)基準値は都市エリアのアンテナ周辺に住む人には適合しない値だ」とした。オ−ストリア通信業界を代表するMMF(携帯メ−カ−会議)も「ザルツブルグ基準は政治的PRではあっても現実的でないことを示した」と声明を出した。

□測定プロトコルの違い、を主張
 ザルツブルグ公衆衛生局のゲルト・オベルフェルト(Gert Oberfeld)は今回の測定調査は役立たないものだ、と反論した。オベルフェルトは「ザルツブルグ基準は法的強制力を持つものでなく、今回測定調査したアンテナの多くはザルツブルグ基準に応じようとしていない携帯会社のアンテナであった」と説明した。
 今回の測定調査実施チ−ムの責任者ジョ−ジ・ノイバウア−は「測定はスイス通信局(BAKOM)が取り決めた測定プロトコル(実施手順)に拠ったものだ」と説明した。このプロトコルではすべてのアンテナは最大出力で作動するとして測定するやり方である。
 ところが、ザルツブルグ基準は「通常の出力でアンテナは作動しているとの条件で設定されている。今回の測定チ−ム責任者ノイバウア−は2年前、「高周波無線波はザルツブルグにおいて、大抵(すべてということではないが)基準値を下回っている」と報告していた。
 実際、彼は「プロトコルの違いの下で直接比較しても意味がない」と私達の問に答えている。


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